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第3章 王都への道⑦『再会』
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里の広場では幟旗が立ち、出店が準備されている。着々と進む祭りの準備に子どもたちもはしゃいでいた。
広場を通り過ぎ、宿屋で紹介された定食屋に入る。
テーブル席が六つ程の、あまり広くない店だ。
先客がいつものように不躾に見てきたが、気にせず入口に近い、四人掛けのテーブル席に座った。
シモンが里のおすすめ料理を注文して待っていると、店の奥にいた男が一人、様子を見るように近づいてきた。
イリアスとシモンは我関せずの顔をしていたが、男がそろりと言った。
「シモン……だよな?」
呼ばれたシモンは顔を上げ、彼を見て勢いよく立ち上がった。
「ラダ⁉ どうしてここに!」
ラダと呼ばれた赤茶けた髪をした青年は破顔した。
「そりゃこっちのセリフだよ! おまえこそ何してんだよ!」
どうやら知り合いらしい。偶然の再会に二人は喜び合っている。
シモンが振り返り、興奮した顔で言った。
「隊長、こいつは俺が近衛騎士団にいたときの同期なんです。歳はラダの方が上ですけど、騎士団では一番、仲が良かった奴です」
ラダは隊長と呼ばれたイリアスに向かって背筋を伸ばした。
「サラディール隊長、お初にお目にかかります。近衛騎士団第二中隊所属、ラダ=ガルダと申します。お会いできて光栄です」
ラダはイリアスのことを知っていたようだ。イリアスも名乗った。
「イリアス=ウィル=サラディールだ。貴殿は非番のようでもあるし、堅苦しいのはなしにしよう」
イリアスはラダに同席を促した。シモンの隣に座っていたカイトは、イリアスの横に移動した。
シモンが、おまえはここで何してんの、とラダに訊く。
気安く話すシモンとは対照に、イリアスがいることを踏まえているのか、ラダは丁寧な言葉を使った。
「僕はこの里の生まれでして。花鎮めの祭りがあるので、休暇をもらって里帰りしていたところなんです」
ラダは麻の生地の村人らしい服を着ていた。剣ももちろん、下げていない。
「皆様はなぜこの里に?」
当然の疑問である。シモンが、
「あー……」
と頭を掻いたところで、イリアスが口を挟んだ。
「我々は護衛の任務で、王都に向かっているところだ」
護衛と聞いて、ラダがちらりと海人を見て、軽く頭を下げた。
海人もつられて頭を下げる。
イリアスは海人を紹介しなかったし、シモンも海人のことには触れなかった。
それだけでラダは深入りしてはならないと察したのか、海人から視線を外し、話題を変えた。
「シモンが騎士団辞めて、リンデの辺境警備隊に入るって聞いたときは、みんなびっくりしたんですよ。あの時は気でも狂ったのかと思いました」
ラダが可笑しそうに肩を揺らした。ひでえ、とシモンが顔をしかめる。
「理由を訊いたら、サラディール隊長に命を救ってもらったから、あの人に一生ついていくんだって言いましてね。俺の命はあの人のものだって。それで上官たちの反対を押し切って、勝手に出て行っちゃったんですよ」
途端、シモンが頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
「ラダあああ……なんで言うんだよ……!」
イリアスに憧れてリンデに来たことは公言していたが、周囲になんと言って辞めてきたかまでは話していないようだった。
仲の良かった同期に暴露されてしまい、シモンは恥ずかしさで今にも転げ回りそうだった。
それを見て、ラダが笑う。
「近衛騎士団を蹴って出て行ったんだ。それくらいの恥はかけ」
シモンがふくれっ面をしていると、食事が運ばれてきた。
せっかくだから、とラダも自席から皿を持って移ってきた。
海人はシモンがイリアスに助けてもらった話が気になった。
せがむと、シモンは不承不承、話してくれた。
広場を通り過ぎ、宿屋で紹介された定食屋に入る。
テーブル席が六つ程の、あまり広くない店だ。
先客がいつものように不躾に見てきたが、気にせず入口に近い、四人掛けのテーブル席に座った。
シモンが里のおすすめ料理を注文して待っていると、店の奥にいた男が一人、様子を見るように近づいてきた。
イリアスとシモンは我関せずの顔をしていたが、男がそろりと言った。
「シモン……だよな?」
呼ばれたシモンは顔を上げ、彼を見て勢いよく立ち上がった。
「ラダ⁉ どうしてここに!」
ラダと呼ばれた赤茶けた髪をした青年は破顔した。
「そりゃこっちのセリフだよ! おまえこそ何してんだよ!」
どうやら知り合いらしい。偶然の再会に二人は喜び合っている。
シモンが振り返り、興奮した顔で言った。
「隊長、こいつは俺が近衛騎士団にいたときの同期なんです。歳はラダの方が上ですけど、騎士団では一番、仲が良かった奴です」
ラダは隊長と呼ばれたイリアスに向かって背筋を伸ばした。
「サラディール隊長、お初にお目にかかります。近衛騎士団第二中隊所属、ラダ=ガルダと申します。お会いできて光栄です」
ラダはイリアスのことを知っていたようだ。イリアスも名乗った。
「イリアス=ウィル=サラディールだ。貴殿は非番のようでもあるし、堅苦しいのはなしにしよう」
イリアスはラダに同席を促した。シモンの隣に座っていたカイトは、イリアスの横に移動した。
シモンが、おまえはここで何してんの、とラダに訊く。
気安く話すシモンとは対照に、イリアスがいることを踏まえているのか、ラダは丁寧な言葉を使った。
「僕はこの里の生まれでして。花鎮めの祭りがあるので、休暇をもらって里帰りしていたところなんです」
ラダは麻の生地の村人らしい服を着ていた。剣ももちろん、下げていない。
「皆様はなぜこの里に?」
当然の疑問である。シモンが、
「あー……」
と頭を掻いたところで、イリアスが口を挟んだ。
「我々は護衛の任務で、王都に向かっているところだ」
護衛と聞いて、ラダがちらりと海人を見て、軽く頭を下げた。
海人もつられて頭を下げる。
イリアスは海人を紹介しなかったし、シモンも海人のことには触れなかった。
それだけでラダは深入りしてはならないと察したのか、海人から視線を外し、話題を変えた。
「シモンが騎士団辞めて、リンデの辺境警備隊に入るって聞いたときは、みんなびっくりしたんですよ。あの時は気でも狂ったのかと思いました」
ラダが可笑しそうに肩を揺らした。ひでえ、とシモンが顔をしかめる。
「理由を訊いたら、サラディール隊長に命を救ってもらったから、あの人に一生ついていくんだって言いましてね。俺の命はあの人のものだって。それで上官たちの反対を押し切って、勝手に出て行っちゃったんですよ」
途端、シモンが頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
「ラダあああ……なんで言うんだよ……!」
イリアスに憧れてリンデに来たことは公言していたが、周囲になんと言って辞めてきたかまでは話していないようだった。
仲の良かった同期に暴露されてしまい、シモンは恥ずかしさで今にも転げ回りそうだった。
それを見て、ラダが笑う。
「近衛騎士団を蹴って出て行ったんだ。それくらいの恥はかけ」
シモンがふくれっ面をしていると、食事が運ばれてきた。
せっかくだから、とラダも自席から皿を持って移ってきた。
海人はシモンがイリアスに助けてもらった話が気になった。
せがむと、シモンは不承不承、話してくれた。
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