異世界美貌の騎士様は、キスで魔力をもっていく

琉希

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第3章 王都への道⑰『色街』

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 日中、二人の魔法談義を聞いていた海人は、シモンがうらやましくなった。
 
 イリアスが他の隊員たちと比べて、シモンに目をかけているのはわかっていた。自分を慕って、王都からやって来たくらいだ。かわいくないはずがない。
 それだけでなく、シモンには才能と実力があった。

 ダグラスもそれを認めていた。だからこそ、他の隊員には黙っていた属性魔法以外の霊脈の干渉の話をしたのだろう。

(おれも魔法が使えたら、いろいろ教えてもらえるのに)

 海人は蚊帳の外で会話を聞いていたが、それとは別のことに囚われてもいた。
 魔力の付与を実際にやった今、イリアスがアフロディーテから力をもらったことがあるということを改めて考えてしまった。
 
 それはつまり、自分と同じことをしたということ。
 そのことが、海人の心を妙にざわつかせていた。
 
 道中、何かとシモンが話しかけてきたが、どれも上の空で答えていた。
 落ち着かないまま、王都に至る最後の街に着いたとき、陽はとっぷりと暮れていた。
 
 暗い林道を街の明かりを目指して進むのは、怖いものがあった。
 二人は夜目が効くのか、何ともなさそうだったが、海人は余計な集中をすることになり、疲れ果てていた。
 
 夜でもこの街は賑やかで、人通りも多かった。あちらこちらから、酒が入った客の上機嫌な笑い声が漏れてくる。
 
 三人が宿を探して中心街を歩いていると、何度か客引きにあった。
 男性客目当ての女が腕を引っ張ってくるのだ。胸の大きく開いた服を着て、甘えた声で誘ってくる。

 イリアスもシモンも眼中に入れず、うまく避けながら進んで行くのだが、海人はそうはいかなかった。
 色のある夜の繁華街など歩いたこともない、健全な高校生だ。あしらい方も知らない。二人に遅れまいと付いていっていたのだが、うっかり腕を取られてしまった。

 後ろに引かれ、思わず立ち止まる。
 色気をたっぷり含んだ女がここぞとばかりに腕を絡めてきた。

「ねえ、ちょっとだけいいでしょ?」

 絡めてきた腕に豊満な胸が当たり、海人は真っ赤になって慌てた。

「いや! いいです! すみません!」

 腕を解こうとするが存外力が強く、放してくれない。立ち止まったのが運の尽きだ。海人が慣れていないことを見抜かれ、いい鴨だといわんばかりに店に引っ張られる。

「あの! ほんとおれ、行かなきゃ」

 腕を放してもらおうと足掻いていると、

「カイト」

 冷たい声で呼ばれた。
 顔を上げると、少し先でイリアスが振り返っていた。

「早く来い」

 イリアスは底冷えのする目をしていた。
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