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第4章 いにしえの因果⑳『竜人と巫女』
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そのとき、佐井賀が咳払いをした。
「それはさておき、もうひとつ関係しそうなのは、魔力を付与するときの詠唱文」
言っちゃうと発動しちゃうから、と佐井賀は文字を書いた。もちろん日本語である。
―世々の御祖の血の盟約を以って、彼の者に受けし力を与えん―
海人はあの詠唱文を漢字に起こせた佐井賀に感心した。
「よくこんな字だって、わかりましたね」
「ああ。僕は神社の跡取り息子だからね。祝詞の中に似たような言葉があるんだ。たぶん、間違ってないと思う」
佐井賀は早口で言うと、それより、と言った。
「竜人と巫女がなんらかの契約を交わしたのであれば、巫女の末裔の僕らがこの呪文を唱える必要もわかるでしょ」
血の盟約。すわなち、血統による誓約だと佐井賀は言った。
海人も最初はこじつけのように思っていたが、だんだん本当のような気がしてきた。
「これが僕らの因果だとしたら、大きな発見だ」
佐井賀は興奮気味に言ったが、海人にはわからなかった。
因果関係がわかったからといって、なにがどうなるのか。
首を傾げた海人に佐井賀は、にやっと笑った。
「この神話が真実を含むとするなら、巫女は天に帰ったわけでしょ。つまり、僕らは元の世界に帰れる可能性があるってことだよ」
「!」
「神話になるくらい古い話だから、帰る方法は失われているだけなのかもしれない。僕はその方法を見つけたいと思ってる。だから海人くん、希望は常にあると思ってね」
佐井賀は力強く言った。海人は同じ黒い瞳を見つめた。
この人はこの世界に来て、ずっとあきらめないでいる。
彼はいつか本当に帰れる方法を見つけ出すのかもしれないと思った。
「鍵はアルミルトか」
それまで黙っていたイリアスが口を開いた。佐井賀がうなずく。
「だと思う。あの国は竜がいるしね。だけど、アルミルトに今、跳躍者がいるのかどうかもわからない。話を全く聞かないから」
佐井賀は開いていた本を閉じ、書棚に戻した。埃がたったのか、鼻がむずがゆかった。
「アルミルトに行けたらいいけど、それは無理だしね。まずは王宮にあるアルミルトの本を片っ端からあたってみるつもり。面白くなってきたよ!」
調べることが増えたはずなのに、佐井賀はとても楽しそうだった。
手がかりをつかんだことでやる気が出ている。すぐにでも本を引っ張り出し、読み出しそうな勢いだった。
海人は、訊くなら今かもしれない、と思った。
「それはさておき、もうひとつ関係しそうなのは、魔力を付与するときの詠唱文」
言っちゃうと発動しちゃうから、と佐井賀は文字を書いた。もちろん日本語である。
―世々の御祖の血の盟約を以って、彼の者に受けし力を与えん―
海人はあの詠唱文を漢字に起こせた佐井賀に感心した。
「よくこんな字だって、わかりましたね」
「ああ。僕は神社の跡取り息子だからね。祝詞の中に似たような言葉があるんだ。たぶん、間違ってないと思う」
佐井賀は早口で言うと、それより、と言った。
「竜人と巫女がなんらかの契約を交わしたのであれば、巫女の末裔の僕らがこの呪文を唱える必要もわかるでしょ」
血の盟約。すわなち、血統による誓約だと佐井賀は言った。
海人も最初はこじつけのように思っていたが、だんだん本当のような気がしてきた。
「これが僕らの因果だとしたら、大きな発見だ」
佐井賀は興奮気味に言ったが、海人にはわからなかった。
因果関係がわかったからといって、なにがどうなるのか。
首を傾げた海人に佐井賀は、にやっと笑った。
「この神話が真実を含むとするなら、巫女は天に帰ったわけでしょ。つまり、僕らは元の世界に帰れる可能性があるってことだよ」
「!」
「神話になるくらい古い話だから、帰る方法は失われているだけなのかもしれない。僕はその方法を見つけたいと思ってる。だから海人くん、希望は常にあると思ってね」
佐井賀は力強く言った。海人は同じ黒い瞳を見つめた。
この人はこの世界に来て、ずっとあきらめないでいる。
彼はいつか本当に帰れる方法を見つけ出すのかもしれないと思った。
「鍵はアルミルトか」
それまで黙っていたイリアスが口を開いた。佐井賀がうなずく。
「だと思う。あの国は竜がいるしね。だけど、アルミルトに今、跳躍者がいるのかどうかもわからない。話を全く聞かないから」
佐井賀は開いていた本を閉じ、書棚に戻した。埃がたったのか、鼻がむずがゆかった。
「アルミルトに行けたらいいけど、それは無理だしね。まずは王宮にあるアルミルトの本を片っ端からあたってみるつもり。面白くなってきたよ!」
調べることが増えたはずなのに、佐井賀はとても楽しそうだった。
手がかりをつかんだことでやる気が出ている。すぐにでも本を引っ張り出し、読み出しそうな勢いだった。
海人は、訊くなら今かもしれない、と思った。
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