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第5章 動乱の王宮⑨『海人の思い』
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部屋に戻り、扉を閉めた途端、こらえていた涙が溢れだした。
ずるずると座り込み、胸を抑えた。引き裂かれるように痛かった。
もし、あのとき一人で街に出なければ、こんなことにはならなかっただろうか。
もし、王宮にいるもうひとりの跳躍者に会いたいと言わなければ、リンデで暮らすことができただろうか。
海人は嗚咽をこらえて、両膝を抱いた。
陽光に照らされ、金色に光る髪の姿が心を占める。
いつも無表情で何を考えているかわからないけれど、とても優しい人だった。
強くて、綺麗で、何気ないことにどきどきさせられていた。
命だって、救ってくれた。
何でもいいから役に立とうと決めていたのに。
すまない、と言った、あの淡々としたいつもの声が、あまりにもいつも通りすぎて海人の胸をえぐった。
別れることに物寂しい顔すらしてくれない。イリアスにとって、自分はお荷物だったのだ。
ただそれだけが海人にとめどなく涙を流させた。
「……うっ」
たまらず、嗚咽がもれた。
あまりの胸の痛みに、ああ、そうか、と思った。
いつの間に、こんなに好きになっていたのだろうか。
めったに笑わないが、たまに微笑んだときのあの温かい目元。
さらわれたときの恐怖を夢に見ても、あの微笑みを思い出して心を落ち着かせていた。
海人は大きく口を開けて息を吸おうとした。自然としゃくりあげる。
(もう、そばにいられない)
胸がぎゅうっと締め付けられた。
ぽたぽたと、絨毯に涙の染みが広がる。
気づくと同時に失恋なんて、ひどすぎる。
海人は涙で濡らした膝を抱き、うずくまって泣き続けた。
ずるずると座り込み、胸を抑えた。引き裂かれるように痛かった。
もし、あのとき一人で街に出なければ、こんなことにはならなかっただろうか。
もし、王宮にいるもうひとりの跳躍者に会いたいと言わなければ、リンデで暮らすことができただろうか。
海人は嗚咽をこらえて、両膝を抱いた。
陽光に照らされ、金色に光る髪の姿が心を占める。
いつも無表情で何を考えているかわからないけれど、とても優しい人だった。
強くて、綺麗で、何気ないことにどきどきさせられていた。
命だって、救ってくれた。
何でもいいから役に立とうと決めていたのに。
すまない、と言った、あの淡々としたいつもの声が、あまりにもいつも通りすぎて海人の胸をえぐった。
別れることに物寂しい顔すらしてくれない。イリアスにとって、自分はお荷物だったのだ。
ただそれだけが海人にとめどなく涙を流させた。
「……うっ」
たまらず、嗚咽がもれた。
あまりの胸の痛みに、ああ、そうか、と思った。
いつの間に、こんなに好きになっていたのだろうか。
めったに笑わないが、たまに微笑んだときのあの温かい目元。
さらわれたときの恐怖を夢に見ても、あの微笑みを思い出して心を落ち着かせていた。
海人は大きく口を開けて息を吸おうとした。自然としゃくりあげる。
(もう、そばにいられない)
胸がぎゅうっと締め付けられた。
ぽたぽたと、絨毯に涙の染みが広がる。
気づくと同時に失恋なんて、ひどすぎる。
海人は涙で濡らした膝を抱き、うずくまって泣き続けた。
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