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本編
4月 閑話 知恵熱
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僕は今、ティティに抱き上げられている。
魔術講義でチェリーの実技を目にした後、僕は頭の熱さにフラフラしながら廊下を歩いていた。僕は未知の事に遭遇すると、頭を使いすぎるのかすぐ熱が出てしまう。きっと、知恵熱ってやつだと思う。
そこに偶然ティティが通りがかって、すぐさまおでこを合わせてきて、有無を言わさず僕を抱き上げたのだ。
「とりあえず寮に連れてってやるからな」
そう言うと、ティティはそばにいた友人に、僕の荷物を後で寮に持ってくるよう頼み、歩き出した。
「おろしてよティティ……ねえってば……」
「黙ってろ。熱出してる奴を歩かせるわけいかないだろ」
「でも……これぐらい大丈夫だって……」
「おこちゃまは素直に甘えてればいいの!子供んときだけの特権なんだぞ?大きくなったら使えないんだ、今使わないでいつ使うんだアホちゃんが」
そんな事を言われても、僕は子供らしくなんてしたくない理由がきちんとあるのだ。
「……だって……甘えたりなんかしたら……あの時ああしてやったこうしてやったって……恩着せがましい事……言うんでしょ……」
そう言うと、ティティは急に怖い顔で僕を睨みつけてきた。
「ほんとお前はアホちゃんだな!俺がそんな事言うわけないだろ!そんな事言う奴俺がぶっ飛ばしてやる!」
物騒な発言に僕は呆れて、でもそれと同時に、アホと言われた事を差し引いても、嬉しい気持ちが少しだけ残っていた。
「暴力はだめだからね……でも……ありがと……」
「おう。俺はいつでもお前の味方だからな」
「……味方とか……そんな事……簡単に言っちゃダメだよ……。僕のこと、何も知らないのに……」
会ってまだ日が浅いのに。心の中で何を思っているかも、頭の中で何を企んでいるのかも分からないのに。だから、そう簡単に、他人を信じて味方するとか言っちゃいけないんだ。
でも、ティティは苦笑して、首を横に振る。
「大丈夫だって。お前はそんな悪いやつなんかじゃないよ。……つらいか?寮に着くまでもうちょっと我慢な」
僕はもう、話す気力もなくなって、頷く事しかできない。そして僕の意識は夢と現を彷徨う。
ゆらゆらと揺れるような心地よさに包まれながら、僕は、ティティによって寮まで運ばれて行った。
――
気づくと僕は、ベッドの上に降ろされていた。でもその部屋は、僕の部屋ではなかった。
「ここ……もしかして、ティティの部屋?」
「ああそうだ。ここならお前を看病しながら俺の宿題も片付けられる。一石二鳥だろ?」
「ふふ……ティティって……ちゃんと宿題……やるんだね」
「当たり前だろ!なんのために上級学校に来てると思ってんだ!」
「ごめんよ……だってきみ……真面目に見えない……」
「なら今日から俺に対する認識を改めろよ?実は真面目でカッコよくて頼れる男だって」
「うーん……それはどうかなあ……でも……頼れるってところは……認めても……いい……かも……」
そう話しながら、僕はもう眠くて眠くて仕方なかった。
「眠いのか?……俺がずっとそばにいてやるから、安心してゆっくり寝てな」
僕の頭を優しくなでながら語りかけるティティの声。僕はそれを最後まで聞く事なく眠りの中に落ちた。
魔術講義でチェリーの実技を目にした後、僕は頭の熱さにフラフラしながら廊下を歩いていた。僕は未知の事に遭遇すると、頭を使いすぎるのかすぐ熱が出てしまう。きっと、知恵熱ってやつだと思う。
そこに偶然ティティが通りがかって、すぐさまおでこを合わせてきて、有無を言わさず僕を抱き上げたのだ。
「とりあえず寮に連れてってやるからな」
そう言うと、ティティはそばにいた友人に、僕の荷物を後で寮に持ってくるよう頼み、歩き出した。
「おろしてよティティ……ねえってば……」
「黙ってろ。熱出してる奴を歩かせるわけいかないだろ」
「でも……これぐらい大丈夫だって……」
「おこちゃまは素直に甘えてればいいの!子供んときだけの特権なんだぞ?大きくなったら使えないんだ、今使わないでいつ使うんだアホちゃんが」
そんな事を言われても、僕は子供らしくなんてしたくない理由がきちんとあるのだ。
「……だって……甘えたりなんかしたら……あの時ああしてやったこうしてやったって……恩着せがましい事……言うんでしょ……」
そう言うと、ティティは急に怖い顔で僕を睨みつけてきた。
「ほんとお前はアホちゃんだな!俺がそんな事言うわけないだろ!そんな事言う奴俺がぶっ飛ばしてやる!」
物騒な発言に僕は呆れて、でもそれと同時に、アホと言われた事を差し引いても、嬉しい気持ちが少しだけ残っていた。
「暴力はだめだからね……でも……ありがと……」
「おう。俺はいつでもお前の味方だからな」
「……味方とか……そんな事……簡単に言っちゃダメだよ……。僕のこと、何も知らないのに……」
会ってまだ日が浅いのに。心の中で何を思っているかも、頭の中で何を企んでいるのかも分からないのに。だから、そう簡単に、他人を信じて味方するとか言っちゃいけないんだ。
でも、ティティは苦笑して、首を横に振る。
「大丈夫だって。お前はそんな悪いやつなんかじゃないよ。……つらいか?寮に着くまでもうちょっと我慢な」
僕はもう、話す気力もなくなって、頷く事しかできない。そして僕の意識は夢と現を彷徨う。
ゆらゆらと揺れるような心地よさに包まれながら、僕は、ティティによって寮まで運ばれて行った。
――
気づくと僕は、ベッドの上に降ろされていた。でもその部屋は、僕の部屋ではなかった。
「ここ……もしかして、ティティの部屋?」
「ああそうだ。ここならお前を看病しながら俺の宿題も片付けられる。一石二鳥だろ?」
「ふふ……ティティって……ちゃんと宿題……やるんだね」
「当たり前だろ!なんのために上級学校に来てると思ってんだ!」
「ごめんよ……だってきみ……真面目に見えない……」
「なら今日から俺に対する認識を改めろよ?実は真面目でカッコよくて頼れる男だって」
「うーん……それはどうかなあ……でも……頼れるってところは……認めても……いい……かも……」
そう話しながら、僕はもう眠くて眠くて仕方なかった。
「眠いのか?……俺がずっとそばにいてやるから、安心してゆっくり寝てな」
僕の頭を優しくなでながら語りかけるティティの声。僕はそれを最後まで聞く事なく眠りの中に落ちた。
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