後悔電車

如月由美

文字の大きさ
5 / 8
regret one 「亡くなった妹」

八月七日

しおりを挟む
「ということがあったわけです」
「なるほど」
今までのこと、全てを車掌の岩滝いわたきさんに話していた。
ここは、後悔電車の車内。
先程紹介した後悔を消したいと思い、この電車に来たのだ。
だけど、あれから五年。
今年、三島大学を卒業した俺は、父母ふぼ、そして妹が眠る墓に向かい、手を合わせた。そのあと、近くの公園のベンチに座っていると、ある老人が隣に座った。そして、俺にこう言った。
『お前さん、後悔している様子だね。この電車に乗るといいよ。後悔を消してくれるから』
そう言って小さなカードを俺に渡し、老人はどこかへと去っていった。
その老人を見送ったあと、貰ったカードに視線を戻した俺は、しばらくカードを見つめた。
そこには、停車についてや電話番号。様々なことが書かれてあった。俺は、そのカードに書かれていた停車場所を頼りに向かった。

ということがあり、この後悔電車に乗車したのだ。
「ところで、妹さんが亡くなる一週間前の日時は?」
「はい。確か、二○三○年の八月七日だったかと」
「分かりました。すぐに、タイムスリップをいたします」
「はい。宜しくお願いします」
と俺が言うと、岩滝さんは運転室へと去っていった。
その後ろ姿を見送った俺は、車内に目を向けた。
椅子やテーブル、時計と飾られた車内はとても落ち着いていた。
椅子やテーブルは木で造られ、シックなイメージだな。
と見ていた最中。
カッコーカッコー
と鳩時計が鳴り響いた。
それに気付き、時計をみるともう九時になっていた。
俺は岩滝さんから貰った電車内の地図と寝台車の部屋の鍵を見ながら、立ち上がる。
「えーと。七号車の四○二か」
"後悔電車は、寝台列車でございます"
カードにそう書かれてあったので、知っていた俺は部屋へと向かった。


「四○二。ここだな」
部屋の番号を確認した俺は鍵を開けて、室内へと入った。
中は四畳ほどしかなく、壁につけるようにして置かれたベッドだけがあった。
自分がいた三号車から七号車までは、意外にも距離があって少し疲れてしまった。そのため、眠気に襲われていた俺は、ベッドに寝転がった。
枕の横に鍵を置き、眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...