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愛とニャコと
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レドにもらった干し魚を噛みながら、先へ進むことにした。
「さて……次は何が出るかねぇ」
「気配とかわかんないの? ハンターさんなんでしょ?」
「ハンターさんだからってなァ。そんな簡単にいかねぇんだよ。見た目でわかるやつならともかく森の中には擬態してる魔法生物が多いんだ。そいつらは音も匂いも消してるから簡単には見つけられない」
「大変なんだぁ」
「だが隠れているやつってのは大抵大したチカラはないんだ。狡猾に相手を騙して、自分のチカラとは関係なく獲物を仕留める。だからこそ警戒は欠かせないがね」
「ふぅん」
「ま、心配するな。何かあればすぐにわかる」
昨日は通路を走り抜けてたけどそんな警戒してたのかしら……。
「それじゃあとりあえず……次のネストまで走るか!」
「それよそれ! 警戒するなら走ってなんていられないでしょ!」
「何言ってんだよ。このガレフにおいて通路は警戒するポイントではないんだぜ」
「そ、そうなの?」
「たまにネストから出てきてるやつもいるが、何しろ視界が良好だからな。違和感があればすぐに気づく」
言われてみれば、通路は基本的に真っ直ぐに伸びていて、木は左右にあるのみだ。
この道の真ん中に何かあればそれは確かに警戒の対象になるだろう。
「で、でも木に何かいるかも!」
「それもありえない話ではないがな。しかしガレフに住む魔法生物なら基本的に通路で待ち伏せることはない。何故ならこの通路は勝手に組み替えられてしまうからだ。もしその最中に通路にいたなら、翌朝には全く違う場所にいてもおかしくはない。今は固定されているが……冒険者がいない間のガレフはそりゃあまさしく迷宮だぜ……」
「あなたも結構苦労してきたのね……」
「出口もねぇのに水場も毎日変わるし獲物も居場所が変わるんだ。サバイバルの心得がなければ飲み食いにも困っちまうだろうな」
「じゃあレドがいなかったらセイ危なかったのかなぁ?」
「……そうかもな。私はこれでもレドには感謝しているんだ」
「へへっ。素直じゃねぇか」
「……感謝していなければとっくに捨て置いている」
「おい!」
「じゃあレド! 頼りになるあなたに次のネストまで案内してもらおうかな!」
「おう! いっくぜぇ!」
レドは真っ直ぐに道を走り抜けていく。私たちもそれに続いた。
そしてようやく通路の林が途切れる。
この先からはネストのようだ。
「警戒……そうだな。とりあえず状況の確認をしよう。ネストの中には今のところ生物の影は見えない……オマケに壁沿いを除いて木の一本もない。まるで空き地だな。見晴らしは良くて中央で野営でもできそうなくらいだ」
「おぉ! じゃあちょっと休憩していく?」
「まだ今日動き始めたばかりだろ。それに、だ。おそらくだがここは魔法生物のナワバリだ」
「え? どうして?」
「何も無さすぎるんだよ。よく見てみると木が引き抜かれてその上に土が被せられているようだぜ。この空き地は意図的に作られている。ここに集まってくる何者かがいるか、或いはこの空き地自体が罠か……とにかく通るのなら注意した方が良さそうだぜ」
「そ、そうなのか……フツーに通るところだったよ」
「確定ではないがな。それでも警戒するにこしたことはない。ガレフでは一瞬の油断が命取りだからな」
流石にこの迷宮の中で生き抜いてきたというだけはある。
レドは狡猾な魔法生物たちのやり方をしっかり理解して回避する術を知っているようだ。
……逆に言えば、レドにはそれを上回るだけの狡猾さがあるのだろう。
例えば、今話している私たちのことをまるっきり騙してしまう程の……。
と、また悪いことを考えてしまっていることを自覚した。
レドがこうして助言していなければ私たちは簡単にやられているかもしれないのだ。
それだけでも彼には十分な恩義があるのに、それを無下にするような下賎な疑いをかけては失礼にも程があるだろう。
今一度自分の心を戒めてレドに向き直った。
「レド。ここを抜けるにはどうしたらいいと思う?」
「最短で行くのなら突っ切ることだな。ただそうした場合さっきも言ったように罠があるリスクも考えなければならないぞ。もうひとつは空き地の真ん中を通らないようにネストの壁沿いを行くことだな。こっちの方が堅実だし、空き地側ではなく壁側に木をなぞって行けば何かが潜んでいても見つかりにくいだろう」
「レドすっごおい! やっぱりハンターさんなんだ!」
「こんなもんは見るだけでもわかることだろう。あとはどう動くかだ。とりあえずどっちのルートにするか決めてくれ」
「うーん、真ん中は危険なんでしょ? だったら迂回でしょ!」
「……もし、それを見越していたら?」
「え?」
「レドの意見を否定するわけではないが、安全に見える場所にこそ罠はある……こともある」
「それを言い出したらどこも行けないでしょ?」
「いや、セイの言うことも正しい。だからオレはどちらにするかきいているんだ」
「そういうことなのね……」
「決めるのは私たちでも構わないが……」
「ううん、大丈夫。決めるよ」
安全な隠れた回り道か、丸見えな最短経路か……私が選んだ道は……。
「さて……次は何が出るかねぇ」
「気配とかわかんないの? ハンターさんなんでしょ?」
「ハンターさんだからってなァ。そんな簡単にいかねぇんだよ。見た目でわかるやつならともかく森の中には擬態してる魔法生物が多いんだ。そいつらは音も匂いも消してるから簡単には見つけられない」
「大変なんだぁ」
「だが隠れているやつってのは大抵大したチカラはないんだ。狡猾に相手を騙して、自分のチカラとは関係なく獲物を仕留める。だからこそ警戒は欠かせないがね」
「ふぅん」
「ま、心配するな。何かあればすぐにわかる」
昨日は通路を走り抜けてたけどそんな警戒してたのかしら……。
「それじゃあとりあえず……次のネストまで走るか!」
「それよそれ! 警戒するなら走ってなんていられないでしょ!」
「何言ってんだよ。このガレフにおいて通路は警戒するポイントではないんだぜ」
「そ、そうなの?」
「たまにネストから出てきてるやつもいるが、何しろ視界が良好だからな。違和感があればすぐに気づく」
言われてみれば、通路は基本的に真っ直ぐに伸びていて、木は左右にあるのみだ。
この道の真ん中に何かあればそれは確かに警戒の対象になるだろう。
「で、でも木に何かいるかも!」
「それもありえない話ではないがな。しかしガレフに住む魔法生物なら基本的に通路で待ち伏せることはない。何故ならこの通路は勝手に組み替えられてしまうからだ。もしその最中に通路にいたなら、翌朝には全く違う場所にいてもおかしくはない。今は固定されているが……冒険者がいない間のガレフはそりゃあまさしく迷宮だぜ……」
「あなたも結構苦労してきたのね……」
「出口もねぇのに水場も毎日変わるし獲物も居場所が変わるんだ。サバイバルの心得がなければ飲み食いにも困っちまうだろうな」
「じゃあレドがいなかったらセイ危なかったのかなぁ?」
「……そうかもな。私はこれでもレドには感謝しているんだ」
「へへっ。素直じゃねぇか」
「……感謝していなければとっくに捨て置いている」
「おい!」
「じゃあレド! 頼りになるあなたに次のネストまで案内してもらおうかな!」
「おう! いっくぜぇ!」
レドは真っ直ぐに道を走り抜けていく。私たちもそれに続いた。
そしてようやく通路の林が途切れる。
この先からはネストのようだ。
「警戒……そうだな。とりあえず状況の確認をしよう。ネストの中には今のところ生物の影は見えない……オマケに壁沿いを除いて木の一本もない。まるで空き地だな。見晴らしは良くて中央で野営でもできそうなくらいだ」
「おぉ! じゃあちょっと休憩していく?」
「まだ今日動き始めたばかりだろ。それに、だ。おそらくだがここは魔法生物のナワバリだ」
「え? どうして?」
「何も無さすぎるんだよ。よく見てみると木が引き抜かれてその上に土が被せられているようだぜ。この空き地は意図的に作られている。ここに集まってくる何者かがいるか、或いはこの空き地自体が罠か……とにかく通るのなら注意した方が良さそうだぜ」
「そ、そうなのか……フツーに通るところだったよ」
「確定ではないがな。それでも警戒するにこしたことはない。ガレフでは一瞬の油断が命取りだからな」
流石にこの迷宮の中で生き抜いてきたというだけはある。
レドは狡猾な魔法生物たちのやり方をしっかり理解して回避する術を知っているようだ。
……逆に言えば、レドにはそれを上回るだけの狡猾さがあるのだろう。
例えば、今話している私たちのことをまるっきり騙してしまう程の……。
と、また悪いことを考えてしまっていることを自覚した。
レドがこうして助言していなければ私たちは簡単にやられているかもしれないのだ。
それだけでも彼には十分な恩義があるのに、それを無下にするような下賎な疑いをかけては失礼にも程があるだろう。
今一度自分の心を戒めてレドに向き直った。
「レド。ここを抜けるにはどうしたらいいと思う?」
「最短で行くのなら突っ切ることだな。ただそうした場合さっきも言ったように罠があるリスクも考えなければならないぞ。もうひとつは空き地の真ん中を通らないようにネストの壁沿いを行くことだな。こっちの方が堅実だし、空き地側ではなく壁側に木をなぞって行けば何かが潜んでいても見つかりにくいだろう」
「レドすっごおい! やっぱりハンターさんなんだ!」
「こんなもんは見るだけでもわかることだろう。あとはどう動くかだ。とりあえずどっちのルートにするか決めてくれ」
「うーん、真ん中は危険なんでしょ? だったら迂回でしょ!」
「……もし、それを見越していたら?」
「え?」
「レドの意見を否定するわけではないが、安全に見える場所にこそ罠はある……こともある」
「それを言い出したらどこも行けないでしょ?」
「いや、セイの言うことも正しい。だからオレはどちらにするかきいているんだ」
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「ううん、大丈夫。決めるよ」
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