1 / 7
プロローグ「嫌われ者同士の出会い」
しおりを挟む
「はっはっ・・・・はっ・・・」
息を切らせながら走り続ける。最近見つけたとっておきの神社までひたすらに走り続ける。
後ろから枝が折れる音がする。草がかきわけられている音がする。
「・・・・・・はっ・・・・はっ・・」
怖い怖い怖い。後ろが見れない。追いつかれたくない。あんな化け物に食われたくない。
笑い声が聞こえる。
「ヒヒッ」
嫌だ嫌だ嫌だ。もう少し。あと少し。
油断をしていた。高校からの帰り道、嫌なクラスメイト達と鉢合わせそうになったから、路地裏をショートカットしたのだ。暗い道は人でない者達が多くいるのに。
目があってしまった。電柱の陰からこちらを見ていた一つ目の化け物。目と口だけが大きい化け物。
物心ついた頃から、私には見えていた。人も人でない者も。
小さな頃は、私にはわからなかった。人なのか人でないのか。
見えてしまう私に対して、人でない者達の関わり方はそれぞれだった。
驚かす。物を隠す。話しかけてくる。無視をする。珍しそうに見てくる。そして、食べようとする。
「美味そう」「アソボウアソボウ」「喰ってやる」「変な人間」「指だけでも」「人ごときが偉そうに!」「内臓がいい」
両親はいなかった。死んでしまった理由は知らなかった。
遠縁の親戚を転々とするが、見えてしまう私は問題ばかり起こしてしまった。
子供同士の輪なんて入れなかった。
「変な子!いつもぶつぶつ言っているし」「お前、父ちゃんも母ちゃんもいないんだな~」「やっぱりうちでは預かれないな」「出てけ!邪魔なんだよ!」「ねえ!あんたが私の物壊したんでしょ!」「ばけもの!」
人も人でない者も嫌いだった。怖かった。
私は何もしていないのに。全て全て敵だった。
中学卒業とともに一人暮らしを始めた。申し訳なさそうに、でもほっとした大叔父の顔。
切り詰めれば大学卒業までは問題がないくらいに両親の遺産があった。罪悪感があるのか、大叔父も僅かながら援助をしてくれた。
神社まで行けば、あの化け物は追ってこれない。隠れてやり過ごそう。
「・・・・・・っ・・・」
焦っていた私は、いつの間にか追われなくなったことに気づいていなかった。
「はっはっ・・・着いた・・・はぁ・・・」
周囲が不自然な程静かなことにも気づいていなかった。
「少し休んで、暗くなる前に帰ろう」
ずるずるっと狛犬の近くに座り込んで息を整える。神社やお寺にはあいつらは入ってこれない。ほっと肩の力を抜く。ぼんやりと空を見ながら帰り道を考えていた、その時。
「・・・なんだ。人の子か?」
低く響く声。空間を支配するような声。
「・・・・・・っっっ」
鳥肌が立ち、勢いよく後ろを振り返った。
そこに、それはいた。
尾が何本もある巨大な獣。毛並から目まで銀色。ニィっと避けた口だけが赤い。
狼?違う。狐?嘘だ。
小さな神社の屋根に覆いかぶさるように上から見下ろしてくる圧倒的な存在。
今まで出会った人でない者達の中でも、群を抜いて巨大な獣。
逃げられないと感じた。喰われると悟った。ああ、でも。
「・・・・・綺麗・・・」
恐怖よりも嫌悪よりも先に思ったのだ。綺麗な存在だと。
息を切らせながら走り続ける。最近見つけたとっておきの神社までひたすらに走り続ける。
後ろから枝が折れる音がする。草がかきわけられている音がする。
「・・・・・・はっ・・・・はっ・・」
怖い怖い怖い。後ろが見れない。追いつかれたくない。あんな化け物に食われたくない。
笑い声が聞こえる。
「ヒヒッ」
嫌だ嫌だ嫌だ。もう少し。あと少し。
油断をしていた。高校からの帰り道、嫌なクラスメイト達と鉢合わせそうになったから、路地裏をショートカットしたのだ。暗い道は人でない者達が多くいるのに。
目があってしまった。電柱の陰からこちらを見ていた一つ目の化け物。目と口だけが大きい化け物。
物心ついた頃から、私には見えていた。人も人でない者も。
小さな頃は、私にはわからなかった。人なのか人でないのか。
見えてしまう私に対して、人でない者達の関わり方はそれぞれだった。
驚かす。物を隠す。話しかけてくる。無視をする。珍しそうに見てくる。そして、食べようとする。
「美味そう」「アソボウアソボウ」「喰ってやる」「変な人間」「指だけでも」「人ごときが偉そうに!」「内臓がいい」
両親はいなかった。死んでしまった理由は知らなかった。
遠縁の親戚を転々とするが、見えてしまう私は問題ばかり起こしてしまった。
子供同士の輪なんて入れなかった。
「変な子!いつもぶつぶつ言っているし」「お前、父ちゃんも母ちゃんもいないんだな~」「やっぱりうちでは預かれないな」「出てけ!邪魔なんだよ!」「ねえ!あんたが私の物壊したんでしょ!」「ばけもの!」
人も人でない者も嫌いだった。怖かった。
私は何もしていないのに。全て全て敵だった。
中学卒業とともに一人暮らしを始めた。申し訳なさそうに、でもほっとした大叔父の顔。
切り詰めれば大学卒業までは問題がないくらいに両親の遺産があった。罪悪感があるのか、大叔父も僅かながら援助をしてくれた。
神社まで行けば、あの化け物は追ってこれない。隠れてやり過ごそう。
「・・・・・・っ・・・」
焦っていた私は、いつの間にか追われなくなったことに気づいていなかった。
「はっはっ・・・着いた・・・はぁ・・・」
周囲が不自然な程静かなことにも気づいていなかった。
「少し休んで、暗くなる前に帰ろう」
ずるずるっと狛犬の近くに座り込んで息を整える。神社やお寺にはあいつらは入ってこれない。ほっと肩の力を抜く。ぼんやりと空を見ながら帰り道を考えていた、その時。
「・・・なんだ。人の子か?」
低く響く声。空間を支配するような声。
「・・・・・・っっっ」
鳥肌が立ち、勢いよく後ろを振り返った。
そこに、それはいた。
尾が何本もある巨大な獣。毛並から目まで銀色。ニィっと避けた口だけが赤い。
狼?違う。狐?嘘だ。
小さな神社の屋根に覆いかぶさるように上から見下ろしてくる圧倒的な存在。
今まで出会った人でない者達の中でも、群を抜いて巨大な獣。
逃げられないと感じた。喰われると悟った。ああ、でも。
「・・・・・綺麗・・・」
恐怖よりも嫌悪よりも先に思ったのだ。綺麗な存在だと。
0
あなたにおすすめの小説
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる