64 / 89
【1部】第五章.いざ行かん馬車の旅
055
しおりを挟む
「本日はブロドー交通をご利用いただきまして誠にありがとうございます。当馬車はこれよりザラックへと向かいます。道中の道の状況や、天候で到着日程が遅れる場合がございますがご了承ください。それでは馬車の旅をお楽しみください」
御者さんのアナウンスの後、駅馬車が動き出した。
(あんまり揺れないね。これなら5日間余裕じゃね?)
『ここはまだ街の中ですよ。道も舗装されてますしスピードも出てませんよ』
ナビの言葉通りだった。
西門から出ると、馬車は少し速度を上げた。
その途端、先ほどよりもガタガタと振動が強くなった。
(おおおおう!結構揺れる)
車輪の振動が、座っている椅子に直に伝わってくる。
道は石の舗装路のせいか、車輪が小さい小石を踏みつける振動までくる。
私はたまらず、カバンからドーナツクッションを取り出して椅子に敷いた。
これでなんぼかマシになった…。
『今はまだ街に近いので道の状態は良いですが、この先は舗装されていない道になりますからもっと揺れますよ。下手に喋って舌噛まないように気を付けてくださいね』
(頑張る…)
ナビの言う通り、王都を出発して1時間ほど経った辺りから、道の状態が悪くなってきた。
ガッタンゴットン、揺れる揺れる。
窓が大きいから外眺められるわーとか思ってた自分を殴りたい。
これはそんな余裕全然ないわ…
しかも、外は真っ暗。
明かりの一つもございません。
(酔い止め飲んでおいて正解だった!!クッションも買っておいて良かった!!)
『受付の方に聞いておいて正解でしたね』
(ほんとにそれ。馬車なんて初めて乗ったけどこれは大変だわ…)
他の乗客を見やると、皆フツーに座っている。
そりゃそうか、これが当たり前なんだもんね…
「大丈夫ですか?」
正面に座っている護衛のリムさんが話しかけてきた。
「あ、はい。大丈夫でっす!!」
馬車の揺れのせいで言葉が変になる。
「もしかして貴女、馬車の旅初めて?」
「はい、馬車に乗るのが初めてで、こんなに揺れるものだとは思いませんでした…」
「あはは、そっかそっか!!でも、この馬車は他のより全然揺れないから、違う馬車に乗るときは気を付けてね」
「えっ…そうなんですか…」
まあ、運賃高いもん。他より快適だよね…
でも、他の馬車はもっと揺れるのか…マジか…
「ねえ、貴方名前は?結構若く見えるけど何歳なの?」
「えっと、名前はブロッサムで歳は19歳です…」
何か、自分の年齢を言うのに抵抗がある…
元々29だもん。若くしてくれたのはありがたいけど、本来年下の人たちから年下扱いされるのって物凄い違和感。
「マジで!若いね!!ザラックには何しに行くの?」
「えっと、職探しに…王都より人が多いと聞いたので」
「へぇー!若いね!!私もあなたと同じ歳の時に冒険者になってさ、ついこの間やっと銀の上級まで上がれたのよ!」
「それは凄いですね」
「でしょ!!まあ、女で冒険者になるって色々大変なんだけどさ、今のパーティーは最高に良いメンバーなんだ」
それからも、リムさんの冒険譚を聞いているとあっという間に一つ目の駅に着いた。
昼間であればここで止まる事は無いそうだが、今は大体夜の7時過ぎ。
という事で、今夜の夕食はこの駅に併設されている休憩所で食べるらしい。
「じゃあまた夕食後にね!」
他の冒険者と食べるらしく、リムさんは別の場所に移動した。
まあ、護衛と乗客が席を同じく出来ないのだろう。
御者さんのアナウンスの後、駅馬車が動き出した。
(あんまり揺れないね。これなら5日間余裕じゃね?)
『ここはまだ街の中ですよ。道も舗装されてますしスピードも出てませんよ』
ナビの言葉通りだった。
西門から出ると、馬車は少し速度を上げた。
その途端、先ほどよりもガタガタと振動が強くなった。
(おおおおう!結構揺れる)
車輪の振動が、座っている椅子に直に伝わってくる。
道は石の舗装路のせいか、車輪が小さい小石を踏みつける振動までくる。
私はたまらず、カバンからドーナツクッションを取り出して椅子に敷いた。
これでなんぼかマシになった…。
『今はまだ街に近いので道の状態は良いですが、この先は舗装されていない道になりますからもっと揺れますよ。下手に喋って舌噛まないように気を付けてくださいね』
(頑張る…)
ナビの言う通り、王都を出発して1時間ほど経った辺りから、道の状態が悪くなってきた。
ガッタンゴットン、揺れる揺れる。
窓が大きいから外眺められるわーとか思ってた自分を殴りたい。
これはそんな余裕全然ないわ…
しかも、外は真っ暗。
明かりの一つもございません。
(酔い止め飲んでおいて正解だった!!クッションも買っておいて良かった!!)
『受付の方に聞いておいて正解でしたね』
(ほんとにそれ。馬車なんて初めて乗ったけどこれは大変だわ…)
他の乗客を見やると、皆フツーに座っている。
そりゃそうか、これが当たり前なんだもんね…
「大丈夫ですか?」
正面に座っている護衛のリムさんが話しかけてきた。
「あ、はい。大丈夫でっす!!」
馬車の揺れのせいで言葉が変になる。
「もしかして貴女、馬車の旅初めて?」
「はい、馬車に乗るのが初めてで、こんなに揺れるものだとは思いませんでした…」
「あはは、そっかそっか!!でも、この馬車は他のより全然揺れないから、違う馬車に乗るときは気を付けてね」
「えっ…そうなんですか…」
まあ、運賃高いもん。他より快適だよね…
でも、他の馬車はもっと揺れるのか…マジか…
「ねえ、貴方名前は?結構若く見えるけど何歳なの?」
「えっと、名前はブロッサムで歳は19歳です…」
何か、自分の年齢を言うのに抵抗がある…
元々29だもん。若くしてくれたのはありがたいけど、本来年下の人たちから年下扱いされるのって物凄い違和感。
「マジで!若いね!!ザラックには何しに行くの?」
「えっと、職探しに…王都より人が多いと聞いたので」
「へぇー!若いね!!私もあなたと同じ歳の時に冒険者になってさ、ついこの間やっと銀の上級まで上がれたのよ!」
「それは凄いですね」
「でしょ!!まあ、女で冒険者になるって色々大変なんだけどさ、今のパーティーは最高に良いメンバーなんだ」
それからも、リムさんの冒険譚を聞いているとあっという間に一つ目の駅に着いた。
昼間であればここで止まる事は無いそうだが、今は大体夜の7時過ぎ。
という事で、今夜の夕食はこの駅に併設されている休憩所で食べるらしい。
「じゃあまた夕食後にね!」
他の冒険者と食べるらしく、リムさんは別の場所に移動した。
まあ、護衛と乗客が席を同じく出来ないのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる