89 / 89
【1部】第五章.いざ行かん馬車の旅
080
しおりを挟む
気が緩みすぎて口が滑った。盛大に滑った。
「えーっと…これから言う事は、他の人には言ってほしくないんだけど良い?」
「ええ、まぁ…」
「実は私ね、こっちの世界に来たら10歳若返ってたの」
「えっ!?」
「本当は29歳の会社員だったんだよねぇ…それがこっちの世界に来て自分のステータス見て19歳になっててびっくりしたのよ」
「そうだったんですか…そんな事もあるんですね。そういえば召喚される直前、道の反対側にパンツスーツの女性が歩いてました…」
「うん、多分それが私だと思う。なんで10歳も若返ってるのか、理由は分からないんだけどねー」
まぁ、グラームス様かミルス様がやったんだってのは知ってんだけどさ。
「というわけで、私の中ではバートは絶対に無いのよ」
「なるほど…」
サクラちゃんはあんまり納得してない感じ。
そらそうよね、実は若返ってるんですなんて言われてすんなり信じれる人なんていないよねぇ。
「サクラちゃんはバートが気になるの?」
「い、いえ…使用人さんたちが、バートさんとブロッサムさんが恋人なんじゃないかって噂してて…」
「えっ…私、昨日だよここ来たの…」
「なんかバートさんて女性嫌いで有名で、そんな人が自分の愛馬に女性乗せるとかありえない!ってなってるらしいです」
「マジか…無理にでも別の馬に乗るべきだったのかな…でも、乗ったこと無いから落ちたらヤバかっただろうし…」
「じゃあ、まったくそんな関係じゃないんですね?」
「そらそうよ、召喚された部屋でちらっと見て、昨日助けてもらった時にちょっと会話しただけだよ?どこに恋愛関係に発展する要素があるよ?」
「あー、イケメンが助けてくれた!ってところくらいですかね?」
「うん、確かに奴はイケメンだねぇ…でも、やっぱり無いなぁ…タイプじゃないわ。それに、とりあえず今はのんびり暮らせる場所を探すのが先かなー」
助けてくれたことは感謝してるんだけどね、だからといってカッコいい!とはならない。
それよりも、人の生き死にを目の当たりにしちゃった方の記憶が強すぎて…。
「サクラちゃんは、ピーターとかどうなの?彼も結構顔整ってるでしょ」
「あぁ…ピーターさんは確かに顔も整ってるし良い人ではありますねー」
あー、でた。良い人。うん、ピーターは良い人どまりになりそうな感じだもんな…。
「ポーションの作り方とか習うんでしょ?」
「あ、それはもう分かりやすく教えてくれるのでありがたいですね!周りの調薬師の人たちも親切だし。でも、私もポーションづくりを極めるほうが先かなと思ってます」
「だよね、まずは自分の生活基盤作ってからじゃなきゃ恋愛なんて出来ないもん」
「ふふふ、そういう所はやっぱり社会人っぽいですね」
「ん、そうかなー?」
「そうですよ」
そんな感じで、お互いがラオッタまでどう来たのか何かを話した。
「え、そんな方法で城から出たの!?よくばれなかったね…」
「城から出ていくもののチェックは緩いんだそうです。貴族が色々持ち出したりしてるんでしょうね」
「あぁー、確かにー」
「そこからは一度、王都の冒険者ギルドに行ったんです。わざわざギルドマスターさんが裏口まで案内してくれて、そこからガイドーン家の馬車に乗せてもらいました」
「なるほどね。でも、スプリット渓谷の所で嵐にあわなくて良かったね」
「ですね、あそこの道、復旧には結構かかるって言ってました」
「うわー…重機とか無いもんねこの世界…あ、でも魔法でどうにかなるのかな?」
「どうなんでしょう?私、調合士さん達が錬金術とか薬調合スキル使ってるのしか見た事無いんですよね」
「あ、私も魔法使ってる所は見た事無いや。どんな感じなんだろうね」
「電気が無いのに、シャワーからはお湯もでるし、なんだか不思議ですよね」
「そうだねー、本当、遠くへ来たもんだ…」
話に夢中になり、結局、昼食もこの部屋で一緒に食べた。
「スライムって、やっぱり実際に見ると不思議ですね…本当に半透明で核がある…薬草もシュワって溶けるんですね」
「ずっと見てても飽きないよね」
(ライム、サクラちゃんに触ってもらっても大丈夫?)
(もんだいない)
「触り心地も、なんかひんやりプニプニしてて気持ちいよ。触ってみる?」
「良いんですか?」
「うん、ライムも大丈夫って言ってるから」
「じゃあ…ちょっとだけ」
サクラちゃんは、ライムを指でツンツンとつついた後、そーっと撫でた。
「うわ…なんかつるつるしてるけど柔らかくて…なんか不思議な感じ…」
「癖になるでしょ?」
「なりますね!私もスライム欲しくなっちゃう」
そんなこんなでサクラちゃんとのお茶会はとても楽しく過ごす事が出来た。
「お茶とお菓子、それに桜の花もありがとう。またこの国に来るときは会いに来るね」
「はい、その時までには上級ポーション作れるように頑張ります」
「あはは、そしたら買い取らせてもらおうかな?」
「ぜひぜひ!」
こうして私はサクラちゃんの部屋からお暇して、自分の部屋へと戻った。
「えーっと…これから言う事は、他の人には言ってほしくないんだけど良い?」
「ええ、まぁ…」
「実は私ね、こっちの世界に来たら10歳若返ってたの」
「えっ!?」
「本当は29歳の会社員だったんだよねぇ…それがこっちの世界に来て自分のステータス見て19歳になっててびっくりしたのよ」
「そうだったんですか…そんな事もあるんですね。そういえば召喚される直前、道の反対側にパンツスーツの女性が歩いてました…」
「うん、多分それが私だと思う。なんで10歳も若返ってるのか、理由は分からないんだけどねー」
まぁ、グラームス様かミルス様がやったんだってのは知ってんだけどさ。
「というわけで、私の中ではバートは絶対に無いのよ」
「なるほど…」
サクラちゃんはあんまり納得してない感じ。
そらそうよね、実は若返ってるんですなんて言われてすんなり信じれる人なんていないよねぇ。
「サクラちゃんはバートが気になるの?」
「い、いえ…使用人さんたちが、バートさんとブロッサムさんが恋人なんじゃないかって噂してて…」
「えっ…私、昨日だよここ来たの…」
「なんかバートさんて女性嫌いで有名で、そんな人が自分の愛馬に女性乗せるとかありえない!ってなってるらしいです」
「マジか…無理にでも別の馬に乗るべきだったのかな…でも、乗ったこと無いから落ちたらヤバかっただろうし…」
「じゃあ、まったくそんな関係じゃないんですね?」
「そらそうよ、召喚された部屋でちらっと見て、昨日助けてもらった時にちょっと会話しただけだよ?どこに恋愛関係に発展する要素があるよ?」
「あー、イケメンが助けてくれた!ってところくらいですかね?」
「うん、確かに奴はイケメンだねぇ…でも、やっぱり無いなぁ…タイプじゃないわ。それに、とりあえず今はのんびり暮らせる場所を探すのが先かなー」
助けてくれたことは感謝してるんだけどね、だからといってカッコいい!とはならない。
それよりも、人の生き死にを目の当たりにしちゃった方の記憶が強すぎて…。
「サクラちゃんは、ピーターとかどうなの?彼も結構顔整ってるでしょ」
「あぁ…ピーターさんは確かに顔も整ってるし良い人ではありますねー」
あー、でた。良い人。うん、ピーターは良い人どまりになりそうな感じだもんな…。
「ポーションの作り方とか習うんでしょ?」
「あ、それはもう分かりやすく教えてくれるのでありがたいですね!周りの調薬師の人たちも親切だし。でも、私もポーションづくりを極めるほうが先かなと思ってます」
「だよね、まずは自分の生活基盤作ってからじゃなきゃ恋愛なんて出来ないもん」
「ふふふ、そういう所はやっぱり社会人っぽいですね」
「ん、そうかなー?」
「そうですよ」
そんな感じで、お互いがラオッタまでどう来たのか何かを話した。
「え、そんな方法で城から出たの!?よくばれなかったね…」
「城から出ていくもののチェックは緩いんだそうです。貴族が色々持ち出したりしてるんでしょうね」
「あぁー、確かにー」
「そこからは一度、王都の冒険者ギルドに行ったんです。わざわざギルドマスターさんが裏口まで案内してくれて、そこからガイドーン家の馬車に乗せてもらいました」
「なるほどね。でも、スプリット渓谷の所で嵐にあわなくて良かったね」
「ですね、あそこの道、復旧には結構かかるって言ってました」
「うわー…重機とか無いもんねこの世界…あ、でも魔法でどうにかなるのかな?」
「どうなんでしょう?私、調合士さん達が錬金術とか薬調合スキル使ってるのしか見た事無いんですよね」
「あ、私も魔法使ってる所は見た事無いや。どんな感じなんだろうね」
「電気が無いのに、シャワーからはお湯もでるし、なんだか不思議ですよね」
「そうだねー、本当、遠くへ来たもんだ…」
話に夢中になり、結局、昼食もこの部屋で一緒に食べた。
「スライムって、やっぱり実際に見ると不思議ですね…本当に半透明で核がある…薬草もシュワって溶けるんですね」
「ずっと見てても飽きないよね」
(ライム、サクラちゃんに触ってもらっても大丈夫?)
(もんだいない)
「触り心地も、なんかひんやりプニプニしてて気持ちいよ。触ってみる?」
「良いんですか?」
「うん、ライムも大丈夫って言ってるから」
「じゃあ…ちょっとだけ」
サクラちゃんは、ライムを指でツンツンとつついた後、そーっと撫でた。
「うわ…なんかつるつるしてるけど柔らかくて…なんか不思議な感じ…」
「癖になるでしょ?」
「なりますね!私もスライム欲しくなっちゃう」
そんなこんなでサクラちゃんとのお茶会はとても楽しく過ごす事が出来た。
「お茶とお菓子、それに桜の花もありがとう。またこの国に来るときは会いに来るね」
「はい、その時までには上級ポーション作れるように頑張ります」
「あはは、そしたら買い取らせてもらおうかな?」
「ぜひぜひ!」
こうして私はサクラちゃんの部屋からお暇して、自分の部屋へと戻った。
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました
月神世一
ファンタジー
「命を捨てて勝つな。生きて勝て」
50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する!
海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。
再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は――
「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」
途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。
子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。
規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。
「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」
坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。
呼び出すのは、自衛隊の補給物資。
高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。
魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。
これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
お気に入り登録、ありがとうございます!!
療養中とのこと、お身体をご自愛ください。
もう数話楽しみにしております。
ありがとうございます。
おぉ 初コメでしょうか?
読みやすいし、面白いです!
主人公の性格も好きな方なので、これからも楽しみにしてます。
感想ありがとうございます。
現在、療養中で筆が止まっておりますが、アルファポリスの方はあと数話予約投稿していますので、引き続きお楽しみいただけると幸いです。