私はただ、憧れのテントでゴロゴロしたいだけ。

もりのたぬき

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【1部】第五章.いざ行かん馬車の旅

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気が緩みすぎて口が滑った。盛大に滑った。

「えーっと…これから言う事は、他の人には言ってほしくないんだけど良い?」
「ええ、まぁ…」

「実は私ね、こっちの世界に来たら10歳若返ってたの」
「えっ!?」
「本当は29歳の会社員だったんだよねぇ…それがこっちの世界に来て自分のステータス見て19歳になっててびっくりしたのよ」

「そうだったんですか…そんな事もあるんですね。そういえば召喚される直前、道の反対側にパンツスーツの女性が歩いてました…」
「うん、多分それが私だと思う。なんで10歳も若返ってるのか、理由は分からないんだけどねー」
まぁ、グラームス様かミルス様がやったんだってのは知ってんだけどさ。

「というわけで、私の中ではバートは絶対に無いのよ」
「なるほど…」

サクラちゃんはあんまり納得してない感じ。
そらそうよね、実は若返ってるんですなんて言われてすんなり信じれる人なんていないよねぇ。

「サクラちゃんはバートが気になるの?」
「い、いえ…使用人さんたちが、バートさんとブロッサムさんが恋人なんじゃないかって噂してて…」
「えっ…私、昨日だよここ来たの…」
「なんかバートさんて女性嫌いで有名で、そんな人が自分の愛馬に女性乗せるとかありえない!ってなってるらしいです」

「マジか…無理にでも別の馬に乗るべきだったのかな…でも、乗ったこと無いから落ちたらヤバかっただろうし…」
「じゃあ、まったくそんな関係じゃないんですね?」

「そらそうよ、召喚された部屋でちらっと見て、昨日助けてもらった時にちょっと会話しただけだよ?どこに恋愛関係に発展する要素があるよ?」

「あー、イケメンが助けてくれた!ってところくらいですかね?」
「うん、確かに奴はイケメンだねぇ…でも、やっぱり無いなぁ…タイプじゃないわ。それに、とりあえず今はのんびり暮らせる場所を探すのが先かなー」

助けてくれたことは感謝してるんだけどね、だからといってカッコいい!とはならない。
それよりも、人の生き死にを目の当たりにしちゃった方の記憶が強すぎて…。

「サクラちゃんは、ピーターとかどうなの?彼も結構顔整ってるでしょ」
「あぁ…ピーターさんは確かに顔も整ってるし良い人ではありますねー」

あー、でた。良い人。うん、ピーターは良い人どまりになりそうな感じだもんな…。

「ポーションの作り方とか習うんでしょ?」
「あ、それはもう分かりやすく教えてくれるのでありがたいですね!周りの調薬師の人たちも親切だし。でも、私もポーションづくりを極めるほうが先かなと思ってます」

「だよね、まずは自分の生活基盤作ってからじゃなきゃ恋愛なんて出来ないもん」
「ふふふ、そういう所はやっぱり社会人っぽいですね」

「ん、そうかなー?」
「そうですよ」

そんな感じで、お互いがラオッタまでどう来たのか何かを話した。

「え、そんな方法で城から出たの!?よくばれなかったね…」
「城から出ていくもののチェックは緩いんだそうです。貴族が色々持ち出したりしてるんでしょうね」
「あぁー、確かにー」
「そこからは一度、王都の冒険者ギルドに行ったんです。わざわざギルドマスターさんが裏口まで案内してくれて、そこからガイドーン家の馬車に乗せてもらいました」

「なるほどね。でも、スプリット渓谷の所で嵐にあわなくて良かったね」
「ですね、あそこの道、復旧には結構かかるって言ってました」

「うわー…重機とか無いもんねこの世界…あ、でも魔法でどうにかなるのかな?」
「どうなんでしょう?私、調合士さん達が錬金術とか薬調合スキル使ってるのしか見た事無いんですよね」
「あ、私も魔法使ってる所は見た事無いや。どんな感じなんだろうね」

「電気が無いのに、シャワーからはお湯もでるし、なんだか不思議ですよね」
「そうだねー、本当、遠くへ来たもんだ…」

話に夢中になり、結局、昼食もこの部屋で一緒に食べた。

「スライムって、やっぱり実際に見ると不思議ですね…本当に半透明で核がある…薬草もシュワって溶けるんですね」
「ずっと見てても飽きないよね」
(ライム、サクラちゃんに触ってもらっても大丈夫?)
(もんだいない)

「触り心地も、なんかひんやりプニプニしてて気持ちいよ。触ってみる?」
「良いんですか?」
「うん、ライムも大丈夫って言ってるから」

「じゃあ…ちょっとだけ」
サクラちゃんは、ライムを指でツンツンとつついた後、そーっと撫でた。
「うわ…なんかつるつるしてるけど柔らかくて…なんか不思議な感じ…」

「癖になるでしょ?」
「なりますね!私もスライム欲しくなっちゃう」

そんなこんなでサクラちゃんとのお茶会はとても楽しく過ごす事が出来た。

「お茶とお菓子、それに桜の花もありがとう。またこの国に来るときは会いに来るね」
「はい、その時までには上級ポーション作れるように頑張ります」

「あはは、そしたら買い取らせてもらおうかな?」
「ぜひぜひ!」

こうして私はサクラちゃんの部屋からお暇して、自分の部屋へと戻った。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.09.17 もりのたぬき

お気に入り登録、ありがとうございます!!

解除
トロ猫
2021.05.03 トロ猫

療養中とのこと、お身体をご自愛ください。
もう数話楽しみにしております。

2021.05.03 もりのたぬき

ありがとうございます。

解除
トロ猫
2021.05.03 トロ猫

おぉ 初コメでしょうか?
読みやすいし、面白いです!
主人公の性格も好きな方なので、これからも楽しみにしてます。

2021.05.03 もりのたぬき

感想ありがとうございます。

現在、療養中で筆が止まっておりますが、アルファポリスの方はあと数話予約投稿していますので、引き続きお楽しみいただけると幸いです。

解除

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