日本昔話村

たらこ飴

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洞窟③

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 空気が変わったのを察して止めるも時すでに遅し。耕太郎はぷるぷると体を震わせていたかと思うと、「幸のことを、そんな目で見るなあぁぉ!!」と目を真っ赤にして叫び権田に襲いかかった。元レスリング部の権田が腕を掴み引き離そうとするも、相手の身体の重さと力には敵わない。地面に押しつけられたまま「おい、離せ!」と苦しげに叫び手脚をバタつかせながら悶えている。このままでは殺しかねない。

「おい、耕太郎やめろ! 悪かったよ、こいつはこういう奴なんだ。さっきの発言は俺も謝るからどうか許してやってくれ!」

 止めに入ってしばらく三人で揉み合ううち、耕太郎が我にかえったようにハッとした顔をして手を解いた。権田は地面に仰向けになって白目を剥き涎を垂らしているが、自業自得なので放っておくことにした。

「オラは何てことを……」

 やがて耕太郎は自分の両手と倒れた権田を交互に見つめて言った。

「悪かったよ、オラは昔から怒り出すと手がつけられないって母ちゃん達に言われるんだ。いつか人を殺しちまうかもしれねぇ……それが怖ぇ」

 一瞬あの凄惨な事件のことが頭をよぎり背中が冷たくなった。

「耕太郎、そんなことはない。もしかしたら状況が変わるかもしれないし……」

 耕太郎は大きく首を振った。

「何も変わるわけねぇ。皆、オラのことを馬鹿にする。化け物、うすのろ、木偶の坊と呼んで石を投げる。だけど幸だけは違った。オラをちゃんと人として扱ってくれた。だけど前に村の男たちが集まって話してたのを聞いた。アイツらは、幸におかしなことをするつもりだ。幸に何かあったら、オラは……」

 その目には涙が浮かんでいた。村に馴染めず虐げられる悲しみ、幸を守りたいという純粋な思いと鬼気迫った感情が伝わってきて胸が痛んだ。彼を救いたい、そして幸のことも。もし耕太郎の言っていることが本当で、幸に何か危険が及ぶようなことがあれば僕だって黙ってはいられない。

「耕太郎、幸は僕にとっても大切な友達だ。誰にも彼女に指一本触れさせない。約束するよ」

 暗闇で光る小さな目に話しかけていると、いつの間にか息を吹き返していた権田が「ああ、そうだ!」と飛び起きた。

「幸をおかしな目で見る奴は、この俺が蜂の巣にして川に流してやらあ!」

 耕太郎は下心剥き出しの権田に対してはまだ少し警戒心を向けていたが、どうやら僕には心を許したらしかった。三人で話すうち、だんだんと耕太郎は笑顔を見せ始め、車を押していくのを承諾してくれた。
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