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11. 祭囃子
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松と帰る途中、太鼓と笛の音がどこかから響いているのに気づいた。
「来週部落のお祭りがあるのよ。あの音は、善三郎さんの家で皆で練習をしてるのね」
松が言った。
「お祭りがあるんですか?」
「そうよ、毎年8月のお盆前にね。私も友達の店を手伝う予定なの。あんたも幸とごんのすけ君と一緒に行けばいいわ」
ごんのすけではなく幻之介だが、今日幸と出かけた奴に対する恨みが消えていなかったために訂正はしないでおいた。ざま~みろ、ごんのすけ。
「楽しそうですね、もしできたら行こうと思います」
「出店も出るし、獅子舞や小踊りや神楽もあるし楽しいはずだよ」
一人で行くのは気が進まないが、幸と行けるなら行きたいなんて無粋なことを考えていた。
家に帰ると一足先に戻っていた権田がニヤニヤしながら寄ってきた。その顔を見ただけで楽しい時間を幸と二人きりで過ごしたのだろうことが分かり憎たらしかった。
「今日どうだったかって訊かないのか?」
「訊かない」と即答した僕を無視して権田は喋り出した。今の権田には僕をイラッとさせる要素しかない。
「いや~めちゃくちゃ楽しかったわぁ、幸ちゃんの笑顔がマジで萌え。こんな楽しいなら毎日でも買い物行きたいよな。てかさ、幸ちゃん村の人たちに沢山買い物頼まれて大変そうだったから、買ったもの皆の家に届けるついでに、今度から買い物頼むなら幸ちゃんじゃなくて俺に頼めって言ってやったわ」
話の半分以上をミュートしていた僕だったが、最後の話ばかりは悔しいが権田を見直した。お人良しの幸に行くついでにと買い物を頼む人間が多いことは前に幸から聞いていた。断ればいいと言っても幸は「いいのよ、困ったときはお互い様だから」と笑っていたが、僕も内心モヤモヤしていたのだ。書いたいものがあるなら自分で行けばいいし、どうしても行けないのであれば幸じゃなくてもっと身近な相手や別の人を頼る手もある。皆の欲求をのんでいたらそのうち幸も大変になるだろう。だから権田の行動は誉めて然るべきだ。褒めなかったが。
「来週部落のお祭りがあるのよ。あの音は、善三郎さんの家で皆で練習をしてるのね」
松が言った。
「お祭りがあるんですか?」
「そうよ、毎年8月のお盆前にね。私も友達の店を手伝う予定なの。あんたも幸とごんのすけ君と一緒に行けばいいわ」
ごんのすけではなく幻之介だが、今日幸と出かけた奴に対する恨みが消えていなかったために訂正はしないでおいた。ざま~みろ、ごんのすけ。
「楽しそうですね、もしできたら行こうと思います」
「出店も出るし、獅子舞や小踊りや神楽もあるし楽しいはずだよ」
一人で行くのは気が進まないが、幸と行けるなら行きたいなんて無粋なことを考えていた。
家に帰ると一足先に戻っていた権田がニヤニヤしながら寄ってきた。その顔を見ただけで楽しい時間を幸と二人きりで過ごしたのだろうことが分かり憎たらしかった。
「今日どうだったかって訊かないのか?」
「訊かない」と即答した僕を無視して権田は喋り出した。今の権田には僕をイラッとさせる要素しかない。
「いや~めちゃくちゃ楽しかったわぁ、幸ちゃんの笑顔がマジで萌え。こんな楽しいなら毎日でも買い物行きたいよな。てかさ、幸ちゃん村の人たちに沢山買い物頼まれて大変そうだったから、買ったもの皆の家に届けるついでに、今度から買い物頼むなら幸ちゃんじゃなくて俺に頼めって言ってやったわ」
話の半分以上をミュートしていた僕だったが、最後の話ばかりは悔しいが権田を見直した。お人良しの幸に行くついでにと買い物を頼む人間が多いことは前に幸から聞いていた。断ればいいと言っても幸は「いいのよ、困ったときはお互い様だから」と笑っていたが、僕も内心モヤモヤしていたのだ。書いたいものがあるなら自分で行けばいいし、どうしても行けないのであれば幸じゃなくてもっと身近な相手や別の人を頼る手もある。皆の欲求をのんでいたらそのうち幸も大変になるだろう。だから権田の行動は誉めて然るべきだ。褒めなかったが。
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