日本昔話村

たらこ飴

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祭囃子②

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 夕方、台所で炊事をしている幸に僕は思い切って声をかけた。抜け駆けになってしまうが、権田がいないうちに幸を祭りに誘おうと思ったのだ。

「幸さん……ええと、明日お祭りがあるみたいで……よかったら僕と一緒に行きませんか?」

 女性慣れしていないために辿々しい誘い文句になってしまったが、幸は嬉しそうに微笑んだ。

「いいですね、行きましょう。げんださんも一緒に」

「……え?」

 僕は耳を疑った。幸が権田をげんだと言い間違えたことではない、権田を誘おうと言ったことだ。予想できないことではなかったけれど、権田と一緒に行っても奴のことだから僕を一人にして幸と二人きりになろうとするに違いない。昨日の今日で権田にまた幸を独り占めされるのは避けたかったのだ。

「ああ、いやだ私ったら! げんださんじゃなくて権田さんだったわね、権田さんもいた方が楽しいでしょ?」

「そ、そうだな。一応あいつにも聞いてみるよ」

 良い人ぶってそう答えたものの、心の中ではめらめらと嫉妬の炎が燃え上がっていた。面白さでは僕だって権田に負けていないつもりだったが、幸の前では緊張してしまうがゆえに独自のユーモアセンスを発揮できないでいた。あいつに負けるもんか。僕は権田が行くと答えないことを願って部屋に向かった。

 権田は部屋で腹筋をしていた。夏祭りの話を聞いた権田は「俺はいいや」とあっさり答えた。

「いいのか? 幸も行くんだぞ?」

 内心ホッとしながら尋ねた僕に権田はニヤニヤ笑いを向けた。

「二人で行ってこいよ。俺は昨日幸ちゃんと二人きりで買い物してお腹いっぱいだからさ。それに、俺がいない方が好都合だろ、お前も幸のこと好きなんだろうし」

「むぐっ……」

 考えていたことが全て権田に見透かされていたことが悔しいやら、恥ずかしいやらで顔から火が出そうだった。権田はやっぱりな~と笑っている。

「行かねえっつっても、三人では行かねえって意味だ。実は最近仲良くなった子がいてさ、一緒に行かないかって誘われてんだ」

 権田はドヤ顔をして見せた。普段なら頭に来るところだし内心権田を誘うなんてどんな女だと驚いたが、幸を譲ってもらった手前感謝をしなければいけないと思い「良かったな」と言ってやった。

「もしその相手の子さえよければ、あとで合流しよう」

「考えとくよ、俺も村の女の子たちの相手すんので忙しいかもしんねえからな」

 僕はやはりこいつが嫌いだ。
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