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2章 学校編
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しおりを挟む「何ヘラヘラ笑っているんだよ!」
「そうだぞ、悠基。てめぇが笑っているのが気に食わねー」
僕がヘラヘラ……ではないのだが、いじめられたにもかかわらず満面の笑みをこぼしているのが、4人衆には受け入れがたい事実なようで──。
そのために、僕に向かって、鋭い言葉がヒューンっとこちらに向かって飛んできた。
こちらとしては、既に吹っ切れたのだから、他人にたいしておべっかを使うような他人行儀でいる必要性を微塵も感じることはない。
だから、鋭い言葉にたいして、僕は笑い返したんだ。
これでもかってぐらいに。
だけども、彼らの虫の居所をなおのこと、刺激したようで悪化した。
(お願いです。乱暴にしないで!)
僕は叫びたかったです。
でも、ちょっと調子に乗っちゃったから。
本当にごめんなさい。
あ、喧嘩は売ってないです。
あ、はい。
もう逆らわないから、許してください。
僕は非常に愚図で間抜けな態度を取ってしまった。
「逆らわないから、許してください」なんて言葉を軽率に口にしたのだから。
恥ずかしくてこの事実をもみ消せるものならもみ消したい。
だけど……それ以上に。
彼らに逆らうことが何よりも怖い。
僕の心の内で生じた恥じらいも態度も何もかもを見られることは許されない。
反乱の灯火を瞳の奥に灯して、彼らに対抗する小さな自我を秘めたまま、僕は彼らにされるがままを受け入れた。
全てを翻(ひるがえ)すそのときが必ずやってくることを僕は無為に信じた。
そして、誓った。
神様がいるならば、僕と僕ら家族に降り注ぐ不幸を楽しむ輩に、罰を与えて欲しい、と。
まぁ、神様なんか、この世にはいやしないって、知ってるんだけど。
頼れるものには頼らないと精神は瓦解してしまう。
だから、勝手に頼らせて欲しい。
いや、頼ります。
神様、あなたがいるならば、今この場で起きてる僕に対する“いじめ”を止める者を引き寄せて欲しい。
僕は待っている。
僕を助ける蜘蛛の糸を垂らす何者かの出現を。
神様に救いを求める敬虔な信徒が無心でお祈りを捧げるように、心の中では波紋ひとつすら波立たない無音の暗闇がどこまでも続いていた。
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