魔法少女・朝野こむぎはフランスパンで殴る。【完結】

束音ツムギ

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第三章 Fifty-Fifty. Despair of Whale.

8.

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 次に目を開くと、わたしは――草むらの上に、仰向けで寝転がっていた。最初に目に入ったのは、パンの見た目をしたわたしのサポポン。

「うっ……ここは……?」

『こむぎっ、大丈夫!?』

 目を覚ましたわたしに駆け寄るサポポン。その横で――わたしを覗き込むのは、会ったことのない一人の女性の顔があった。

 水色の、パーマがかった髪を揺らし、おっとりとしたような顔で覗くその女性は――

「……ああっ、起きたみたいやね?」

「あ、あなたは……? わたし、あのとき――」

 完全に意識を取り戻したわたしは、起き上がり――わたしが置かれた状況、つまりは今まで意識を失い、倒れてしまっていて――目の前の背の小さな、おっとりとした水色髪の女性へと面倒を掛けてしまっていたことに気がつくと、急いで立ち上がる。

「ウチは隣町、月野宮つきのみやからきた蓮見遥はすみ はるか言いますー。話は星羅せいらちゃんから聞いてるんよ。魔法少女――朝野こむぎさん」

 魔法少女という単語が出たこと。そして、同じく魔法少女である八坂さんの名前が出たことから、彼女もまた――魔法少女なのだろう。それも、八坂さんと知り合いの。

 それなら、この状況にも納得がいく。あんな攻撃を受けたにも関わらず、わたしの身体にまだ、魔法少女としての力が残っているように感じるのにも。魔法少女としての死を迎えていない……つまり、まだあのネガエネミーに負けていないということに。

 さっき、白い光線に撃ち抜かれたとき――八坂さんも一緒に、あの攻撃を喰らっていたはず。いくら、わたしなんかよりも強い彼女でも、あの状態からわたしを助けるなんて不可能なはず。

 そんな絶体絶命のピンチの中、何故生き残っているのだろう? そう思ったわたしだったが――きっと、その時に駆けつけて、助けてくれたのが、目の前の水色髪の女性――蓮見さんなのだろう。そう思い、わたしは――

「あのっ、助けていただきありがとうございます。おかげさまで助かりました……」

 わたしは言うと――彼女は、首を横に振りながら、

「いやいや、助けたのはウチじゃなくて、ウチをここまで連れてきてくれた京香きょうかちゃんなんよー。ウチは魔法少女、もう魔法は使えんからねぇ……」

 、魔法少女。そう聞いて、もしかして――と、思い浮かんだ人がいる。実際に会ったことはなかったが――八坂さんが言っていた『先輩』とは、もしかして彼女のことなのだろうか?

 都市伝説との戦いで魔法少女として、それでも裏方に回り、魔法少女を助け続けていると聞いたその人は、わたしの勝手な想像よもり――優しくて、親しみやすそうな……そんな印象があった。


「ところで、他の皆さんは一体どこへ……?」

 周りを見ても、自分と蓮見さんの二人しかいない。八坂さんと、わたしたちを助けてくれたという京香きょうかさんと呼ばれていた魔法少女は何をしているのだろうか。

「あの二人なら、こむぎちゃんが目覚めるまで、『ラプスモード』でを守っとるよー? 星羅ちゃんが言うてたけど、どうも、作戦があるんよね?」

 初対面でいきなりちゃん付けで呼ばれたり、『ラプスモード』という初めて聞く単語に少し驚きつつも――さらに、驚いたのは――

「ちょっと待ってください。……って……?」

「ネガエネミーの標的ターゲット……言うなれば『一般人』やねえ。まーあの二人が時間稼ぎに回ってくれてるし、ウチも安心やけどね」

 みんな――魔法少女であるわたしたちが守るべき、関係のない人々に、たった今、危険が迫っている。……わたしが倒れていたばかりに。

「……わたし、行ってきますっ! これ以上負担は掛けられませんし、急がないと――」

「……身体はもう大丈夫なん?」

 心配そうな目で、わたしに問いかける。……さっき、諸刃の剣だと言っていた――『チャージ』のせいか、まだ身体が重い。

 しかし、こんな所で休んでいられない。それに、蓮見さんにこれ以上、心配をかける訳にもいかない。身体の不調をかき消すように、わたしは――

「……はい! みんなが頑張っている中、わたし一人、休んでなんていられませんから。……蓮見さん、ありがとうございました!」

「頑張ってな~」……という声と共に、手を振り、見送られる。

 わたしは――『BREADブレッド』――魔法名を唱えると、時の流れは変わり……手を振る蓮見さんの動きが
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