ハズレスキル【すり抜け】を極めたら世界最強のチート能力に覚醒しました〜今更帰って来いと言われても、あの時俺を役立たずとして捨てましたよね?〜

玖遠紅音

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序章

3話 確率操作は神(運営)の特権

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 どうも、さっき車に轢かれたばかりの底辺大学生でーす。
 今日はですね、第一回死亡記念ということで、あの有名な地獄に凸してみようと思います――じゃなくて!

 なんなんだよこの状況!
 手足の感覚が何もないし視界も真っ暗! 
 なのに何故か落下中!

 日ごろの行いが悪すぎてマジで地獄に落ちたってのかよ。
 いや冗談じゃねーぞ!
 ただ1日たったの18時間スマホに張り付く以外は毒にも薬にもならないそこらの石みたいな生活を送っていただけなのに。
 それだけで地獄に落とされるなんてマジで勘弁してほしい。

 というかいつまで落ち続ければいいんだこれ。
 暇すぎるからスマホ開きたいんだけど。
 ガチャ期間終了までの時間は有限なんだから、こんな無駄な時間過ごしたくないんだが。

 そもそも俺って本当に死んだのか?
 これワンチャン夢の中説あるぞ。 
 たしか落下する夢を見るのって色々と精神的に不安定な証拠なんだっけか。

 ……とりあえず早く起きねーと。
 と言っても夢の世界を脱出する方法なんて知らねえなぁ。
 途方に暮れながら、俺は暗闇の中でひたすら下へ落ち続ける。

 これだったら安全装置付きて一回飛び降りればすぐ終わるバンジージャンプの方がマシだぞ。
 何も見えないんじゃ全く面白みもないしな。
 あー早く終わってくれねえかな。

 そんなことを考えながら落ちる。落ちる。
 無限ともいえるくらいの長い時間堕ち続け、死にそうなくらいの退屈を耐えた。
 そして――何かが、変わった。

 相変わらず声は出ないし何も見えない。
 もちろん手足の感覚もないし、何なら肌の感覚すらない。
 それでも、何かが変わった。
 分かりやすく言うなら、空気が変わったという奴だろうか。

 なんというか、堕ちていた時は息が詰まるというか、常に何かに縛られているかのような窮屈さがあったのだが、ここは何もない。
 息が詰まるような苦しさもないし、重力も感じない。
 それでいて、何故か満たされるような感覚だ。

 何もないけど、全てがある。
 幸福という言葉の中に潜り込んだような、そんな気分だ。

 俺はそんな不思議な場所で、とにかく動き回った。
 いや、動こうと頑張っているだけで実際は動いていないのかもしれない。
 なにしろ感覚が全くないのだ。どうしたらいいかなど分かるはずもない。

「――貴様、何者だ?」

 おおおおお!
 声だ! 声が聞こえた! 
 今まで何も聞こえなかったのに、誰かが話しかけてきた!

 やべえ! めちゃめちゃ嬉しい!
 音が耳に入っただけでこれほどの感動を覚えるとは!

「なんじゃ貴様、偉く興奮しておるな。一応言っておくが、わしは貴様の霊魂に直接声を送り付けているだけだから、耳に入ったという表現は誤りだぞ」

 おお、こっちの声も届くのか!
 ちょっと何言っているか良く分からんけど、わしって言ってるからジイさんだろう。
 おっさん、助けてくれ!

「こ、このわしに向かってジイさんだとぉ……そのような暴言を吐かれたのははじめてじゃぞ! だいたい霊魂の分際でこの神域に無断で侵入する時点で許されざる大罪だというのに……」

 やっべ、怒らせちまった。
 こいつあれか、まだまだワシは現役じゃぞ! 舐めるな若造! 
 みたいなタイプだったか。くっそー地雷踏んじまった。
 しかも神域がどーたら言ってるし、中二病こじらせた余計にヤバいタイプかもしれん。

「んぬぅ、もはや無礼が極まりすぎて逆に清々しいわ。我が姿を見た者はみなわしを畏れ、敬うというのに……」

 姿を見ろって言われても、俺あんたの姿見えないし無理なんだが……
 えっと、気に障ったのなら誤るけど、正直そんなこと言ってる余裕ないんだ!
 なんで俺がこんな目にあっているのかさっぱりわからんし、夢ならさっさと覚ましてくれないか!

「むぅ、なるほど。貴様、迷い霊か。しかし迷い霊といえども、わしの許可なくここへたどり着くことなどできぬはずだが……む、待てよ。貴様、出身はどこだ?」

 え、出身? 日本だけど?

「日本……つまりは地球というわけだな?」

 まぁ、一応そうなるな。
 地球出身って言ってる人見たことないけど。

「地球か。となるとつまり――ふむ、なるほど」

 えっと、何してるの?
 一人で納得してないで俺にも説明してくれよ。

「まあ待て。そう焦るな。どうやら貴様、世界転移に巻き込まれたようだな」

 ……はい?
 え、なんすかそれ。アレか? 巻き込まれ異世界召喚ものってやつ?
 あの勇者より明らかに強すぎるスキル持ってるのになぜか追い出されちまうあれ?

「正確には全然違うが、面倒だから概ねその認識で良いことにしよう。どうやら貴様はあの交通事故で死んだ4人が別世界へ呼び出される際に、その術式に引っ張られてここへ来たようだな」

 マジかよ。じゃあ俺被害者じゃん。巻き込まれたかわいそうな一般人じゃん。
 ってことはあんたが神様で、俺にお詫びでチートスキルでもくれるってパターン?

「なにを期待しているのか知らぬが、そもそも貴様は巻き込まれたというより巻き込まれに〝いった〟のだぞ」

 は? いやいや、その時に異世界召喚が行われるなんて分かるわけないだろ。
 そんな面白イベントがあるって分かってたら――分かってたら……それでも巻き込まれに行くかもしれないけどさ。

「わしは奴ら4人の転移先の世界から依頼を受けて、その世界と地球を接続し、その上で彼ら4人がまとめて肉体を失う状況――つまりは交通事故が起きるように調整した。ついでにその瞬間だけは他の人間が絶対に近寄ることのないよう操作した」

 それってあれすか。因果律操作って奴ですか。
 理論上なんでも自在に弄れちゃうあのぶっ壊れインチキ能力。

「まあ概ねその認識で間違っていないだろう。要はあの4人以外、絶対に近寄れないようにしてあったはずだ」

 さらっと認めたけど、交通事故を意図的に引き起こすってヤバすぎるだろ。
 マジだったら俺、あんたに殺されたってことだろ?

「本来ならば人間の世界渡りなど絶対に認めんのだが、かの世界ではわしの目を盗んで世界渡りを行い侵略行為を働く不届き者が現れたようでな。わし自身が直接手を下すわけにもいかぬ故、全世界への影響を限りなく小さくするために上位世界の民である地球人4人を送り込むことを許したわけだ。もっとも、人の子が肉体を所有した状態で異世界へ向かうことなどできぬから、こうしてわざわざ肉体を殺したのだがな」

 さらっととんでもないことを言ってくれるなこのジイさん……
 正直半分くらい頭に入ってないけど、要はあんたが交通事故を引き起こして異世界召喚の手引きをしたってことだろ?

「そうだな。そして貴様はこのわしの調整を無視して現場に進入してきた愚か者というわけだ。貴様は進入禁止と書かれている場所に入りたくなる気質でもあるのか」

 それはいくらなんでも言いがかりすぎる! 
 俺はちゃんと信号が青になってから発進したのに!
 だいたい神様か何か知らないけど、そんなすげー奴が因果律操作したなら俺如き一般人が介入できるわけないだろ!

「うむ。本来はそのはずなのだが……どうやら貴様の魂は〝すり抜け〟の性質を有しているようだ。全く厄介な……」

 ここにきてあまりに唐突なガチャ爆死煽り!?
 俺が2個以上ピックアップされてるガチャで悉くすり抜けまくってることをバカにしてんのか!?

「何を憤慨しておるのか知らんが、貴様はその性質故に我の調整に縛られることなくあの交差点へ侵入し、そして死んだ。しかも死んだ上に直接転移の対象にはならなかったものの、召喚された奴らの近くにいた影響で魂を引っ張られて、この〝中央世界〟へと流れついてきたというわけだ。今ちょうどこの中央世界は二世界の境界の中心に位置させておるからな」

 マジかよ……神様の能力に縛られない俺って、もしかしてヤバい奴?

「そうだ。こんなこと本来あってはならんのだ。この世界はわしが許可したもの以外の全ての生命体を進入禁止とする結界壁すらすり抜けてここまで来ておる時点で相当マズい」

 うへぇ……で、この後どうすればいいんすか俺。
 やっぱ危険人物として処理されちゃう感じすか?
 それは勘弁して欲しいなぁ……

「まあこちらに不手際があったのは事実だ。貴様のようなイレギュラーをも含めた調整を行うべきだった。故にこのまま消すのも忍びない」

 おお。ってことは!

「とはいえ、ここに居座り続けられても困る。今更地球で生き返らせるわけにもいかぬし、とりあえず貴様もあっちの世界に送ってやろう」

 おおお!

「貴様の性質に合う肉体を持つ死産の子へと魂を移し、転生させてやろう。貴様が自らの能力で世界の壁を超えられるならば、今二つの世界を接続している今、各世界への影響を最小限に抑えて転生させることが可能だろう」

 えっと、でも俺ってあんたの力を受け付けないんだろ?
 それなのにうまくいくのか?

「誰に物を言っておるのだ貴様は。このわし自らが直接触れて従わぬ生物などただの一体もおらぬわ。あくまで貴様は我が全世界への影響を最小限にするために施した術式と、比較的条件が緩い結界をすり抜けたにすぎぬ。問題なく事は進むだろう」

 なら安心だ。で、その、お詫びチート能力は何をくれるんだ?

「お詫びチート? なにを言っておるのだ貴様は」

 え、いや。そのなんだ。
 異世界転生主人公によくある最強能力とか。
 ぶっ壊れ武器とか。ヤバすぎるオトモとか。
 そういうのくれたりしないんすか?

「何を言うか。ほんの僅かとはいえこのわしの力から逃れられる時点で貴様は他の生命体とは一線を画しておるのだ。それ以上に何を望むというのだ。それに地球人は原初の知的生命体の一つ。上位種族の貴様らは、かの世界に渡った時点で古き肉体の封が解かれ、おのずと何らかの能力に目覚めるであろうよ。故に例の4人が召喚されたのだからな。ほれ、さっさと行くがよい」

 えっ、ちょっ! せ、せめて何かしら役に立つ能力くらい――

「全く図々しい奴め。このわしが直接救済してやろうというのになんという贅沢な奴だ。ならばその厚い面に免じてほんの少し祝福をくれてやろうか」

 おおっ、太っ腹! んで、それっていったいどんな――

「それはかの世界で直接確かめることだな。せいぜい期待するが良いだろう。では、さらばだ」

 うおおおおっ!? ちょっ、もう少しゆっくり――
 か、体が勝手に動く!

 怒涛の展開で頭が追い付いていないが、それ以上の思考はできず、再び意識は闇へと落ちていった。

「……まったく、わしが創り出した神魂に、わしと似た形を持ちつつその神性を封じる性質を持った肉体を被せて作った原初の人間〝地球人〟。奴らは決してその身に宿す膨大なエネルギーを表に出すことはない。ましてわしの意に従わぬなどあり得ぬこと。かのイレギュラーめが、肉体の封を失ってその力を完全化させる前になんとか別の肉体に押し込むことが出来たが……今後は注意深く観察する必要がありそうだな」

 先ほどの無礼で危険な魂が異世界へと渡っていく様を背景に〝少女の形〟をした神様が呟いた言葉は、今度こそ誰の耳に入ることはなかった。





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