ハズレスキル【すり抜け】を極めたら世界最強のチート能力に覚醒しました〜今更帰って来いと言われても、あの時俺を役立たずとして捨てましたよね?〜

玖遠紅音

文字の大きさ
7 / 22
序章

7話 可愛いとか弱いは一致しない

しおりを挟む
「むむむむ……」

 右の手のひらに力を籠め、左の手でその手首をつかんで支える中二病スタイルからこんにちは。
 俺の願いはただ一つ。小さな蝋燭ろうそくのような火でいいから、魔法として発生してほしい。ただそれだけだ。それだけなのに……

「――――っ、はぁ、はぁ、くそっ!」

 目を思いっきり瞑って、呼吸すら忘れるくらい全力で集中しているのに、全く成果が上がらない。
 俺が最初に感じた体の中のあの凄まじいエネルギーは、俺のタダの妄想だったのか?
 中二病の妄想が爆発した結果生まれた勘違いだったのか??

 そんな自虐が頭から離れないくらいには失敗を重ねている。
 ちなみに近くには他の魔法指南系の本がいくつも転がっているけど、どれも俺が躓いているところが基礎中の基礎すぎて全く解決に繋がらん。
 休憩中の暇つぶしに一応全部読破したけれど、魔法という感覚が一切つかめないから正直5割も理解できていないだろうな。

「――あ」

 すとん、と自然に膝が落ちた。
 全身から一気に力が抜けていくのを感じる。
 この作業、何の成果も得られないのに異様なまでに疲れるのだ。
 なんというか、台座に固定された自転車を必死に漕いでるような気分だなぁ……

「あらあら、どうやら難航しているようですねえ」

「あ、フーリさん……」

 そのまま横になろうと落とした頭を、優しくぽんと受け止められた。
 その手の主は音もなく、いつの間に現れたフーリさんだ。
 いつの間に、と思ったけど、疲れ果ててその理由を考える余裕ないや。

「ふむふむ、私の本だけでは足りなかったですか。どこで詰まっちゃったんですか?」
「えっと、この二番目の魔法陣に魔力を込めるって奴で――って、私の本? これって、フーリさんが書いた本なんですか!?」

「ええ、はい。正真正銘私が書いた本ですよ。ほら、裏表紙に書いてあるでしょう?」

 そう言っていつの間にか膝枕であおむけに寝かされた俺の顔の前に、穴が開くほど読んだはずの本の裏表紙を俺に見せてくれた。
 著:フィーリス・エリス・アールライト、と達筆な字で書いてある。
 俺の頭には一瞬ハテナが浮かんだけれど、すぐにファーストネームのフィーリスの略称がフーリになることに気づいた。

「このフィーリスさんがフーリさんってことですか?」

「そうですよ! わたしの名前、長いし小さな子たちには覚えにくいかなって思って、ここではフーリって名乗っています」

「そうだったんですか……あれ? でもフーリさんが教えているのって。武術の方だった気がするんですが……」

 そう、彼女は確か剣術の達人。魔法はあんまり使わないと言っていたはず。
 それなのになぜフーリさんは魔法の本なんか書いているんだろうか。
 という過去の本、他の魔法の本と比べて遜色ないどころか、全くの初心者からするとこれが一番わかりやすかった気がする。

「確かにわたしは剣を振る方が得意ですが、魔法技術も大きな学校で先生出来るくらいにはあるんですよ!」

「へ、へぇ……フーリさんって、すごい人だったんですね……」

「そうでしょう、そうでしょう! ふふっ、惚れ直しちゃいましたか?」

「えっ、あ、いや、そういうわけでは――」

「ふふ、顔真っ赤にしちゃって、とってもかわいいですよ!」

 ぬぐぐ……掌の上で転がされているような敗北感が半端ねえ……
 というかいくら中身が大学生でも、見た目5歳の子供にそんなセリフ吐くか普通!?
 でもくすくすと愉快そうに笑っているフーリさんはやっぱりかわいい。
 実年齢は前世の俺と今の俺を足しても届かないんだろうなって思うけど、その言葉を吐けばロクな未来が待ってないので改めて気を付けよう。

「そ、そういえばフーリさんってどんなスキルを持っているんですか!?」

「ふふ、気になります? どんなスキルだと思いますか?」

「えっとその、今日もこの前も気が付いたら現れたりいなくなっていたりしてたから、そういうことが出来るスキル、ですか?」

「おおー、よく見ていますね! 正解ですっ! 正確にはもうちょっとできることがあるんですが――よっと」

「えっ!?」

 俺の頭をやさしく撫でていた手を止めて、俺に見えるように細く白い手を上に向けると、瞬きをしている間にその手に一振りの剣が握られていた。
 膝に俺の頭がのっかっているので、フーリさんは一歩も動いていない。 
 それなのにも関わらず、どこからともなく剣を持ってきたのだ。

「わたしのスキル名は『瞬間転移』です。そのままの意味で、自分を含むあらゆる物体を一瞬で好きな位置に移動させる・・・ことが出来ます!」

「おお……」

 すげえ! やっぱり瞬間移動系の能力か!
 しかも自分が移動するだけじゃなくて、物も自在に移動させられるなんてぶっ壊れのチート能力じゃないか!

「すごく便利で強そうなスキルですね!」

「そうなんですよぉ! このスキルとっても使い勝手が良くて、剣を振った先に敵を移動させて首を確実に斬り落としたりはるか上空に敵を転移させて落下死させたりいろいろな使い方が――って、ぼっちゃまの前でお話しするような内容じゃなかったですねあはは……」

「へ、へぇ……」

 や、やることがえげつねえ……
 普通は移動手段としてすごく便利ってことを強調すると思うんだが、まず最初にガチ戦闘での活用方法を語り出すって……
 そんな恐ろしいことを平然と笑顔で言ってのけるもんだから、思わず背筋が震えてしまったぞ……

 フーリさんは単なる物理型エルフじゃなくて、実は戦闘狂エルフなのかもしれない。
 認識を改めておこう。この人はやばい。

「でもどこにでも一瞬で行けるっていいなぁ……フーリさんなら世界中どこでも行きたい放題ってことですもんね」

「そうですね! でも自分が認識できない場所には移動させられないので、基本は一度行ったことある場所しか行けないって感じです!」

「……ということは、上空は行ったことがあるんですか?」

「はい! 雲の上くらいならば魔法で空を飛べるので簡単に行けますよ! せっかくだから行ってみますか?」

「えっ!?」

「ヴェルぼっちゃんもずーっとここから出られないんじゃ退屈でしょうし、たまにはお外の世界に飛び出ることも立派な勉強ですよ!」

「いや、その――」

「ちゃんと捕まっていてくださいねーっ!!」

 予想だにしていなかった展開に戸惑いまくっている俺だが、フーリさんは俺を一旦膝枕から降ろしたかと思うと、俺の小柄な体を軽々と持ち上げて自分の胸に抱えた。
 やわらかいしいい匂い――とかそんなスケベ心が脳に届く前に、俺は雲の上へと連れ去られていた。

「うわあああああああっ!!?」

 まず感じたのは突風。猛スピードで落下していく俺たちには、凄まじい上向きの風が襲い掛かってくる。
 その風圧のほとんどはフーリさんが受け止めてくれているが、それでもヤバイ。
 次に真っ白な白い海が目に飛び込んできた。雲だ。雲の海だ。太陽の光もまぶしい。

「ヤバイ、ヤバいですってこれっ!!」

「あはははっ! どうですか! 初めてのお空の上は!」

「マズいですって! このままだと死ん――」

「あ、ちなみにここは侯爵家の真上なので脱走にはならないからご安心を!」

 そういう問題じゃねえええええ!!!
 なんで初めての外出(?)が家のはるか上空の雲の上なんだよっ!!
 ちょ、ヤバいって。空気も薄いから若干息苦しいし、俺の脳みそは全力で警鐘を鳴らして――鳴らして……ない、か?

 突然の出来事で激しく動揺してしまったが、よくよく考えれば俺はここに転生してくる前に真っ暗な世界を延々と落下し続けた経験があるんだった。 
 それに比べたら落ちること自体にはそこまで恐怖心が無くなっている、ような気がする。

「さあ! そろそろ雲の上の世界とはおさらばですよーっ!」

 頭の中であれこれ考えているうちに、気が付けば白の海面のすぐそばまで来ていた。
 待って、やっぱ心の準備が――などと口にする前に、俺たちは雲の中に飛び込んでいて、何か感想を抱く時間すら与えられないほどあっさり飛び出してきてしまった。
 一応雲の中に入る前にフーリさんが何か魔法のようなものを発動させていたおかげか、特に体に変化はなかったな。

「はいストップー! ふふっ、上空から落下の旅、どうでした?」

 何事もなかったかのように笑顔で訪ねてくるフーリさんだが、俺は息も絶え絶えだ。
 叫びまくってのども若干いてえ……

「はぁ、はぁ、死ぬかと思いました……」

「ちょっと刺激が強すぎましたかね、はは。でもほら、下見てみてください! 落ちないようにちゃんと支えてますから、ほら!」

「え、っと――おぉ……」

 雲を抜けてちょっと経った地点で停止したフーリさんは、俺に下の世界を見せてくれた。
 そういえば、魔法で空も飛べるって言っていたな。
 でも、そんなことはすぐに頭から消え去った。
 何故なら、

「――すげえ」

 ただ一言、その言葉が自然と出てきた。
 広がっていたのは、世界だ。
 この景色にどんな名前を付けていいのか分からないけれど、これは世界。
 俺にとっての異世界だ。

 青色、緑色、黄色、白色……
 ありとあらゆる色を使って巨大なキャンパスに描かれた世界。
 RPGのドット絵マップを、リアルな世界で見ているような、そんな感じの光景が、俺の視界を埋め尽くしていた。

「どうですか? 世界は、広いでしょう?」

「……はい」

 前世で一度だけ、飛行機に乗ったことがある。
 その時窓から見えた景色は、世界のほんの一部。それも一瞬だけだ。
 こうやって何物にも遮られることなくじっと眺めてみると、心の奥底からさまざまな感情が湧き上がってくる。

「ヴェルぼっちゃんが見ていた世界は、この世界のほんの一部。豆粒のようなものです。この世界には、ぼっちゃんが見たことのない素敵な景色がいっぱいあります」

「…………」

「……どうですか? この世界の事、もっと知りたくなりましたか? この世界のこと、好きになれそうですか?」

 一瞬、フーリさんの顔が、真剣なそれへと変わった。
 こんなところで問いかけてくる意図は正直さっぱり分からない。
 どう答えたらいいか迷うところではあるけど、とりあえず一つだけ、今この場でも答えられることはあった。

「よく、分からないけど、もっと、いろんなところへ行ってみたいなとは思いました」

 俺がそういうと、フーリさんはいつもの笑顔に戻って、

「それは良かったです! それじゃあ、そろそろ戻りましょうか!」

 一呼吸置くと、やはり一瞬のうちに俺たちは図書館の中へと戻っていた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

処理中です...