8 / 22
序章
8話 メイドさんが師匠になってくれるらしい
しおりを挟む
「お空の旅しゅーりょー! 何度やっても気持ちいいですねー!」
「はぁ、はぁ、そ、そうですね……」
「あちゃー、休憩しているところで余計に疲れさせちゃいましたかね?」
ある意味魔法勉強での疲れは吹き飛んだよ。ある意味でな。
改めて、このエルフちゃんはヤバい。絶対に敵対しちゃダメだ。
今この瞬間のうちに、脳みそに深く刻み込んでおこう。
なんというか、短期間のうちにフーリさんに対する認識が変動しすぎな気もするけれど、こんなもん見せられたら仕方ないよな。うん。
ところでさっき見た空は、オレンジ色だったな。
フーリさんは、この屋敷の上空に飛んだって言っていたけれど、それが本当なら今は日が沈む時間。夕方のはずだ。
時計が近くにないので正確な時間は分からないけれど、それくらい時間が経っていてもおかしくはない。
そんなことを考えていたら、フーリさんに抱えられたままだった俺は椅子へと降ろされ、フーリさんはどこからともなく懐中時計を取り出して時刻を確認した。
メイド服+懐中時計でスマートに時間を確認する様は、それだけでもちょっとカッコイイ。これコスプレイヤーじゃなくてガチなんだぜ?
「さてさて、ごはんの時間までもう少しありますけど、ヴェルぼっちゃんはこの後どうされますか?」
「え、あ、えっと……少し休んだらもうちょっと魔法の勉強をしようかなって思ってます」
「ふむふむ、勤勉でいいですねえ! この調子でいけばきっと将来は明るいですよ!」
「そ、そうですかね……?」
「そんな将来有望なヴェルぼっちゃんを、おねーさんが特別に手伝ってあげましょう!」
「――へっ?」
フーリさんは漫画だったらニシシ……という擬音が横についてそうなしたり顔で、腕を組んでそう言い放ってきた。
フーリさんってあの魔法入門書みたいなのの著者だって確かさっき言っていたよな?
剣術が一番得意だけど、魔法も大きな学校で教鞭をとれるほどとも言っていた気がする。
「えっと、それってフーリさんが魔法を教えてくれるっていうことですか?」
「そういうことです! ついでに剣術の方も教えますよ!」
おお……正直言って、それは結構魅力的な提案だな。
いくらこの図書館で自由に学ぶことが出来るとはいえ、詳しい人に教わる方が断然効率がいい。
俺とフーリさんの師弟関係の相性がいいのかは分からないけれど、他に頼れる人もいないしな。
「まあとりあえず一晩ゆっくり考えてみてください。また明日、ぼっちゃんがお勉強しているところにこっそりお邪魔しますから!」
「できれば普通に来てください……」
「ふふっ、考えておきます! さて、もうちょっと時間ありますし、せっかくだから坊ちゃんが今躓いていたところをやって見せてくれませんか?」
「あ、はい。えーっと……」
「はい! どうぞ!」
「あ、ありがとうございます……」
あの本どこに置いたっけなと探し出す前にフーリさんがあっさり手渡してくれた。
出来るメイドさんだなって思うのと同時に、気が利きすぎるのは逆に怖いと言っていた人の気持ちも分かるなとも思った。
さて、例の魔法陣のページだが、繰り返しやりすぎて何ページにあるのか覚えてしまったのですぐに用意できた。
「むむ……」
イメージは、ライトニングケーブルだ。
ライトニングケーブルとは、簡単に言えばスマホ等の充電やパソコンとかと接続するときに使うケーブルの事。
俺の右手を電源プラグ側。魔法陣をスマホ側と認識して、俺の右手から電気(魔力)を届けるイメージだ。
「ふむふむ、これは……なるほど」
フーリさんにじっと見られていることも、深く集中してしまえば気にならない。
俺の中に眠る(はずの)魔力を、まっすぐ魔法陣まで届けるだけの作業。
魔力さえ届ければ、魔法陣側が勝手に術式を発動して光ってくれる。
俺の腕が、その二つを接続するケーブルになるだけでいい。
それだけだ。たったそれだけの事なのに……
「むむむむぅ……」
自然と声が漏れる。力んでいるし、体の中から何かが出ていくのは感じ取れる。
それなのに、一向に魔法陣は反応しない。
何度も経験したことだが、何がダメか見当もつかないのでやっぱりイライラして、おそらく必要以上であろう量の魔力を強引に叩きつけ始めた。
「はいストップですっ! いったんやめてください!」
「…………」
「むむ、仕方ないですね。はい、強制終了ですよー!」
「うわっ!?」
集中しすぎて周りの声など全く聞こえていなかったので、急に体を持ちあげられたことに驚いて声を上げてしまった。
同時に凄まじい脱力感に襲われるが、フーリさんが強引に中断してくれたのですぐに倒れるほどではなかった。
「ふー、これは凄まじいですねえ……」
「……ぁ、フーリさん」
「その集中力もそうですが、魔力量が特に凄まじいですねえ」
「そ、そうなんですか……?」
「こんなこと、朝から繰り返していたんですか?」
「そうですが……」
どうやら俺の魔力量はフーリさんから見てかなり多いらしい。
ちょっと休憩すれば回復するとはいえ、こんな魔法陣光らせるためだけの作業ですぐにぶっ倒れてしまうくらいだから相当少ないと思っていたんだがな。
あと何を確認しているのか知らないけど、あちこち撫でまわすのやめてください。くすぐったいし、ちょっと恥ずかしいです。
「いいですか。普通の人間は総魔力量の5分の1ほどの魔力を一気に使うと、体が耐えられなくなって休息をとるように脳から命令が下ります。ぼっちゃんがこれをやるたびに毎回倒れそうになるのもそれが理由です」
「な、なるほど……」
「それでですね。ぼっちゃんがさっき使った魔力量は、だいたい宮廷魔法使いの平均レベルと同じくらいですね。その年齢でこれは明らかに異常ですよこれは」
おおマジか! つまり今の俺の魔力量は宮廷魔法使いの5倍ってことだろ?
宮廷魔法使いがなんなのかとか、どれくらい強いのかとかは全く知らんが、おそらく魔法で飯を食っているプロのことを指しているんだろうし、俺ってやっぱり相当凄い才能を秘めているのでは……?
「ですが、魔法を発動するまでのセンスが全くないというか、どうしたらそこまで魔力を無駄遣いできるのか気になるレベルで酷いですね」
「えぇ……」
「なんと言ったらいいんですかねえ。凄まじい量の魔力を放出しているのに、魔法陣には一切届いていないんですよね。例えるならば、穴あきのコップに水を注ぎ続けているような感じです」
マジかよ……それじゃあいくら膨大な魔力があったとしても全く意味がねえじゃねえか。
魔力を持っていても魔法が使えないんじゃ宝の持ち腐れでしかな――ん、待てよ? 穴あきのコップに水を注いでいるって、それってつまり……
「すり抜けて、いる?」
「そう! その表現の方が正しいかもしれません! せっかく放出した魔力が魔法陣を何故かすり抜けてそのまままっすぐ進んじゃっているんですよね!」
はい、犯人が判明しました。
俺のスキル【すり抜け】。てめえのせいじゃねえか!!
なんでスキルが俺の魔法使いへの道を妨害するんだよぉ!!
「あれ、ぼっちゃんひょっとして心当たりがある感じですか?」
「ふえっ? あ、いや、なんでだろうなーって気になっちゃって、はは……」
「そうですかぁ……不思議ですねえ」
目を瞑って腕を組みながら悩むようなそぶりを見せるフーリさん――だけど、時々ちらちらとこっちを見ている気がする。
俺の能力が壁抜けなのは伝えてあるから、もしかしてそこから連想されてバレちゃってるパティーンですかいこれは!?
すり抜けてる? とか余計なこと言わなきゃよかった。
(……しかし、このデメリット、何とかしなきゃマジで)
最初はすり抜けつえーとしか思ってなかったけど、こんな風に俺にとって必要なものすらすり抜けて反応しなくなるんじゃ話は大きく変わってくる。
これからもこのようなことが続くと大変困るので、何とかしなきゃと改めて思った。
「はぁ、はぁ、そ、そうですね……」
「あちゃー、休憩しているところで余計に疲れさせちゃいましたかね?」
ある意味魔法勉強での疲れは吹き飛んだよ。ある意味でな。
改めて、このエルフちゃんはヤバい。絶対に敵対しちゃダメだ。
今この瞬間のうちに、脳みそに深く刻み込んでおこう。
なんというか、短期間のうちにフーリさんに対する認識が変動しすぎな気もするけれど、こんなもん見せられたら仕方ないよな。うん。
ところでさっき見た空は、オレンジ色だったな。
フーリさんは、この屋敷の上空に飛んだって言っていたけれど、それが本当なら今は日が沈む時間。夕方のはずだ。
時計が近くにないので正確な時間は分からないけれど、それくらい時間が経っていてもおかしくはない。
そんなことを考えていたら、フーリさんに抱えられたままだった俺は椅子へと降ろされ、フーリさんはどこからともなく懐中時計を取り出して時刻を確認した。
メイド服+懐中時計でスマートに時間を確認する様は、それだけでもちょっとカッコイイ。これコスプレイヤーじゃなくてガチなんだぜ?
「さてさて、ごはんの時間までもう少しありますけど、ヴェルぼっちゃんはこの後どうされますか?」
「え、あ、えっと……少し休んだらもうちょっと魔法の勉強をしようかなって思ってます」
「ふむふむ、勤勉でいいですねえ! この調子でいけばきっと将来は明るいですよ!」
「そ、そうですかね……?」
「そんな将来有望なヴェルぼっちゃんを、おねーさんが特別に手伝ってあげましょう!」
「――へっ?」
フーリさんは漫画だったらニシシ……という擬音が横についてそうなしたり顔で、腕を組んでそう言い放ってきた。
フーリさんってあの魔法入門書みたいなのの著者だって確かさっき言っていたよな?
剣術が一番得意だけど、魔法も大きな学校で教鞭をとれるほどとも言っていた気がする。
「えっと、それってフーリさんが魔法を教えてくれるっていうことですか?」
「そういうことです! ついでに剣術の方も教えますよ!」
おお……正直言って、それは結構魅力的な提案だな。
いくらこの図書館で自由に学ぶことが出来るとはいえ、詳しい人に教わる方が断然効率がいい。
俺とフーリさんの師弟関係の相性がいいのかは分からないけれど、他に頼れる人もいないしな。
「まあとりあえず一晩ゆっくり考えてみてください。また明日、ぼっちゃんがお勉強しているところにこっそりお邪魔しますから!」
「できれば普通に来てください……」
「ふふっ、考えておきます! さて、もうちょっと時間ありますし、せっかくだから坊ちゃんが今躓いていたところをやって見せてくれませんか?」
「あ、はい。えーっと……」
「はい! どうぞ!」
「あ、ありがとうございます……」
あの本どこに置いたっけなと探し出す前にフーリさんがあっさり手渡してくれた。
出来るメイドさんだなって思うのと同時に、気が利きすぎるのは逆に怖いと言っていた人の気持ちも分かるなとも思った。
さて、例の魔法陣のページだが、繰り返しやりすぎて何ページにあるのか覚えてしまったのですぐに用意できた。
「むむ……」
イメージは、ライトニングケーブルだ。
ライトニングケーブルとは、簡単に言えばスマホ等の充電やパソコンとかと接続するときに使うケーブルの事。
俺の右手を電源プラグ側。魔法陣をスマホ側と認識して、俺の右手から電気(魔力)を届けるイメージだ。
「ふむふむ、これは……なるほど」
フーリさんにじっと見られていることも、深く集中してしまえば気にならない。
俺の中に眠る(はずの)魔力を、まっすぐ魔法陣まで届けるだけの作業。
魔力さえ届ければ、魔法陣側が勝手に術式を発動して光ってくれる。
俺の腕が、その二つを接続するケーブルになるだけでいい。
それだけだ。たったそれだけの事なのに……
「むむむむぅ……」
自然と声が漏れる。力んでいるし、体の中から何かが出ていくのは感じ取れる。
それなのに、一向に魔法陣は反応しない。
何度も経験したことだが、何がダメか見当もつかないのでやっぱりイライラして、おそらく必要以上であろう量の魔力を強引に叩きつけ始めた。
「はいストップですっ! いったんやめてください!」
「…………」
「むむ、仕方ないですね。はい、強制終了ですよー!」
「うわっ!?」
集中しすぎて周りの声など全く聞こえていなかったので、急に体を持ちあげられたことに驚いて声を上げてしまった。
同時に凄まじい脱力感に襲われるが、フーリさんが強引に中断してくれたのですぐに倒れるほどではなかった。
「ふー、これは凄まじいですねえ……」
「……ぁ、フーリさん」
「その集中力もそうですが、魔力量が特に凄まじいですねえ」
「そ、そうなんですか……?」
「こんなこと、朝から繰り返していたんですか?」
「そうですが……」
どうやら俺の魔力量はフーリさんから見てかなり多いらしい。
ちょっと休憩すれば回復するとはいえ、こんな魔法陣光らせるためだけの作業ですぐにぶっ倒れてしまうくらいだから相当少ないと思っていたんだがな。
あと何を確認しているのか知らないけど、あちこち撫でまわすのやめてください。くすぐったいし、ちょっと恥ずかしいです。
「いいですか。普通の人間は総魔力量の5分の1ほどの魔力を一気に使うと、体が耐えられなくなって休息をとるように脳から命令が下ります。ぼっちゃんがこれをやるたびに毎回倒れそうになるのもそれが理由です」
「な、なるほど……」
「それでですね。ぼっちゃんがさっき使った魔力量は、だいたい宮廷魔法使いの平均レベルと同じくらいですね。その年齢でこれは明らかに異常ですよこれは」
おおマジか! つまり今の俺の魔力量は宮廷魔法使いの5倍ってことだろ?
宮廷魔法使いがなんなのかとか、どれくらい強いのかとかは全く知らんが、おそらく魔法で飯を食っているプロのことを指しているんだろうし、俺ってやっぱり相当凄い才能を秘めているのでは……?
「ですが、魔法を発動するまでのセンスが全くないというか、どうしたらそこまで魔力を無駄遣いできるのか気になるレベルで酷いですね」
「えぇ……」
「なんと言ったらいいんですかねえ。凄まじい量の魔力を放出しているのに、魔法陣には一切届いていないんですよね。例えるならば、穴あきのコップに水を注ぎ続けているような感じです」
マジかよ……それじゃあいくら膨大な魔力があったとしても全く意味がねえじゃねえか。
魔力を持っていても魔法が使えないんじゃ宝の持ち腐れでしかな――ん、待てよ? 穴あきのコップに水を注いでいるって、それってつまり……
「すり抜けて、いる?」
「そう! その表現の方が正しいかもしれません! せっかく放出した魔力が魔法陣を何故かすり抜けてそのまままっすぐ進んじゃっているんですよね!」
はい、犯人が判明しました。
俺のスキル【すり抜け】。てめえのせいじゃねえか!!
なんでスキルが俺の魔法使いへの道を妨害するんだよぉ!!
「あれ、ぼっちゃんひょっとして心当たりがある感じですか?」
「ふえっ? あ、いや、なんでだろうなーって気になっちゃって、はは……」
「そうですかぁ……不思議ですねえ」
目を瞑って腕を組みながら悩むようなそぶりを見せるフーリさん――だけど、時々ちらちらとこっちを見ている気がする。
俺の能力が壁抜けなのは伝えてあるから、もしかしてそこから連想されてバレちゃってるパティーンですかいこれは!?
すり抜けてる? とか余計なこと言わなきゃよかった。
(……しかし、このデメリット、何とかしなきゃマジで)
最初はすり抜けつえーとしか思ってなかったけど、こんな風に俺にとって必要なものすらすり抜けて反応しなくなるんじゃ話は大きく変わってくる。
これからもこのようなことが続くと大変困るので、何とかしなきゃと改めて思った。
0
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。
霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半……
まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。
そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。
そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。
だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!!
しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。
ーーそれは《竜族語》
レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。
こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。
それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。
一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた……
これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。
※30話程で完結します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる