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5話 目を背けられない現実
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それからの私は抜け殻のような生活を送っていた。
正式な処罰が下るまでの間は軟禁状態に置かれると言われたけど、もはやものごとを深く考える気力を失っていた私は何も感じることなく頷くだけだった。
メイドさんがベットのすぐ横の大きな窓を開けていったので、冬明けのやや冷たい風が頬を撫でてくる。
ここは3階。少し視線を走らせば美しい街並みが目に入ってくる。
「……わたしは」
やってない。
いや、本当に、そうなのだろうか。
もう、自分自身すらも信じられなくなってきた。
最初は嘘だと信じたかった。
でも実際に現実としてそれを目の当たりにし、その上いわれもない罪を被せられて処罰が下されようとしている。
「……ごめんなさい。もう、わたし」
窓の淵に手をかける。
膝も載せる。
さっきより強く、風を感じる。
あとすこし。あとすこし体重をかければ、私は楽になれる。
食事もロクにとっていないから体に力が入らないけれど、あと少しだけなんだから、気にする必要はない。
「うーん、流石に三階までの壁登りは厳しそう――ってちょおおおおおおっ!! あなたいったい何をしようとしてるの!? ちょっと! すぐ行くからそこで待ってなさい! 絶対よ! 絶対だからね!!」
今までに感じたことのない不思議な風を浴びていると、下の方から聞き覚えのある大きな声が聞こえてきた。
視線を落としてみると、そこにははしごやロープなどを周囲に散らせたヴェネットがいた。
彼女は私を見るや否や、すぐに走り出して玄関の方へと回っていった。
なんだか勢いを失ってしまった私は、彼女の言葉へ従い、転がるように自分のベッドへと体を戻した。
そして間もなくドタドタという激しい靴音と共に乱暴に部屋の扉が開けられた。
「ヴェネット……」
「ミリア! あなた何バカなことをしようとしているの!? 久しぶりに肝が冷えたわよもう!」
私に対して激しい怒りの感情を向けながらも、その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
すぐさま彼女は私の下へ駆け寄り、何かを確かめるようにペタペタと手のひらを押し付けてきた。
そして私がまだ生きていることに深く安堵すると、彼女はすぐ近くの椅子に腰かけた。
「とりあえず! 遅くなってごめんなさいっ! 迎えに来たわよ、あなたのこと!」
そう言って唐突に差し出された右手。
私がどうしたらいいのかわからず戸惑っていると、彼女はその手をさらに伸ばして強引に私の手を握りしめた。
「さあ、反撃の時間よ! こんなところで寝ている場合じゃないわ。いきましょう!」
気づけば私はベッドから追いだされ、ヴェネットのペースに飲み込まれていた。
正式な処罰が下るまでの間は軟禁状態に置かれると言われたけど、もはやものごとを深く考える気力を失っていた私は何も感じることなく頷くだけだった。
メイドさんがベットのすぐ横の大きな窓を開けていったので、冬明けのやや冷たい風が頬を撫でてくる。
ここは3階。少し視線を走らせば美しい街並みが目に入ってくる。
「……わたしは」
やってない。
いや、本当に、そうなのだろうか。
もう、自分自身すらも信じられなくなってきた。
最初は嘘だと信じたかった。
でも実際に現実としてそれを目の当たりにし、その上いわれもない罪を被せられて処罰が下されようとしている。
「……ごめんなさい。もう、わたし」
窓の淵に手をかける。
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あとすこし。あとすこし体重をかければ、私は楽になれる。
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「うーん、流石に三階までの壁登りは厳しそう――ってちょおおおおおおっ!! あなたいったい何をしようとしてるの!? ちょっと! すぐ行くからそこで待ってなさい! 絶対よ! 絶対だからね!!」
今までに感じたことのない不思議な風を浴びていると、下の方から聞き覚えのある大きな声が聞こえてきた。
視線を落としてみると、そこにははしごやロープなどを周囲に散らせたヴェネットがいた。
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「さあ、反撃の時間よ! こんなところで寝ている場合じゃないわ。いきましょう!」
気づけば私はベッドから追いだされ、ヴェネットのペースに飲み込まれていた。
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