17 / 29
17
しおりを挟む一度自覚してしまった気持ちに心が騒ぎ、悩むよりも先に頷いてしまった。
もしひと息つく時間があれば、きっとすぐ“なかったことにしてくれ”と言っただろう。強引に恋人になったが、相手は催眠術をかけた相手なのだ。
気持ちまで通わせてしまったら…‥‥
だが、やはり相手はセス。そんなことを考える暇など与えるはずもなく、キスが降って来る。
キスなど二度、三度……何度交わしたって同じだと思っていた。なのに自覚したと言うだけで、胸が高まる。
不思議な感覚に付いていけず、胸元でぎゅっと拳を作った。
舌同士が絡まって、さらに彼に舌を吸われて甘い快感に惚けていると予鈴が鳴る。
「ん、……ふぉ、い」
「……」
「セ、ん……おいってば!」
「分かっている。──だが離れがたい。手が離れることを拒否している。無理だ。もう生涯離すことが出来ない!」
「あ、そう」
セスは離す気がないので、俺が代わりに抱きしめてくる腕を外す。
やや反応している自分の身体の熱を抑えるために息を整えるが、名残惜しそうな彼の視線になかなか熱が下がらない。
そういえば彼は結界が補修されるまでの間、授業が免除されている。そのためセスは授業を受けようが受けまいが期間中は自由なのだ。
「遅刻は俺だけか……ぐぬぬ、セスめ」
「遅れていくのが嫌ならば、共に自習をすればいい」
「へぇ~君と! きっとセクハラ三昧のド助平な授業になるだろうね」
「……」
「否定しないのかい!」
ツッコミを入れるとセスが声を出して大笑いする。楽しそうな声に溜飲が下がる。
「……もっと笑えよ。そっちの方がいい感じ」
嬉しそうな顔につられて笑顔になったが、時計を見てこうしてはいられないと、少し離れた教室の隅で乱れた衣類を整える。
後のこと、もう一度どうするかセスに確認して、この教室に残ると言う彼に手を振った。
教室を離れて階段を三歩降りたところで、窓からセスが追いかけくる。
「放課後、リュリュの家に行ってもいいか?」
「え……俺の部屋⁉」
この野獣、一体ナニをするつもりなのだ⁉
セスには恋愛の駆け引きという巧妙なテクはなく、押して押して押しまくられる。
「役目を終えていくから少し遅くなるが、会いたいのだ」
直球過ぎて熱が沸騰して、気付いたら全力で手と首を横に振っていた。
181
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました
藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。
(あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。
ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。
しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。
気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は──
異世界転生ラブラブコメディです。
ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。
姉の婚約者の心を読んだら俺への愛で溢れてました
天埜鳩愛
BL
魔法学校の卒業を控えたユーディアは、親友で姉の婚約者であるエドゥアルドとの関係がある日を境に疎遠になったことに悩んでいた。
そんな折、我儘な姉から、魔法を使ってそっけないエドゥアルドの心を読み、卒業の舞踏会に自分を誘うように仕向けろと命令される。
はじめは気が進まなかったユーディアだが、エドゥアルドの心を読めばなぜ距離をとられたのか理由がわかると思いなおして……。
優秀だけど不器用な、両片思いの二人と魔法が織りなすモダキュン物語。
「許されざる恋BLアンソロジー 」収録作品。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました
あいえだ
BL
俺は病気で逝ってから生まれ変わったらしい。ど田舎に生まれ、みんな俺のことを伝説の竜騎士って呼ぶんだけど…なんだそれ?俺は生まれたときから何故か一緒にいるドラゴンと、この大自然でゆるゆる暮らしたいのにみんな王宮に行けって言う…。王宮では竜騎士イケメン二人に愛されて…。
完結済みです。
7回BL大賞エントリーします。
表紙、本文中のイラストは自作。キャライラストなどはTwitterに順次上げてます(@aieda_kei)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる