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誰もいない夜に ※

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ビシッと決まったスーツ姿。


どこかに出かけるアル様をお見送りし、帰りを待っていると、夜中に戻ってこられた。帰宅された彼を見てホッとしてスーツを受け取った。


次の日の朝もスーツを着込んで準備をなさっている。急に忙しそうにしてどうしたのだろうかと思っていると、ジジ様が屋敷に到着すると事情を丁寧に話してくれた。


「暫く忙しくするから二人にはちゃんと話しておこうと思ってね」
「忙しく?」
「あぁ、そうだよ。以前から計画を練っていたことを勧めようと思ってね」

「計画……?」

アル様の計画というのは新しく始める事業についてだった。
昨日から彼がスーツを着ていているのは、挨拶周りをしているのだそうだ。

このノワールは、気候も土壌もよく農作物の実りがいい。しかし、他の街へ行くだけでも数日かかる程の辺境の地だ。個人売買はあるものの量は多くない。
アル様は運送問題をどうにかしたいと、兼ねてより計画を練っていた。


アル様は、いつも畑仕事をなさって、のんびりと農民達と話されていた。“もっと果物が売れればなぁ”とかそんな話が飛び交っていた。アル様は大抵そうだねぇと頷くばかり。

「い、いつから計画されていたのですか??」

全然そんな風に見えなかった。

「あぁ、領土を受け継いだ時には考えていたよ。でも、この地のことを何も知らない若造では物事を進められないと思って、まずは自分も体験することにしたんだよ」

それが、毎日の畑仕事……。もしかして領土をタダ同然で貸しているのにも訳があるんじゃないか。

呆気に取られていると、横にいたジジ様が号泣し始めた。


「うぅ。昔からアル様は優秀でしたが、大人になり腑抜けになったと思っておりました。その話を聞いて感動しております」


僕も驚きまくっている。そんなことを考えていただなんて。ずっと横で金がないだとか一人騒がしくしていた僕が馬鹿みたいだ。

「リース、屋敷のことを頼むね」
「……はい」

頼む、そう言われてホッとした。




アル様は忙しくなると言った。その言葉の通り、アル様が屋敷にいる時間が少なくなった。
いつもご自身のことはテキパキとされる方だったけれど、他はのんびりとしたものだったのが嘘のようだ。
朝、いってらっしゃいませ。とスーツ姿のアル様を見送る。
そして、夜中にお帰りなさいとアル様をお迎えする。アル様は疲れていても僕を見ると頭を撫でてくれた。
「起きてくれてありがとう。でももうおやすみ」
「……はい」

どんなに疲れていても優しいアル様。
顔を見るだけでは物足りないとは言えない。
だけど、それも出来なくなった。


仕事の件でノワールを数週間離れることとなったのだ。
アル様が耕していた畑も、領土のことも任せることが出来る村人たちに既に託されていた。

そのスムーズな動きを見て、アル様は本当に前々から計画なさっていたのだと実感した。

屋敷を頼むと言われたけれど、僕がすることは少なかった。屋敷をキレイに保ってアル様がいつ帰って来られてもいいように掃除する。
主な仕事はそれだった。

それでも、屋敷にさえいれば、アル様は戻ってくる。
一人だとこの屋敷は本当に大きく感じる。
早くアル様が戻ってきて欲しい。


そんな風に思っていると一か月経った。
領土のことはアル様が的確に村人たちに指示を出しているため、問題があっても自分たちで対処出来ていた。

彼等もアル様のおかげだー……なんて、言って。
アル様がいないこの土地は、彼がいなくても上手く回るように指導されている。


帰って来るかなぁ?
と心配になる。
領主だから帰ってきて当たり前だけど、仕事が出来る彼は指示だけ出してまた遠くに行く、そんな状況も考えられた。

「アル様がいなくちゃ……」
この屋敷にしがみつく意味がないのに。



夜中目が覚めた僕は、不安になってアル様の部屋に向かった。
仄かにアル様の匂いする。

彼がいなくなってから、こうしてこの部屋に勝手に入ってきている。この部屋には鍵はかけられていない。

布団の中に入って、枕をぎゅうっと抱きしめ、もやもやする気持ちを吐き出した。


「あぁ~~~、やだなぁ、やだなぁ。早く帰ってきて欲しい~」

そんなことを言っても無理な話だ。触って困らせてきた時が夢のようだ。


夢。僕の夢はこれじゃない。
あんなに触れてくれていたのに。居なくなるときはすぐだ……。


枕のニオイを嗅ぎまくっていると、身体が疼いてきた。

「あ……アル様」

大きい枕を股に挟む。

匂いだけで、じぃんと乳首とペニスが勃ちあがる。

アル様の枕なのにそこに股を擦り付けた。

「……っ」

僕は自慰なんてあまりしたことがなかった。

なのに、アル様にエッチをしてもらってから、気持ちよくなることを知り、身体が自慰しないと疼いてしまう。

僕は寝衣の上から乳首を摘まんだ。
こんなところ、絶対に触ったりしなかったのに、アル様が執拗に触るから気持ちよさを知ってしまったんだ。
キュッキュッと摘まんで、指の爪でカリカリと弾く。

「んっ、んっ」

————リース、舐めてあげよう。

アル様の長い舌が焦らすように乳輪から舐め始める。乳首が期待してツン……と、もっと尖ってくる。けれど、セックス中のアル様は意地悪だから周りのところだけ。

「舐めてくださいぃ」

僕は誰もいないのに、アル様を想像してそう言ってしまう。

アル様の舌が乳首に絡んで押しつぶして強く吸引してくるのを思い出して両乳首を強く引っ張る。

「あ——……っ、アル様っ」

あの感触を思い出して、寝衣をはだけさせて直接胸を触る。自分の口に指を入れて濡らし、乳首に唾液を塗り込む。
指の腹でシュッシュッと擦りながら、僕はうつ伏せになった。

アル様の布団にペニスを擦りつける。既に乳首の刺激で先端から厭らしい液体が漏れている。
腰をズリィと動かすと強い刺激が生まれる。
こんな自慰の仕方はしたことがなかった。でも、アル様が僕のお尻にペニスをガツガツ入れてきた時、ベッドにペニスが擦れてとても気持ちよかった。

「はぁ、はぁう~、うんん」

ペニスの裏筋が擦れて気持ちいい。お尻がキュウッとなる。
アル様のペニスがお尻の中に挿いっているときもキュウッと締め付けると、アル様が気持ちよさそうな吐息を漏らす。


——リース、気持ちいい。もっと締め付けろ。


怒った時だけ乱暴になる口調で命じられるのを思い出す。

「あ……、あ、アル様ぁ……」






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