性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト

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勇者にまた捕まった!

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「うーらーめーしーや~~~」



「うらめしや? 怨めしい……あぁ、暑いですからね。怖い話でもして涼しくなりましょうか?」
「しなくていいっ!!」

勇者が近付く度、五歩距離をおく。そんな俺に勇者が謝罪の言葉をかける。

「初めは心配していたんですよ。後半は下心でしたが。でも、無理やり治療して悪かったです」
「やる事やって、満足して謝るな。それに顔が喜んでる」
「———これは失礼。魔王様、機嫌を直してください。夕食にしましょう」

辱めを与えた勇者は、そこらへんで捕ってきたモンスターを捌いて、その肉を焼いている。

どうやら、今日はここで野宿するようだ。
両腕の縄を解かれはしないが、十分に余裕を持たせて、食事は出来る。

焼いた肉を差し出されたはいいが、硬い。味付けなし。マズイ。

腹が減っているので、モグモグと口を動かしてはいるけど、全然美味しくない。勇者も無表情で食べている。食に対して無頓着なのだろう。
ジロジロと勇者を物色していると、彼と目が合う。

「美味しいですね」
「は?」

美味しい? この固い肉の塊が!? 味付けのない肉が!? 奴は味覚音痴なのか?

「魔王様と一緒だと凄い美味しいです」
「……」

あまりにも屈託のない笑顔を向けてくるので、驚いた。
成人した男が会って間もない魔王にそんなに心を許すのか……。不用心だ。よほど、自分の力を過信している。

俺は彼から目を逸らし味のない肉を頬張り、ニヤリとする。

「——……くくっ」

せいぜい油断するがいい。
俺の力はまだ奴にバレていない。ピュッピュピュルルンパンチはありとあらゆる生物に効果的だ。

これを使って動物を使役化すれば助けてもらえるはずだ。まぁ、一度試したことがあるが、「フッゴッ……ンゴッ♡ フゴォォッ♡」とこんな感じだ。
魔物や人間などと違って油断させる手が少なく、危険で一度だけしか試していない。




真っ暗闇の中、焚き火が揺れる。
奴が地面に干し草を敷いてくれた上で寝ていた。奴は自分のマントに包んで座りながら眠っている。

よし……。寝息が聞こえる。

俺は自分の足首を見た。
腕にずっと縄を巻きつけては痛いだろうと足首に縄が巻かれていた。その縄の端は奴の手にある。

奴は爪が甘いのか随分と緩めに縄が巻かれている。そろりとそれを外し、一歩、二歩と奴の様子を窺いながら後退る。
弱い魔物というのは、大型魔物に比べて気配を消すのが上手い。
今や俺は魔王だが、この必殺技を駆使するまでは強い魔物に遭遇しないように気配を消していたんだ。
だから、気配の消し方だけは抜群に上手い! 

5歩慎重に後退った後は、猛ダッシュで彼から離れた。

いっそげー!! 急ぐんだ俺!!

もう奴には捕まらない。魔王が勇者と結婚なんかするわけないだろう。俺にはエルフちゃんと結婚するという大きな野望がある。

今夜が月明りがとても明るい。有難いことに山道なのに明るい。さらに地面がしっかり見える。その月明りに導かれるように進んだ。
月明りに照らされている場所が緩やかな坂道で、地面もしっかりしており歩きやすい。

「今日は、ツイてる」
怖いけど、動物か魔物を見つけないと……

「眠れない時って運動すると疲れて眠れますよね。俺も眠れない時は運動するんです」
「へ~。どこでも寝れるタイプかと思ったよ」
「いえ、恋煩いで眠れないこともあるんですよ」
「はは。そうなの…………」

いつの間にか、後ろから聞こえている声と話している……。
俺は、くるりと振り向いた。数歩離れた後方に勇者がひらひらと手を振っていた。

「勇者!」
「はい。僭越ながら、夜道が危なくないように灯りを灯させていただきました。この道までは緩やかな坂ですが、ここから先は夜通るには険しすぎるので、お声がけさせていただきました」

そう言った、勇者は真上を指さした。
先ほどまで月だと思っていた光が、彼が指さした途端、サッと移動した。不自然な動きをした光はどんどん小さくなって彼の手の中に小さく収まった。
勇者は俺にその手の中に収まっている丸い玉を見せた。

「魔法道具の一つです。以前街で買ったんです。この丸い玉に魔力を加えれば夜道を照らしてくれるんです」

な、なるほど。ライト的な……。流石、異世界。便利な魔法道具があるものだ。

「つまり、俺はお前に誘導されていたと?」
「嫌だな。魔王様を誘導だなんて。危なくないようにサポートしていただけですよ」

「……お前ぇっ! そう言いながら俺の手に縄を繋ごうとしているのはなんだよ!?」


まるでプレゼント包装のリボンを結ぶが如く、ササっと縄を俺の手首に巻く。俺の手首の可動域には辛くないきつさだが、結び目が難しい。なんだこれ……、日本で言う水引飾り結びみたいに優雅だが、複雑だ。
俺も割と手先だけは器用なのだが、この器用さには脱帽だ。
コイツは、もしや日本の転生者では……!?


「お前、日本って知っているか?」

ピクリと勇者が俺の縄を縛る手を止めた。

——その反応、もしかして、知っているのか!? 俺と一緒の転生者!? 日本人!?


そうであれば、訳を話せば逃がして可能性が高くなった。勇者とは分かり合えるかもしれない。嬉しくなり勇者を見つめていると、勇者が不敵にニヤリと笑った。
近づいてくる顔にえ? っとなっているとブチューッとまた濃いキスをされた。
ヒギャ~~!!

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