性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト

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勇者が耳を攻めてくる!

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またキスされた!!!


「お前ぇ~、そう何度も何度もチュッチュッとキスしてくるなぁ~!!」

怒りのピュルルンパンチを食らわせようにも縄が複雑で解けない!! 代わりにキッと睨んでおく。

「すみません。魔王様と5秒以上目が合うとキスしたくようなんです。あ、ほら、イチニサンシゴッ」

ぶちゅっともう一発キスを食らわされた。ちなみにウィルの5秒カウントは非常に速い。一秒にも満たないカウントだった。

「ひぃっ! 子供か!?」
「そうですね。魔王様よりは年下かもしれません。ですが、年下っていいものですよ。体力もあるし情熱もある。さらに俺には磨いたテクニックがあるので魔王様を必ず満足させる自信があります」
「……」


数分前に勇者と分かり合えると思った自分が一瞬で消えた。コイツが例え転生者だとしても分かり合えない。
それは分かったが、勇者が転生者かどうかは知りたい。

「あのさ、さっき日本で反応しただろう? 知っているのか?」
「いいえ」
「……そっか」

気のせいか。そんなに運よく転生者がいるわけないよな……。ちょっと期待したのでガッカリする。
そんな俺に勇者は、帰りましょうかと声をかけた。
嫌だと首を横に振る俺に仕方ないなという表情をし、無理やり背負われた。
括られた両手は勇者の顔の前にある。これではパンチが打てない。全く油断しない奴だ。

俺の足とは違い、ざっざっと大股で山道を歩いていく勇者。

なるほど。俺が走る速度と奴の大股で歩くスピードが同じ。余裕をもって追跡されていたか……!

諦めて、奴の背中で大人しくすることにする。もう今日は逃亡する気がなくなった。すると、勇者が話し出した。

「俺自身は知りませんが、ニホンという国を聞いたことがありますよ。なんでも就労時間外に働くことをサービス残業というようですね。過多労働にサービスを付けるネーミングセンス。なかなか恐ろしい民族性を感じました」
「おぉお……。誰からその話を聞いたの!? 教えてくれ!!」

日本を知る人物!! 是非、会いたい。会って話がしたい。サービス残業を知る人物か社畜だったのだろうか。

「内緒です」
「……ドケチ」
「魔王様が俺を生涯の伴侶として選んでくれるなら、今すぐにでも教えますよ」
「それはヤダ」
「ケチですね」

短い間だが、勇者の巧みな話術には敵わない。悔しい。
なんだか、自分だけ踊らされているようで少しでも反撃したい気持ちになる。
ウィルの人間の丸い耳が見える……。

怨めしい。噛んでやろうか。


カプッ!
「————うひゃっ!?」
「……」

俺は奴の耳から唇を離し、そしてニタァッと笑った。
今の声、聞いたか。くく。俺は聞いたぞ。うひゃっだって。うひゃって声を上げた勇者も固まっている。完全油断していたのであろう。

「勇者め。魔王様の恐ろしさを知るがいい! くくくくくくく!」

そう言って、勇者の耳にかぶりついた!

カプ! カプ……カプ、カプ、カプ……。

「——くっ」

耳が弱点の勇者は俺の攻撃に震えている!!
よし、この調子で耳から屈辱を与えてやる! 勇者に出会ってから完全に勇者に押されっぱなしだった。ここからは俺の攻撃だ!

「カプ……ん、ん、痛い、か? カプカプ……」
「……く、くそ。魔王様から耳責めされるだなんて」


くく。ダメージを負ってるな。勇者の声が先ほどの自信満々な声ではない。何度も噛んで痛みを与えながら、引っ張る。
勇者の歩行が完全に止まった。だが、もう元の寝所に戻ってきている。

「——魔王様」
「俺の攻撃に恐怖をなしたか! 降参するなら今だぞ!! 耳を食いちぎって——……」

俺の身体を降ろそうとする勇者にカプッと耳を噛んだ! ここで降参させて俺に手出ししないと約束させなければ。

「っ。なんて、やらしさだよ。背後からずっと甘噛みとか息吹きかけてくるとか強制発情もいいところじゃねぇか」
「…………」
「そのまま噛んだまま寝てもいいんですよ? こっちは魔王様のせいでフル勃起ですからね」

あ、甘噛み……? フル勃起……??

俺は、奴の耳から口を離した。思いっきり噛んだし、俺の八重歯は少しだけ尖って痛いはずなのだ。どういうことなのか。
すると、俺を地面へと下ろされた。
くるりと振り向いた勇者は、真っ赤な顔で発情している。股間に目をむけるとズボンがテント上に膨らんでいる。

「……ひっ!!」
「アンタ、人がいいから思いっきり噛むなんて出来ないですよ。つい知らずに力が抜けてしまうんです。アンタはもうここで寝てください。いいですか、夜に逃げるのは危ないので昼間にしてください!」

いつも俺に対して丁重な言葉遣いをする勇者が発情しているのか口調が荒い。勇者は

「今、逃げたら抱く。アンアンさせます」
「…………はい」

本気だ。蛇に睨まれた蛙状態で頷く。

一人、その場にポツンと残された俺は、諦めて干し草の上に寝ころび、マントを上に被った。

なんだ、アイツ……? 昼間みたいに俺を無理やりひん剥かないのか? 
まぁ、今日は逃げなくてもまだチャンスはあるだろう。



しかし、その日も、その次の日も、俺が逃げ出せるチャンスはなかった。

縄は、時折外されるものの、俺がピュッピュピュルルンパンチを打ちこむ隙が無い。隙だらけに見えるのに、俺の“間”が悪い。
キッチンナイフで縄を切って逃亡を図るのに、10分後には見つかる。

「だから、無駄ですって」
「どうしてみつかるんだ! 追走装置でもついてんのかよ」

草の茂みに隠れていた俺を後ろ向きにひょいと抱き上げられる。せめて前向きに抱えかかえられたらパンチを打てるのに!

「さぁ。強いて言えば愛ですか。貴方の事ならすぐに見つけられますよ」
「怖い」

すると、はははっと笑う。笑うな。

「追いかけっこやかくれんぼするのも楽しいですよね。またいつでもどうぞ」

後から抱きかかえられたまま、ギュウギュウ抱きしめられる。どいつもこいつも俺の事マスコットにでも……ん? あれ。俺、魔族にはピュッピュピュルルンパンチを打って下僕にしていたから、抱き着くのまでは許可しなかった。

こんな風に抱き着いてきたのは、すぐ死んじゃうような弱い人間の子供だけだった。
そういえば、あの子供も勇者と同じ黒髪と青い目をしていた。


「お前って勇者をする前は何やって……ひゃっんあぅんっ、あっ、あっ、まぁたっ、耳! み、み、噛んじゃっやぁ」
「この前のお礼です♡」
「ひぃっ、うぁん……や、あんっ」
「すげぇ、いい声♡ チンコに響く。早く結婚しましょうね」
「ひぃ」

背後から羽交い締めしたまま、俺の耳噛んで耳の穴まで舌を入れてくる。
俺は、そこまでしていないっ! だから、そこは、入れる穴ではないってばぁっ、あひぃんっ!

「俺は、結婚……ん、エルフ、がいいっ!」
「エルフより、俺の方がいいと思いませんか?」

わ。また耳元で話しかけてくる。

「良くない! 可愛いエルフがいいのっ、わっ、あ、あんっ」
「残念。俺は一途に貴方だけが好きですよ。そんな俺可愛くないですか?」
「可愛くねぇよ~~!!」

大の男を可愛いと思うには無理がありすぎる、
ウィルに耳をたっぷりと舐められた後、腰砕けになった俺は、そのまままた馬に揺られた。

ウィルの執着レベル10000から逃げ出すにはどうすればいいんだ。
このレベルって、生涯レベルじゃないか?
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