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7.やはり、お色気が…
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◇
「ここがトイレ、その横の部屋が収納スペースです。日用品の予備はこちらに置いてあります」
「はい」
「予備がなくなれば僕に声をかけてくださいね」
「はい」
付き合うのは、一ヶ月更新。
そんな契約書を交わした後、彼は室内を案内し始めた。
仕事として来ているし、これ以上変なムードになることは避けたかったので、正直ホッとしていた。
風呂場のドアも開けて見せてくれるし、キッチンに向かえばどこに何を収納しているのか、細かく教えてくれる。
さらに掃除機などの電化製品の使い方まで説明くれる。さっき説明書読みました? ってくらい細かい。
丁寧でゆっくりな説明に、もしかして、俺と長く話していたいんじゃんって、まさかな。
「案内した中でやりにくそうだと思う場所や物はありますか?」
「いえ、特には」
「言ってくだされば好みに合わせますので」
この男に言えば、本当に好みに変えそうな気がする。口には気を付けないと。
「それにしても、最新家電ばかりですね。というか、どこも新品ですね」
彼の部屋を入ってきてからずっと思っているのだけど、室内はもちろん、家具家電はキレイでそれから新しいんだ。
同僚が家電に詳しいから教えてもらっているけど、洗濯機も今月発売されたばかりのモノだ。
だからか、まるでマンションのモデルルームの見学に来ているカップルみたい──……いやいや! さっきから俺の思考がおかしい。番とか運命だとか聞いたからか。
これは仕事だ。仕事をするために説明してくれているんだから。雰囲気に流され過ぎだろう。
「そうです。ここへは引っ越してきたばかりです。元は実家暮らしでした。ヤサグレていたので家事も家政婦さんに任せっきりで」
グレて……、そう言えば、ヤクザ事務所で出会った時の八乙女、タバコの火を付けさせていて随分悪そうだったなぁ。
「アルファなのに家事が出来ないなんて、お恥ずかしい限りです」
アルファはオメガの発情期間中の世話をしたがる。だから家事が出来るアルファは多い。
「そうでしたか。でも、アルファだから出来なくて恥ずかしいとか思う必要ないと思います。人は人。こうしたサービスもありますしね」
八乙女は、困っていたから依頼したのか。
当たり前だけど執着だけで依頼されるのは嫌だしモチベーションが上がらない。
「そうですね。でも、それではやはり悔しいので、お手すきの時は僕に教えていただけませんか?」
「俺でいいんですか?」
俺も未だに料理サイトを見ながら作っていることを伝えるが、是非教えて欲しいと言うので、空いた時間があれば声をかけると伝えた。
室内すべての案内を終えた後、掃除から始める。その間、八乙女はリビングでPCを開いて仕事をしている。
何気ない視線を感じることはあるけれど、特に何か話しかけられるわけでもないので作業を続ける。暫くすると、PCのタイピング音が聞こえる。
干している洗濯物を取り入れて畳み、それを先ほど教えられたクローゼットの中に仕舞う。
クローゼットの中は無臭だ。アルファとオメガはフェロモンがあるので自分の匂いと合う香水を調合していたりする。
八乙女は香水系は嫌いなのか。掃除の際、無臭系を選ばないとな。
「服が何か?」
「ひぇ!?」
後ろにぬぅと立たれて叫んだ。八乙女との身長差は10センチ。体格もよし。これが本気になられたら逃げられそうにないな。
「い、いえ、八乙女さんは香水系が苦手なのかと」
「あぁ、自分のフェロモンが強すぎて、どんな匂いも合わないのです。香水も他人のフェロモンも苦手ですね。俺と匂いが合うのは……いえ。──七生さんは本当に何も感じないのですね」
「えぇ」
あぁ、フェロモンきつい系か。八乙女もSEIと同じケースだな。
俺はそう思ったけど、八乙女は物言いだけに見つめた後、何か考えていた。
新生活で目立つ汚れはなく、作業は滞りなく終わった。
終了時間までは八乙女に料理を教えることにした。ゆで卵の基礎を教えた。出来たゆで卵はみそ味の煮卵にした。酒のつまみになると伝えると、楽しみですと口元が笑う。
そこから覗かせる歯が芸能人みたいにキレイで、やっぱり客商売だから気をつけているのだろうかとか、
口元のほくろから色気を感じるとかぼんやり見てしまった。
「へ?」
だけど、見つめ過ぎたんだと気付いた時には後の祭りだ。
俺を運命の番だと思っているアルファをそう易々と見つめていいものじゃなかったんだ……。
ゴクンと喉を鳴らして、徐々に顔が赤くなっていく。
げ……この人、平然と見せているけど、初めて会った時俺を見てラットしたんだった。
「七生さんは僕の口元を見つめるのは、何故ですか? もしかして好きになっていただけましたか、キスしませんか?」
「や、八乙女さん!? いえいえいえいえ!? 突然すぎです!」
「したいです」
答えにくい質問と一緒に、グイグイと近づいくる彼。返事を聞かないでキレイな口元が近付いてきた。
黒子が。
やっぱり色っぽい。
「ここがトイレ、その横の部屋が収納スペースです。日用品の予備はこちらに置いてあります」
「はい」
「予備がなくなれば僕に声をかけてくださいね」
「はい」
付き合うのは、一ヶ月更新。
そんな契約書を交わした後、彼は室内を案内し始めた。
仕事として来ているし、これ以上変なムードになることは避けたかったので、正直ホッとしていた。
風呂場のドアも開けて見せてくれるし、キッチンに向かえばどこに何を収納しているのか、細かく教えてくれる。
さらに掃除機などの電化製品の使い方まで説明くれる。さっき説明書読みました? ってくらい細かい。
丁寧でゆっくりな説明に、もしかして、俺と長く話していたいんじゃんって、まさかな。
「案内した中でやりにくそうだと思う場所や物はありますか?」
「いえ、特には」
「言ってくだされば好みに合わせますので」
この男に言えば、本当に好みに変えそうな気がする。口には気を付けないと。
「それにしても、最新家電ばかりですね。というか、どこも新品ですね」
彼の部屋を入ってきてからずっと思っているのだけど、室内はもちろん、家具家電はキレイでそれから新しいんだ。
同僚が家電に詳しいから教えてもらっているけど、洗濯機も今月発売されたばかりのモノだ。
だからか、まるでマンションのモデルルームの見学に来ているカップルみたい──……いやいや! さっきから俺の思考がおかしい。番とか運命だとか聞いたからか。
これは仕事だ。仕事をするために説明してくれているんだから。雰囲気に流され過ぎだろう。
「そうです。ここへは引っ越してきたばかりです。元は実家暮らしでした。ヤサグレていたので家事も家政婦さんに任せっきりで」
グレて……、そう言えば、ヤクザ事務所で出会った時の八乙女、タバコの火を付けさせていて随分悪そうだったなぁ。
「アルファなのに家事が出来ないなんて、お恥ずかしい限りです」
アルファはオメガの発情期間中の世話をしたがる。だから家事が出来るアルファは多い。
「そうでしたか。でも、アルファだから出来なくて恥ずかしいとか思う必要ないと思います。人は人。こうしたサービスもありますしね」
八乙女は、困っていたから依頼したのか。
当たり前だけど執着だけで依頼されるのは嫌だしモチベーションが上がらない。
「そうですね。でも、それではやはり悔しいので、お手すきの時は僕に教えていただけませんか?」
「俺でいいんですか?」
俺も未だに料理サイトを見ながら作っていることを伝えるが、是非教えて欲しいと言うので、空いた時間があれば声をかけると伝えた。
室内すべての案内を終えた後、掃除から始める。その間、八乙女はリビングでPCを開いて仕事をしている。
何気ない視線を感じることはあるけれど、特に何か話しかけられるわけでもないので作業を続ける。暫くすると、PCのタイピング音が聞こえる。
干している洗濯物を取り入れて畳み、それを先ほど教えられたクローゼットの中に仕舞う。
クローゼットの中は無臭だ。アルファとオメガはフェロモンがあるので自分の匂いと合う香水を調合していたりする。
八乙女は香水系は嫌いなのか。掃除の際、無臭系を選ばないとな。
「服が何か?」
「ひぇ!?」
後ろにぬぅと立たれて叫んだ。八乙女との身長差は10センチ。体格もよし。これが本気になられたら逃げられそうにないな。
「い、いえ、八乙女さんは香水系が苦手なのかと」
「あぁ、自分のフェロモンが強すぎて、どんな匂いも合わないのです。香水も他人のフェロモンも苦手ですね。俺と匂いが合うのは……いえ。──七生さんは本当に何も感じないのですね」
「えぇ」
あぁ、フェロモンきつい系か。八乙女もSEIと同じケースだな。
俺はそう思ったけど、八乙女は物言いだけに見つめた後、何か考えていた。
新生活で目立つ汚れはなく、作業は滞りなく終わった。
終了時間までは八乙女に料理を教えることにした。ゆで卵の基礎を教えた。出来たゆで卵はみそ味の煮卵にした。酒のつまみになると伝えると、楽しみですと口元が笑う。
そこから覗かせる歯が芸能人みたいにキレイで、やっぱり客商売だから気をつけているのだろうかとか、
口元のほくろから色気を感じるとかぼんやり見てしまった。
「へ?」
だけど、見つめ過ぎたんだと気付いた時には後の祭りだ。
俺を運命の番だと思っているアルファをそう易々と見つめていいものじゃなかったんだ……。
ゴクンと喉を鳴らして、徐々に顔が赤くなっていく。
げ……この人、平然と見せているけど、初めて会った時俺を見てラットしたんだった。
「七生さんは僕の口元を見つめるのは、何故ですか? もしかして好きになっていただけましたか、キスしませんか?」
「や、八乙女さん!? いえいえいえいえ!? 突然すぎです!」
「したいです」
答えにくい質問と一緒に、グイグイと近づいくる彼。返事を聞かないでキレイな口元が近付いてきた。
黒子が。
やっぱり色っぽい。
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