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君のこと一つだけ変えたい。それは君の名字だよ。
しおりを挟む怒涛の週末を送った俺。
月曜日。
また、月曜日だ。
月曜ってなんでくるんだろう。はぁ、身体重い。会社行きたくない。仕事したくない。午後まで寝ていたい。
溜息。
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溜息をつきながら、部署に着いた俺は、デスクに座ろうと思った時、柏木さん・小嶋さんがニタァッと笑った。
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な、なんのことだ!?
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「…………っ!!」
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どう誤魔化せばいいんだ!? 嘘を!? いや、もしバレた時に反動が!? それより口止めをしておいた方が……!?
「ひぃ、ぃ……!!」
やっぱり、俺は、月曜日の朝は好きじゃないことを確認した。
火曜日とんで水曜日。もはや、週の半ばにして、ダメージが大きい。だが、きっと、やってくる。
ピンポーン。
ほらみろ。きた。水曜日のアレだ。水曜日の宅配だ。
俺は、壁にかけている時計を見た。いつもより一時間以上も早い時間に来たな……。
彼ではないのか?
俺は、恐る恐るインターフォンを押した。
「はい……」
「デリバリーのお届けです」
デリバリー……? そんなものは頼んでいないから、せいちゃんだ。
俺は、ドアの丸い覗き穴から外の様子を見た。
……ほら。やっぱりせいちゃんだ。いつもと違って、ヘルメットにTシャツ、黒いリュック。スポーティーな格好をしている。
「………」
一見普通だと思った。しかし……よく見ろ。なんか、黒いリュックに今評判のデリバリーサービスの白と緑の印字が見える。
そのリュック買ったのか、それともせいちゃんが副業始めたのか。
はぁ、またくだらないことをと思って、ドアを開けた。
「はい」
「デリバリーのお届けです」
それ系の宅配サービスになり切っているせいちゃんが、黒いリュックを玄関の床に置いたのまでは良かった。よくよく見ると、そのリュックに印字されている文字が
『Takuro Eats』
「…………」
Takuro Eats ってなんだ……? どういう意味なんだ。それは……。
いや……、彼の奇行なんて今に始まったことじゃない。こんな事で動揺してどうする。
ここはスルーするんだ。
心を落ち着かすために目を閉じて深呼吸する。
目を閉じた俺の手をせいちゃんが握った。
そっと目を開けると、そこには、跪いているせいちゃんが俺の手にカードを持たせていた。
なんのカードだ……。
「僕のマンションの鍵だ」
そう言って、俺の手をせいちゃんがキスをした。その顔はほんのり紅く、高揚しているのが分かる。
「君のこと一つだけ変えたいんだ。それは、君の名字だよ」
「!!」
そうして、彼がリュックから何かを取り出そうとする。
……何が、出てくるんだ。もしかして、指輪か!? ダイヤモンドか!? それとも、ハンコを押す用紙か?!
ド、ド、ド、ド、ド、ド……
「拓郎君」
「ひ、ぃ……」
俺は……、今、最高にドキドキしています……。
END
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