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第四章 KOD決勝ステージ編
第114話 レベル
しおりを挟む――ダンジョン探索者には“レベル”という概念が存在する。
いわゆる、経験値を積んでいくと向上し、ステータス上昇の契機となる、RPG的なアレだ。
俺の沙霧が持つ【峰打ち】も、対象の探索者やモンスターのレベルを1に戻す代わりに絶命は免れさせるという性能である。
しかし、このレベルやステータスは目視で確認できるものではない。
わかりやすくいつでもどこでも、ステータス画面が空中にオープンできるわけでもない。
昔は、ダンジョン内の特殊なギミック、特殊なフロア、もしくは特殊なスキルを持つ探索者にしか数値化できないものだった。
今ではタイマにより、レベルを確認できるシステムが開発されているようなので、昔に比べて手軽に自身のステータスを知る事ができるようになったようだ。
……で。
何が言いたいのかというと。
「俺のレベルは、お前達に模倣された時代よりも成長しているということだ」
沙霧の切っ先を真っ直ぐ向け、俺は目前のドッペルゲンガー達に言う。
――直後、三体のドッペルゲンガーは散開し、三方向から俺へと襲い掛かってきていた。
全員が全員、俺から一定の距離を取って見事に立ち位置をバラけさせる。
アンノウンAは、残った片腕を振るって【斑切り】を飛ばす。
アンノウンCは、衝撃波を。
そしてアンノウンBは、破壊された床の破片を持ち上げ投擲してきた。
タイミングがずらされ、互いが互いの邪魔にならない中距離攻撃。
本当に見事なチームワークだ。
このチームワークも、かつての俺と、俺の知らない仲間達の力が模倣されたものなのだろうか?
だとしたら――。
「是非とも再会してみたいな、叶うなら」
――言うと同時、俺は足元に転がっていた瓦礫を蹴り上げる。
先刻までの戦闘で破壊された床の破片は、あちこちにある。
その一つを蹴り飛ばした先は――未だ宙を舞っている最中の、アンノウンAの片腕だった。
俺の放った瓦礫が命中し、アンノウンAの腕――鋭利な刃の形状を成している腕が弾かれ、別軌道を描いて飛んでいく。
飛んでいった先は――。
「キ」
アンノウンCだった。
その三角錐型の胴体に、刃が深々と突き刺さる。
「キサマ――」
アンノウンAが反応し、動き出すよりも先に、俺は走り出す。
沙霧を振るい【斑切り】を【斑切り】で相殺。
その間に、アンノウンBの投擲した巨大な瓦礫に肉薄する。
俺の身の丈よりも巨大な瓦礫だ。
俺は全身でそれを受け止め、逆に押し返す。
「!」
自身の方に逆戻りしてくる瓦礫に、アンノウンBは一瞬動揺したのだろう。
だが、すぐに迎撃の態勢を取る。
投げ返されたところで、破壊すればいい。
拳を構え、巨腕を戦慄かせる。
「遅い」
だが、その一瞬の動揺が命取りだったと言わざるを得ない。
俺は投げ返した瓦礫に密着するようにして、アンノウンBのすぐ間近へと接近を果たしていた。
そして、瓦礫を影に沙霧を振るう。
放った技は――。
「【霞切り】+【斑切り】」
――瓦礫を貫通し、放たれた三閃の飛ぶ斬撃が、アンノウンBの胴体をバラバラに分断した。
―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―
【ご報告】
『ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに』四巻の書籍版が、12月8日に出荷されました!
また、本作『ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに』の漫画版が開始しております!
石堀雅幸先生によるコミカライズをお楽しみ下さい!
アルファポリス公式WEB漫画ページよりお読み頂けます。
よろしくお願いいたします!
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