鬼畜過ぎる乙女ゲームの世界に転生した俺は完璧なハッピーエンドを切望する

かてきん

文字の大きさ
16 / 115

悩み相談と新たな課題

「失礼します。」
 ノックをして返事があったので、執務室の扉を開けるとシバがこっちを見て少し固まった。
「アインラス様、今よろしいでしょうか。」
「……ああ。」
 俺は、伯爵に無事文書を届けたことを伝えた。
「そうか、ご苦労だった。」
(あれ?なんか元気ない?)
「あの、お茶でもいかがですか?」
「今日は仕事じゃないだろう。」
 「いらない」と暗に言われているのだろうか。しかし、目はポットの方をチラッと見ており、俺はピンときた。
「私もご一緒したいのですが。」
「……では、頼む。」
(やっぱり、時間外だから申し訳ないと思ってたんだ!)
 最近の俺は、シバの心が少し分かるようになってきたみたいだ。前の俺だったら「はい。」と言って執務室からそそくさと出て行っただろう。
 上司の心をうまく汲み取れたということに満足し、俺は鼻歌でも歌いだしそうなご機嫌な顔でお茶を淹れた。

 俺がお茶を大きなテーブルに置くと、シバが席に着いた。
「ずいぶん楽しかったようだな。」
「はい。」
 不機嫌そうな口調で言うシバの隣に座り、俺は気にせず明るい声で答えた。
「何をしたんだ。」
(え、気になる感じ?もしかして街に遊びに行きたかったのかな。)
 案外可愛らしい一面もあるじゃないか、と俺がこれ以上機嫌を損ねないように今日の出来事を出来るだけ端的に説明する。
「伯爵家を後にしてから、お昼を食べました。それから雑技団の舞台を見に行って、買い物をしてから帰りました。」
 淡々と報告し、以上だとシバを見ると、「そうか。」と静かに言った。その顔が今朝見た悲しい顔と重なり、俺は慌てて「あの、」と声を掛ける。
「舞台を見た後、アインラス様ならどんなお顔をされるか想像しました。食事も、一緒に食べたらどんな感じかと……。次は、一緒に行きましょう。」
 俺は勢いで口を出てきた言葉に、どんどん尻つぼみになっていく。最後はごにょごにょとほとんど聞き取れない声だったが、シバは少し驚いたようにこちらを見ている。
「あの、図々しいことを言いました……すみません。」
 俺は顔を真っ赤にして俯く。
(あ~!なんで変なこと言っちゃったんだ!でも、シバが寂しそうな顔するから悪いんだ。)
「そうだな。次は共に行こう。」
「え……。」
 シバは、俺がびっくりした顔で見上げてきたことに「自分から誘っておいて何だ」と言いたげな表情をしている。
(あ、いつものシバに戻った。)
 無表情であることは変わりないが、先ほどの悲しさを含んだものではないシバの顔に、俺は安心して自分の鞄を探る。
「これ、アインラス様にお土産です。」
「私に?」
「はい。お茶の専門店に寄った時に、アインラス様にピッタリなものを見つけて。」
 シバは、じっとそれを見て「ありがとう。」と言った。声が柔らかく、俺は喜んでいるのだと分かった。
(最近の俺、メンタリストかってくらい人の心が分かるな。)
 実際、その能力はシバの前でしか発揮されない。だが、他の者は父を筆頭に感情が分かりやすい人ばかりなのでこの能力を使う機会がない。
「どんな効能だ?」
「『笑顔になれる』って書いてありました。」
「……。」
「……すみません。」
 俺はシバの無言に謝るが、「いや、ありがたく貰おう。」とその茶葉は新しく執務室のお茶ゾーンに加わった。
 まだ仕事があるのだというシバに礼をして執務室を去る。別れ際のシバの顔は今朝とは違ってスッキリとしており、俺は少し安心した。


 イベント②『君とおでかけ』から2週間が過ぎた。
 今日、父は帰りが遅くなると聞いており、俺は1人で食堂でも行くかと思っていると、ラルクから電話がかかってきたのだ。今から行っても良いかと聞かれ、了承したところ5分と経たないうちにラルクがやって来た。
「セラさん!力を貸してください!」
「ラルクさん、どうしたんですか?」
 俺はラルクの切羽詰まった様子に、緊張しながら返事をした。
「あの、新しく騎士棟に大浴場ができることは知ってますよね?」
「はい。」
 俺は文官のお手伝いとして、以前予算を組んだ大浴場計画について細かく把握をしている。
(出来上がるのは、2か月後だったよね?)
 この大浴場が次回のイベント③『湯煙の中で』の舞台となるのだ。
 しかし、この浴場について特に悪い話は聞いていない。騎士達も、訓練での疲れが癒せるとあって、その完成を心待ちにしていると報告を受けていた。
「そこでお願いがあるんですが……、」
 ラルクは真剣な顔で俺に詰め寄る。
「シシルさんに、大浴場へ入らないようお願いしてください!」
「……は?」
 俺はまぬけな声が出た。
 ラルクが言うには、浴場は騎士のみが使えるものだと思っていたが、騎士棟で働く者であれば誰でも使用して良いことになった。それを知った父が「一緒に行こうよ!」とラルクを誘ってきたというのだ。
「何が問題なんですか。」
「セラさんは知らないでしょうが、シシルさんは騎士の中で人気があります。」
「それは恋愛対象としてじゃないでしょう。皆さんお若いから、自分の父親と重ねてるんですよ。」
「いや、シシルさんの笑顔は年齢など関係ないくらい魅力的です!」
 ラルクは力強く言い、俺はその言葉に「あの……」と話を変える。
「ラルクさんは父のことが好きなんですか?」
「え……は、っあの、あ……どうしてですか?」
「好きなんですね。」
 俺は動揺して口がうまく回っていないラルクに、できるだけ淡々と返す。
(こんな分かりやすいんだから、先輩もからかってくるだろう。)
 ラルクはアワアワと慌てていたが、落ち着いてきたのか「……はい。」と小さく頷いた。
「急にびっくりしましたよね?
「いえ、なんとなく気付いてたので。」
「嫌じゃないですか……?セラせんの父親にこんな感情を……、」
「……むしろ嬉しいですよ。ラルクさん、もうほとんど家族みたいになってますし。」
「セラさん……。」
 申し訳なさそうだったのが俺の言葉で安心したといった顔でこちらを見るラルクに、うんうんと頷く。
(いいよいいよ。シークレット攻略キャラの君が父さんとくっついてくれたら、俺の心配事も減るからね。)
「俺はラルクさんを応援しますよ。父の気持ちは分かりませんが、ラルクさんのことは好きだと思います。」
「シシルさんから、したらただの友達だってことは分かってます。これからいろいろ、その、近づけたらって……。」
 そこまで言って耳を赤くし黙ったラルク。これ以上はやめておくかと、さっきの件に話題を戻す。
「どうして大浴場に入ることが駄目なんですか?」
「なんでって、だって皆裸なんですよ?!」
「はい……。」
 俺は何が問題であるか分からないが、とりあえず返事をしておく。そんな俺の様子にラルクは、「セラさんもですか……。」と溜息をついた。
 ラルクが説明をするには、浴場でシシルの裸が皆に見られるのはちょっと……というものだった。
 聞いてみても、「そんなものか?」と疑問に思うばかりで同意はできない。あちらの世界でも大勢で湯に入る機会はあるし、俺も大学生になってからは近くの銭湯によく行っていた。
 ラルクの気持ちを理解するために、もし自分に男の恋人がいたら……と仮にアックスで想像してみる。
 アックスと俺が仲良く湯に浸かっていて、他の男がチラチラとアックスの胸筋を見ている。
(うん、やっぱり嫉妬はしないな。)
「父の身体がそんなに魅力的だとは思わないんですが。」
「あの、他の人に見せたくないのも確かなんですが、俺が一番心配してるのは俺自身のことで……。」
「ラルクさんに何か問題が?」
「その、一緒に風呂なんて入って、もし勃起でもしたらと思うと。」
 俺はその言葉に衝撃を受けた。
(勃起……ああ、勃起か……。)
 久しぶりに聞いた言葉が頭で反芻する。ラルクはそんな俺に気付かずさらに続ける。
「もしシシルさんの身体見て反応しちゃったら……告白する前に嫌われますよ!」
「そうですね。」
「あの、真剣に言ってるんですけど。」
 空返事をした俺の顔を恥ずかしそうに見ながら、ラルクが拗ねた声を出す。俺は頭が一旦宇宙に行っていたが、無理やり戻して、解決策を考える。
「父の裸に慣れるってのはどうですか?」
「え、それって。」
「父はそんなに危機感を持ってないですし、泊まった時に一緒に着替えをするとか、何なら一緒に寝るとか。見たり触れたりしても反応しないように特訓する……というのはどうですか?」
「セラさん……。」
 ラルクは俺をキラキラした目で見て、「そうします!さすがセラさん!」と俺の手を握ってブンブンと上下に振った。
「俺も、父に大浴場の件を聞いておきます。でも、一緒に入ったらきっと楽しいですよ。」
「そうですね。気持ちが少しだけ落ち着いてきました。」
 頭に血が上ってたのかも……と反省するラルクは大きな犬のようだ。俺はにこっと笑って、「もうすぐ父が帰ってきますし、一緒に食堂に行きましょう。」と明るく誘った。

「勃起かぁ…。」
 俺はベッドの上で呟いた。
 今日はラルクの発言に驚かされた。いや、彼は悪くない。
(俺の知識と経験が足りなかっただけだ……。)
 俺は今、乙女ゲームと全く同じ世界にいて、そこで黒騎士アックスとのハッピーエンドを望んでいる。そして、エンドを迎えるとなると、当然俺はアックスの告白を受けるわけだ。
(アックスの恋人になるってことだもんね。)
 俺は今2つの大きなイベントを終えた。つまり実質俺達の距離が縮まる重大なイベントは残すところあと2つ。そして最後の告白で終わりだ。
 それまでにアックスが俺を好きになっていることは大前提だが、告白までには俺も好きになっておくべきではないのか、と考えた。
 最後の告白シーンでは、主人公は好きだったアックスと結ばれるとあって、嬉しさのあまり涙を流す。全てを達成した喜びで涙を流すだろうとは予想できるが、それでは駄目だろう。
(最後まで完璧にセラ・マニエラとしてクリアしないといけない気がする……。)
 次の大浴場イベントまではあと2か月。そこで2人はお互いを意識し始める。それまでの数々の小さいイベントで気持ちのベースが出来ていた主人公と違って、俺は攻略に囚われ、ゲームをプレイしている気分でここまで来た。
 ラルクは今日、シシルを見て勃ってしまったら……と悩んでいた。
(てことは、父さんとそういうことをしたいってことだよな。)
 親のそういう部分に関して考えるのは少し勇気がいるが、2人がもし上手くいけばそういう行為をするのだろう。
 俺はどうだろう……と頭を捻る。アックスは良い人間だ。頼りになるし、優しいし、スパダリと言われるだけのことはある完璧な男だ。
 しかし、今の俺はアックスとそういうことはできそうにないし、想像すらしてこなかった。セックスだけではなく、キスをすることすら頭に無かったのだ。
(しかたない……俺の恋愛対象は女の子なんだ。)
 あちらの世界では考えたこともなかった男との恋愛。そして、これから恋人となったらするであろうアレコレ。俺はそれらを一旦学んだ方が良いと、明日から図書館に通う事にした。
(まずは勉強をして、知識を得て理解すれば、そういう欲が出てくるかも。)
 俺は、アックスとのハッピーエンドに向けて新たな努力をすることを決め、拳を握った。
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~

凪瀬夜霧
BL
「綺麗な息子が欲しい」という実母の無茶な要求で、ランバートは女人禁制、男性結婚可の騎士団に入団する。 そこで出会った騎兵府団長ファウストと、部下より少し深く、けれども恋人ではない微妙な距離感での心地よい関係を築いていく。 友人とも違う、部下としては近い、けれど恋人ほど踏み込めない。そんなもどかしい二人が、沢山の事件を通してゆっくりと信頼と気持ちを育て、やがて恋人になるまでの物語。 メインCP以外にも、個性的で楽しい仲間や上司達の複数CPの物語もあります。活き活きと生きるキャラ達も一緒に楽しんで頂けると嬉しいです。 ー!注意!ー *複数のCPがおります。メインCPだけを追いたい方には不向きな作品かと思います。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。