魔力が足りない!?剣士になるので私に構わないでください

誘真

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出会い

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私は、自分の事があまり好きではなかった。


貴族令嬢として産まれたのに魔力が弱い私は、5歳の魔力測定を待たずに捨てられ、孤児院で育った。


孤児の最上の幸せは、養子として引き取られる事だ。
そうでなくとも8歳になれば手に職をつけるため弟子入りしたり、雇ってもらえたりする。
ただし見目が極端に悪かったり身体が弱かったり、何かしらの欠陥を抱えている者は教会や孤児院の手伝いをする。これは賃金が発生しないので最低の行き場だった。

私は、平民に混じり育つには無理があった。
平均より高い魔力に、美しく整った目立つ容姿。
孤児院の子供達は妬みから疎外し、大人からは何故か腫れ物扱いされ、親身になってくれる人など居なかった。

どちらの世界で住むにも中途半端で、貴族にも平民にもなれない。


私は誰からも必要とされず、街外れの小さな教会の手伝いとなった。







「マリー!またこんな所に隠れているのかい?」
「シスター、礼拝の時間ですか?」
「いや、お茶にしようと思ってね。一緒にどうだい?」
「いただきます」

唯一の救いは、8歳の時に出会った老年のシスターだった。
彼女は全ての人に分け隔てなく平等に接する。
特別可愛がってもらった訳ではないが、その“普通”の扱いがとても嬉しかった。

「マリー、お前さんほど魔力があれば、騎士団に入れるかもしれない。来年、15歳になったら北の国境の砦を目指すといい。魔物と戦う事になるかもしれないが、こんな所で燻って一生を過ごすよりはきっとマシさ」
「騎士団…?」

この街には大聖堂があり、教会を運営する“教団”が幅を利かせているので、騎士団の存在はとても薄かった。

「魔物と戦う…。危なくないのですか?」
「そりゃ危険さ。でも今の教団は腐っている。このまま教団の一部として取り込まれる前に、騎士団に逃げた方がいい」
「他の孤児達は…」
「高い魔力がなければ騎士団には入れない。可哀想だが私が生きている限りは面倒見てやるさ」

ニッと笑ったシスターの顔が、脳裏に焼き付いた。




その夜。悲劇は起こった。

「ここに“マリーシャ”という娘がいるだろう!赤髪に黄金の目だ!いるのは分かっている!」
「拐われた娘だ!隠すと同罪とみなす!」

教団の上層部の人間が、小さな教会に押し寄せた。

「目撃情報があるのだ!下働きも全員連れて来い!」

怒鳴り声は大きく、私達が生活している部屋にまでハッキリ聞こえてくる。

「赤髪に黄色い目…。マリー、あんたの事よね?」
「出ていったらどうなの?シスターが可哀想よ」

普段は他の孤児達と会話などしないが、この時は厄介払いが出来るとばかりに責め立てられた。

「いや、出ていってはならん」
「シスター!」
「静かに。マリー、あんたはこの街の大聖堂の司祭の娘さ。亡くなった奥様にソックリだから、一目見て分かった。だが教団幹部が捨てた子供、逆らう訳にもいかなくてその事実は隠されたのさ」

はっ、と誰かが息を飲む。

「私がお前さんをこの街から逃がそうとしてるのがバレて、気にくわなかったんだろうねぇ…。このまま捕まると、どう利用されるか分かったモンじゃない。裏口からお逃げ」
「でも…」
「口論している暇はないよ!さっさとお行き!」

シスターは小さな布袋を私に押し付け、裏口を指した。

「…ありがとうございました」
「達者でな」

踵を返し、裏口に向かう。
後ろから「さぁ、私達はたっぷり時間稼ぎしようじゃないか。隅々まで見られてもいいように、大切な物は床下に隠すんだよ」というシスターの声と、「まだか!早くしろ!」と怒鳴る教団員の声が聞こえて来た。

恐怖で震える足を必死に動かし、裏口をそっと開け、夜の街に飛び出した。

だがどうしたものか、途方に暮れて路地にしゃがみこんでいると、私を探す教団員の声が聞こえた。
見つかってはいけない。
我に返り、暗い路地で声を遣り過ごし、孤児達の遊び場だった森に向かう。
あそこには洞窟を使った秘密基地があり、夜を過ごせると考えたのだ。

細い月明かりの中、子供の頃の記憶を引き起こし森に向かった。





翌朝、洞窟から出た私は北を目指した。
街道を通ると教団に見つかる恐れがあるので、街道と平行に草原や畑や森の中を隠れながら歩いて進んだ。
初めて街の外に出たが、感慨にふける余裕などなかった。

シスターから渡された布袋に少なくないお金が入っていたので、教団がいない小さな町に寄り、食料を買い込んだ。
このお金があればどこかの町で暮らす準備資金になるのでは…とも考えたが、いつ教団に見付かるかもしれない恐怖に怯えるのは嫌だった。
自分の置かれた状況が分からない以上、教団に捕まるのは最も悪手だろう。
シスターを信じ、一心不乱に北を目指す。

…彼女が、皆がどうなったか気になるが、今は考えない事にした。





大きな街を2つ過ぎ、北に近付き水浴びが辛く感じるようになった頃、訪れる町中に教団の影は見えなくなった。
元々地理の知識もなく、途中からは北の雪山を目指していただけなので、現在地もよく分かっていない。
食料を買い込むついでに、初めて具体的な情報を聞いてみた。

「あの…騎士団の砦に行きたいのですが、ここからどう行けば…?」
「どっちの砦だい?」
「どっち?複数あるのですか?」
「そりゃあ北の国境全てを見張ってるんだ、1個なわけないだろう?ここから近いのは中央砦と東砦さ。東砦には馬車が出てるよ」




馬車に乗り、東砦に着いた頃には、故郷の街を出てから3ヶ月が経過していた。

私は15歳になっていた。



---



「合格おめでとう。ここまで旅をしてきたお嬢ちゃんの体力と精神力なら、騎士団に入っても十分やっていけるぞ」

騎士団の基礎知識も何もない私の、指導教官になってくれた老年の引退騎士。
彼はとても優しかった。

「女の子は術師になるのが一般的だが…このままでは魔力が足らん。だが基礎講習を受けて術師になりさえすれば、魔力を上げる方法がある。とりあえず術師を目指さないか?」
「…それは、恒久的に上がるのですか?」
「いや、一時的な物だ。それに一人では無理だ。人からの助けが必要だな」
「…他人に頼るなんて、不確定な方法は結構です。私は一人で戦えます!」

彼は苦い顔をしたが…

「親に捨てられ、孤児院でも一人…か。そんなお嬢ちゃんにいきなり「他人を頼れ」なんて無理な話だな。俺達騎士団員だって“全員平等”の規則があるが…悲しいかな、内部では貴族だの平民だのあるのが実情だ」

ふうっと大きく息を吐き出した。

「分かった。俺が剣士の戦い方を教えてやろう」
「ありがとうございます!」
「…女の剣士はほとんどいない。男と違って魔力を筋力に変える適性がない事が多い。修得出来なければ雑務になるぞ。…覚悟はいいか?」
「はいっ!必ず剣士になってみせます!」




---




サラサラの赤髪を高い位置でポニーテールにした女が、長剣を器用に操る。

「次っ!」
「…もう無理ですって!マリー姐さん!」
「軟弱な奴らだ。こんな状態で魔物と対峙出来ると思うな」

冷たく言い放ち、訓練場を後にする。
明日から次の遠征だ。後方支援として夜営の用意をしなければならない。



あの日から何年も訓練を重ね、私は立派な剣士になった。
今では後輩指導も務めている。
…が、未だに前線に出れないでいた。

理由はただ1つ。私に術師のペアがいないからだ。

魔物にセオリーはなく、いつでも臨機応変に対応出来るように、前衛の“剣士”と後衛の“術師”が2人一組ペアになって動く。
ペアは魔物の色々なパターンに合わせ瞬時に動けるよう、普段からお互いの長所と短所を知り、訓練に励むのだ。

筋力強化の出来る男は剣士・属性魔術を細かく器用に操れる女は術師が当たり前なこの騎士の中で、私の存在は異質だった。
男からは蔑まれ、女からは奇異の目で見られる。
以前一度だけ女術師とペアになったが、反りが会わず実戦に出る前に解散となった。

さすがに今では女術師の友人もいるが、彼女達は既にペアを組んでいる。
それに友人としては良くても、命を預けるペアとして上手く付き合えるかは分からない。
他人に頼るのは未だに苦手だ。

結局、以降チャンスもないまま…入団して8年が経過した。



----



ある日、珍しく砦の部隊長から呼び出された。

「お前に紹介したいヤツがいる」
「どうも~!こんにちは~」

軽薄な間延びした声と共に現れたのは、フワッとカールした水色髪と、黄緑色の瞳をしたタレ目の優男。
身長と筋肉はありそうだが…着ている服が術師の物だ。

「男の術師か…?」
「うわぁ~、女剣士にそれを言われると悲しいなぁ~」

私の言葉に大袈裟に反応する男。
思わず眉を潜める。

「マリー、彼は優秀な術師のティムだ。だが中々ペアが定まらなくてな…。“砦付き”になってもいいから安定したペアが欲しいそうだ」

騎士団内部にも“暗黙の階級”は存在する。
一番上は上流貴族ばかりの騎士団学校を卒業した“エリート”。
次に裕福な家が家庭教師を付け、基礎がある状態で入団した“王都組”。
そして最下層、平民など基礎を知らず魔力の高さだけで入団し、砦で育てられる“砦組”。

エリートと王都組は王都本部を拠点とし、国境の砦3つに短期間派遣され、また王都に戻る。が、砦組はずっとその砦固定だ。
ゆえに辺境の田舎者扱いされ、騎士団の中でも最下層の扱いを受けている。

「砦所属になっても…?変わり者ですね」
「そう言ってやるな。“男”術師がどれだけ大変か、同じ立場のお前なら分かるだろう?」

確かに、“女”剣士の私を見る目は偏見に満ちている。
この男も、同じような目に合ってきたのだろう。

「そこでお前だ。どうだ?この男のペアにならないか?」
「そうですね…」

横で乙女のように手を組んで祈っている大男は、正直言って好きになれそうにないが…。

「私も前線に出たいと常々思っていました。返事は保留にしますが、一定のお試し期間をいただければ…と」
「やったぁ~!」

男がぴょんぴょん跳ねる。
身体の大きさと言動がチグハグ過ぎて、少し頭が痛くなってきた。

「こんなのだが、魔術の腕は一流だ。組んでみれば判るだろう」
「…わかりました。ではペアとして打ち合わせを開始します」
「僕、頑張るからね~!」


部隊長の部屋を退出して、訓練場に向かう。

「僕の名前はティムだよ~!ティムって呼んでね!」
「…知っている。先程聞いた」
「君はマリーでいいんだよね?マリーって呼ぶよ?」
「…好きにしろ」
「どうして剣士なの?術師はイヤだった?」
「…魔力が足りなかっただけだ」
「僕と逆かぁ~!僕は魔力がありすぎてね、剣士の戦い方に向かなかったんだよね~。あ!ねぇねぇマリーっていつから「うるさいぞ!今からお互いの力量を見る!ペアとしての方針を決める!雑談は休憩時にしてくれ!」

しん…とした空気になったが、ティムはこの場にそぐわずニヤリと笑った…気がした。

「そうだね!仕事に集中しないとね~」
「あ、ああ…」

今のは見間違いか…?








「筋力強化!熱よ集まれ…剣に炎をエンチャント!燃え尽きろ、炎纏斬!」

適正のある属性が髪色に表れるので、赤髪の私は火だ。
5メートルほど離れた位置にあった、的の藁人形が燃え上がる。
この距離を瞬時に駆け抜ける筋力、剣に纏わせる炎の強さ、そして純粋な剣技、どれを取っても一級品だという自負はある。
もちろん“今ある魔力の中で”という制約はあるが。

「わぁ~!すごいすごい!剣士でそれだけ属性を使いこなせる人は少ないよ!」
「“女”たからな。筋力も魔術も適性はあったようだ」
「うんうん。中にはエンチャントすら出来ない男もいるからね~。そんな筋力バカと組むのは嫌だったんだよ。マリーがセンスの人で良かった~!」

キャッキャとはしゃぐティムを見て、やはり私の鍛え方は間違っていなかったのだと誇らしくなる。
いやいや、傲慢は怠惰に繋がる。気を引き締めなければ。

「次はお前だ。どんな魔術が使えるか、見せてもらおう」
「分かったよ~!えいっ!」

気の抜けた一声と共に、一瞬で藁人形の火を消してしまった。

「えっ?」
「それから…こうだ!どーん!」

理解が追い付く前に、藁人形が軸の丸太ごと真っ二つになっていた。

「こんな感じ~!どう?どう?」
「…今、何をした?」

通常、集中力を高めなければ魔術は発動しない。
形式や呪文などないがその分頭の中の想像が必要となるので、自身で呪文を作ったり印を結んだり、何かしら数秒を要するルーティーンがあるはずだ。
しかし、ティムには何もなかった。

「えーっと、まず藁人形の周りの水蒸気を集めて火を消して、それから水圧で切ったよ!」

水色の髪のティムが水属性なのは分かるが、それにしても規格外過ぎる。

「…詠唱や印は?」
「そんなもの必要ないよ~!頭の中で想像するだけさ!」

えっへん!と胸を反らしているので、本人も凄いという自覚はあるらしい。

「…それは素晴らしい。術師の目指す最高峰じゃないか?」
「照れるよ~!でも皆が僕みたいに術を発動出来れば、もっと効率は良くなるだろうね。…さて、と」

今までニコニコしていたティムから、笑顔が消えた。

「これでお互いの実力は分かったかな?」

一瞬で空気が張り詰める。これが本性か…?
その顔からは何の感情も読み取れない。

「何が言いたい…?」
「君じゃ僕に釣り合わないってこと」
「…お前から組みたいと言ってきたはずだが?」
「そうだね、その気持ちは変わらない。僕には君しかいない」

目の鋭さに、思わずビクリとしてしまう。
負けたようで悔しい…が、実力差を考えるとそうなのだろう。

「…最初のキャラクターは作り物か?」
「そんなことないよ~?これも染み付いた僕さ!」

瞬時にニコニコと笑ってみせるあたり、確かに付け焼き刃ではないようだ。

「どういうつもりだ?部隊長も騙しているのか?」
「騙すだなんて人聞きが悪いなぁ~!って、無人とは言えこんな所で話す内容じゃないね」

指をパチンと鳴らすと、周りが薄い水の膜で覆われた。

「これは…水壁?」
「防音だけのね。中の音を水が吸収する仕組みさ」
「通常は防御のために分厚く張るものだが…。その応用という事か」

ティムの能力の高さに舌を巻く。
だが相手の思惑が分からない以上、閉じ込められたこの状況は歓迎出来ない。

「警戒しないで?話をしたいだけ。この水壁は簡単に通れるからね」

ティムはそう言いながら、自分の手を出し入れしてみせた。
…こちらの感情は筒抜けという事だ。

「さて、何から話そうかな…」
「回りくどいのは好きじゃない。お前は敵か?部隊長を騙しているのか?」
「…剣士は短絡的な人が多いね。マリーは脳筋じゃないと思ったのだけれど」

やれやれと言わんばかりに首を振り…こちらを見る目が鋭さを増した。
本当に心を覗かれているようだ。

「では本題に入ろう。僕は君を知っている」
「…何の事だ?」
「おや?心当たりあるだろう?“マリーシャお嬢様”」
「…!」

思わず目を見開く。
それは過去の名だ。自分も知らなかったぐらい、過去の。
何故知っている?奴らの手下か…!?

「おっと、剣を抜くのはルール違反だよ。柄から手を離して」

思わず剣を握っていたらしい。

「僕の敵は教団さ。恨みもしっかりある。そして…きっと君もね」
「…私を捨てた事か?覚えてもいない。恨みなど残ってはいない」

目の前の男を信用した訳ではないが、剣から手を離した。
私の過去を知っている限り、正直に話した方がいいだろう。

「それで?私を仲間に…いや、戦力にしようと思っていたのか?弱くて当てが外れた、と?」
「半分当たり、半分外れ。仲間にするのはもう決定事項だ。戦力として期待はしていなかったから、むしろ十分な方だよ」
「決定事項…?そこに私の意思は?」
「悪いね、手段を選んでいられない。この話を聞けば君は共犯だ」

水壁が、厚くなった気がした。

「僕は1ヵ月後、王都の対教団の特殊捜査に加わる。そのペアとして君を連れて行く」
「特殊捜査…?」
「僕達が囮になって、教団の悪事を暴く…って内容さ。詳しいことは後々詰めるとして、その計画に君が必要だ。理由は…分かるよね?」

なるほど…。教団の餌として、私を使うつもりか。

「…それに参加するメリットは?」
「君自身にはないだろうね。強いて言えば“無念を晴らす”…とか」
「どういう事だ?」
「…君のいた教会、8年前に火事で焼失したんだ」

8年前…。私が街を出て、騎士団に入団した年だ。
つまりはあの直後という事か!?

「皆は….!無事なのか!?」
「…だから“無念を晴らす”のさ。教団の発表は『不審火による出火、全焼により生存者なし』だけど、隣接への延焼を防ぐばかりで鎮火の形跡がなくて。これは“全焼させたかった”と見るのが正解かと」
「そんな…。私を逃がしたせいなのか…?」

あれから8年。
街に帰る事は二度とないので普段は意識の外だったが、それでもふとシスターを想う瞬間はあった。
今も元気にしている事を願っていたが、自分のせいで…そんな…。

「君へのメリットはないけど、でも教団はまだ君を狙っているかもしれない。騎士団の縄張りにいる限り安全だろうけど、そこを出るとどうなるかな…?」
「…お前は何をする気だ」

私が反応したのが嬉しいらしい。
ティムはニヤリと口を歪ませた。

「最終目標は教団を潰すこと。今回は無理でも必ずやり遂げる」
「そんな無茶な!教団は王家と同意だぞ!?王家を潰すと言うのか!?」

王家と教団が懇意であるのは周知の事実だ。
そして数世代前の賢王が作った騎士団を疎ましく思っており、協力し策を練り、解散させようと暗躍しているらしい。…この辺境では噂しか知らないが。
そんな教団を完全に敵に回すということは…。

「そうだね。無能な王家は潰れるべきだ」
「反逆罪で捕まるぞ!」
「だから騎士団に所属したんだよ。王家だって好きに権力を振りかざせる訳じゃない。何の罪も犯していない、むしろ国民の脅威である魔物を狩っている騎士を、罪もなく罰する事は出来ないね」

ティムの野望の大きさに圧倒される。
王家を敵に回す!?そんなの無理だ…!

「おや?怖じ気付いた?そんな弱腰を逃がした罪で殺された教会の皆は浮かばれないだろうね」
「うるさい!黙れ!」
「弱い犬ほどよく吠える…。まあいいや、どちらにしろ君は共犯者になった。誰かに話せば問答無用で王都に送られるよ。この砦にも対教団を掲げてる人は少なくなくてね」

パチンと指を鳴らすと水壁が弾け、パシャンと地面を濡らした。

「自分の意思で来るか、それとも強制的に送られるか…。猶予はない、明日返事を聞くよ」

くるりと踵を返し訓練場を去っていくティムを、呆然と見送る事しか出来なかった。

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