魔力が足りない!?剣士になるので私に構わないでください

誘真

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訓練開始

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あれから少しの休憩と身支度をし、昼一番で部隊長に報告した。

「本来はペアでするかしないか、自分達で選択するんだがな…。マリーには強要して悪い…」
「いえ、お気になさらず。強くなれるのであれば受け入れます」

部隊長は苦い顔をしたが、他のペアも使っている手段だろう。
任務や訓練の内だと思えば苦には感じなかった。

「それより…早速魔術を試してみたいと思います。退席して宜しいでしょうか」
「ああ。必要書類の提出や、詳細の報告はティムが済ませた。もう訓練場にいるだろう。奴に魔術を見てもらえ」
「了解しました」

部隊長の部屋を後にし、訓練場に向かう。


そういえば今までやたらと距離の近い男女ペアや、私が男剣士と談笑するだけで睨んでくる女術師がいたが、彼等は全員“そう”だったのだろう。

身体を繋げば情が移る?任務なのに馬鹿馬鹿しい。
そもそも上の命令でペアが変われば相手も変わるのに。
その時は拒否するのか?騎士団を辞めるのか?

むしろ男から魔力が貰えるんだ、これを利用しない手はない。
女に生まれて良かったと、心からそう思った。



----



「待ってたよ~!早速始める?」
「ああ。だがどうすればいい?」

砦にいるのは王都から実戦に来た騎士が大半を占めており、遠征に出ていて残っている人数は少ない。
今訓練しているのは砦付きの見習いか、ローテーションで遠征休みに当たる者か。
だが他人の目がある以上、派手な事はできないだろう。

「そうだね~。とりあえずいつものように、筋力強化してみて?」
「わかった」

ふうっ、と息を吐き、集中する。

「…筋力強化!うわっ…!」

いつもと同じ感覚で全身に魔力を浸透させたが、末端まで行き渡るスピードが段違いに速い。

「凄い…!何だこれは…!」
「成功だ~!これが魔力が多い状態だよ!普段は少ない魔力をじわじわ全体に広げるしかなかったけど、多いと一瞬だね~!」

ティムがパチパチと手を叩く。

「よく例えられるのが…身体をスポンジとして、全体的に水で湿らせた状態が“筋力強化”だね~。最低これだけの水…つまり魔力がないと使えなくて、だから魔力の低い平民は使えないんだよ~。そして水が多いと…どうなるか分かるよね?」
「ああ…。今みたいに一瞬で全体に広がるんだな…」
「今のマリーはスポンジより水の方が多いかもね~!ビチャビチャだ~!」

魔力が多いと、これだけ差があるものなのか。
体感的に5秒ほどの違いではあるが、戦場では1秒も無駄にできない。

「後は…ちょっと走ったりジャンプしたり、動いてみて?いつもと違う?どうかな~?」

言われたとおり、軽くジャンプしてみると…

「身体が軽い!?いつより格段に高いぞ!」
「マリーはセンスもいいから、増えた分の魔力がちゃんと筋力に変換されてるんだね~!」

ティムが満足そうに頷く。

「マリーは魔力が少ないだけで、能力もセンスもあるんだよね~。これなら魔力を渡した分だけ、どんどん強い魔術が使えそう~!ねぇ、魔術も使ってみない?」
「そうだな…。剣士に役立つ魔術は習得しておきたい。防御にも使える火壁や、リーチを伸ばす為の火鞭あたりは、使えると便利だからな」

大半のセンスがない男よりはずっとマシだが、それでも魔力が高い人の魔術を見て羨ましく思っていたのだ。
それが使えるかもしれない…と、嬉しくなる。

「さすがマリー!使いたい術のイメージもバッチリだ!でもごめんね、僕に火の適正はないから、教えてくれる人を探しておくね~。とりあえず…今はエンチャントと、昨日やってた技を見せてくれる?」



ティムに言われた通り、藁の的を用意した。
距離も昨日と同じ、約5メートル離れた所でスタンバイする。

もう筋力強化が一瞬で出来るのは分かっている。
後の技をどれだけ短縮できるか、威力はどうか、自分自身でとても楽しみだ。

ふうっ、と息を調え集中する。

「筋力強化!」

一瞬で全身に魔力が行き渡る。

「熱よ集まれ…剣に炎をエンチャント!」

今まで柄から切先に向けて、じわじわと赤くなっていた。
だが今日は一瞬で真っ赤に!それどころか目に見えて火を纏っている!

「燃え尽きろ、炎纏斬!」

いつもより軽く跳躍し…足が地面に着くことなく、的が燃え上がる。

たったこれだけの動作で、昨日までとの違いを理解した。

「うんうん!いい感じだね~!」

ティムがピョンピョン跳んでいる。

「後は…魔力に余裕があるから、跳躍前に足の筋力を増やすとか、剣が当たる直前に腕の筋力を上げるとか、瞬間的な工夫ができたら最高かな~!難しいけど、マリーならできるよ!」
「…部分強化か。今まではそれをするだけの魔力がなかったからな。練習して必ずモノにしてみせよう」

エンチャントを解き、剣を鞘に納める。
今日は魔術より、筋力の部分強化を練習しよう。
これが瞬時にできれば、剣士として更に上に進める事は間違いない。

「…どう?身体におかしいところはない?」
「どういう事だ?おかしい、とは?」
「急に筋力にブーストをかけた状態だからね、魔力が解かれた途端、筋繊維にダメージを受けたりするんだ」

なるほど…。確かに急激に動けるようになった分、筋肉への負荷は凄くあるだろうな。
だが今は何も感じない。いつもと同じだ。

「いや、大丈夫だ。普段から鍛えているからな、これぐらい何てことない」
「…だったらいいけど。でもすぐじゃなくても、蓄積されて次の日に痛んだりするから。その時はすぐに言うんだよ」
「ああ、分かった。ところで、口調はいいのか?」
「えっ!?あっ!大丈夫に決まってるよ~!もう、マリーったら~!」

急に慌てたように取り繕う。
…やはりこのキャラは無理があるんじゃないのか?

「私は筋力強化を練習する。お前は?」
「マリーの魔力の動きを“視て”るよ。どうせ部隊長に詳細を聞かれるだろうしね~。僕の魔力はどれぐらい持つのかとか、実戦でどの程度の技を出せるか…とかね」

確かに、今までは筋力強化は30分、エンチャントは20分しか持たなかった。両方同時に発動させると、15分程度。
しかも「炎纏斬」など魔力を消費する技も使うので、実際戦闘で全力を出せるのは10分弱だった。

それが魔力が倍に増えたと言うことは、単純計算でも20分は動けるという事で。
それに戦闘は一瞬で終わる事が多く、魔力を使わない間はじわじわと回復するので、行動力は何倍にも跳ね上がったと考えていい。

「ああ。お前の魔力は有り難いな」
「実はまだまだ渡せるからね~。マリーの器は大きいから、徐々に上げていけたら…と思ってるんだよ~!」
「器?」
「そう!マリーは自分の魔力量は少ないものの、魔力を溜めておける器は結構大きいんだ~!この器が大きいと、魔力を沢山使って強い魔術も使えるからね~」

…なるほど。私に魔術のセンスがあると分かった時、若い教官が術師に転向するように執拗に勧めてきたのは“器”のせいか。

大きい器に魔力をたっぷり溜めれば、強い魔術が放てる。
逆にセンスがなければ、いくら魔力があろうとも弱い魔術しか放てない。

教官は私に魔力を溜め、強い術師として育てたかったのだな。
…セックスを強要して。

自分の考えに虫酸が走るが、騎士団を強くする為には仕方のない事だ。
現に最近は魔物の数も強さも上がってきていて、前線の討伐から洩れ、後方支援の私達の夜営場付近でも見かけるようになった。
少しでも戦力が欲しい事は理解している。

「…時間は有限だ。早速訓練を始める」



----



「ここまで出来れば上出来!なんじゃない~?」

1時間程、筋力の部分強化に費やし、思うように使えたところで魔力が底をついた。
純粋な筋力強化で1時間分の魔力だったので、それよりもっと早く無くなると思っていた。
が、下手くそな部分強化で魔力を出鱈目に使っていたにも関わらず、1時間持ったのは僥倖だ。

「マリーのセンスが高いから、全体の筋力強化に使う魔力を少なく調節出来るようになったんだよ~!」
「そんな事も出来たのか…。今までは魔力が切れないように、あまり試してはいなかったからな…」

ふうっと息を吐くと、身体がくらりと傾いだ。
魔力枯渇1歩手前で、感覚と神経が鈍くなっているのが分かる。
それでも気力で動くのが剣士だが、気が抜けてしまったらしい。

「危ない!」

ティムが手を差し出そうとするが、傾いだ方向に足を出し踏ん張る。
と、咄嗟の動きに、足に鋭い痛みが走る。
これが部分強化の反動か…。

「大丈夫!?無理しちゃ駄目だよ!」
「…戦場で甘い事は言えない。これも訓練だ」

ティムの手を払いながら休憩室に向かう。
普通に歩く分には痛みはない。少し休憩すれば日課の剣技の練習は出来そうだ。

「で、でも、今無理をすると、本当に必要な時に動けなくなるよ!」
「…忠告感謝する。だが無理をして強くなってきた」
「……」

私の拒絶の強さに何も言えないのだろう、ティムが後ろから無言で付いてくる。

「そういえば、次の魔力はいつ貰えるんだ?」
「えっ!?今朝したばかりだよ!」
「もう無くなっただろ?補充して貰えなければ魔術の練習が出来ない」

はぁ…とティムが嘆息する。

「…個人差があるから確定ではないけど、魔力を渡せるのは1日1回。これは男側じゃなくて女側の話ね。まあ1日に何度も渡せる程魔力の高い男は珍しいから、男にも言える事なんだけど」
「なぜ1回しか受け取れないんだ?」
「自分の魔力が1日かけて回復するように、女性の子宮も1日かけて元の吸収出来る状態に戻るみたい。男は“出す”瞬間に筋力強化をかけていれば何度でも渡せるけど、受け取る側は万全じゃないと吸収出来ないんだよね」

訓練場横にある、休憩室に着いた。
扉を開けて中に入ると無人だったので、ソファーに腰掛けながら話を続ける。

「要は元の状態に戻れば受け取れるんだな?いつ戻ったと分かる?」
「…そりゃ僕は“視れる”から分かるけど…。そうじゃない皆は1日待つんだよ」
「今は?私はいつ戻るんだ?」

ティムは無言でお茶を用意する。
あきれているようだが、強くなるために必要な事だ。

「それとも…お前が何度も渡すのが無理なのか?」
「そんな訳ないよ。僕の魔力は1日で樽1杯分も回復するんだよ」
「…どういう基準だ?」

カチャリと、目の前に湯気の立ったカップが置かれた。
水属性のティムにお湯を沸かすのは無理だ。
恐らく…水を高速に動かして、摩擦で熱を生み出したのだろう。
なんて魔力の無駄使いだ。

「普通の平民はコップ1杯の器に1/4の魔力。皆これで生活に必要な魔道具を起動し生活して、1日分の魔力を使い果たすんだよ」

カップを口に近付けると、ふわっと花の香りがした。
魔力枯渇から来る、精神力の回復を助ける薬草だろう。

「これも目安だけど、剣士はコップ1杯の器に満杯の魔力。術師はコップ10杯…つまりバケツ1杯の器に半分ぐらいの魔力。最低これぐらいはないと、入団出来ないだろうね」

暖かい液体が喉を滑ると、気力も回復した。
自分で思っていたより、色々消耗していたようだ。

「ちなみにマリーはバケツ5杯分ぐらいの器を持っているのに、魔力はコップ2杯ってとこだね。これで樽1杯分の器と魔力を持つ、僕の凄さが分かったでしょ?」

ふふん!と得意げに腕を組んでいるティムを横目に、お茶を飲み干す。

「つまり1日1回、明日からバケツ5杯分の魔力を貰えるんだな?」

そのポーズのまま、ティムが固まった。

「…どうしてそうなるの!いきなり魔力が増えると魔力酔いを起こすんだって!今日だってマリーの元々の魔力の倍ぐらい、コップ2杯分しか渡してないんだ!それでも多いぐらいさ!」

凄い剣幕で怒ってきた。
が、そんな事はどうだっていい。

「じゃあ、いつ5杯分貰えるんだ?」
「…それは…個人差もあるけど、普通は器が満杯になるまで渡すことは出来ないんだよ。子宮が魔力飽和を起こして、一定以上の魔力は受け取れないんだ。大体自分の器の3割程度、つまりマリーに置き換えるとバケツ1.5杯分になるかな」
「たった1.5杯分だと…!?」
「でも他の術師はバケツ1杯程度の器しかなくて、その3割しか受け取れないんだよ?1.5杯分も受け取れるマリーは規格外だよ!…もちろんそれだけの魔力を渡せる男もそうそういないけどね」

ティムがフォローするが、納得出来ない。
いくら器が大きくても、自分の魔力が少なすぎて宝の持ち腐れになっている。

「それに…その器が教団の手に渡らなくて良かったと思うよ。今の教団は怪しい人体実験もしていて、魔力の吸収制限を上げる研究に使われたと思うから…」

人体実験…。
シスターが教団を危惧していたのは、この事を知っていたのかもしれない。

「…だとすれば、私の魔力が少なくて捨てられたのは正解だったのかもな」
「皮肉な事…だけどね」

ふうっと息を吐き出し、重くなった空気を払う。
新鮮な空気を肺一杯取り込み、背筋を伸ばした。

「さて、そんな事より。次はいつ、どれぐらい魔力を貰えるんだ?それによって訓練内容を考えようと思う」
「…前向きと言うか、何と言うか…。分かったよ、今夜、コップ4杯分を試してみよう。今後毎晩2杯分ずつ増やして魔力酔いにならないか、またどれぐらいで飽和状態になるかを試していこう。…これでいいね?」

順調に行けば、バケツ1.5杯分貰えるのは7日後。
このあたりで貰える魔力が安定するとして…残り3週間。
それだけあれば、増えた分の魔力で、どれだけの術が使えるか検証出来るだろう。

「ああ、それで手を打とう」
「…渡すのは僕だし、それに毎晩“する”って事なんだけど…」
「何か文句があるのか?」
「…ないよ!あっても聞いてくれないだろうから、ないよ!」

ブツブツ言いながら席を立つ。

「僕は部隊長に報告しに行くから。もう魔力もないし、今日は無茶しないでね!…夜に僕の部屋に来て!」

それだけ言うと出ていった。

人を利用しようとしているくせに、こっちが利用してやると途端に文句ばかり。
それに途中からまた口調が戻っていた。
…あんなので王都の作戦に入れるのか?

まあいい。私は魔力が貰えれば何でも構わない。

身体が回復するのを待って、剣技の訓練に戻った。

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