魔導師ロイの弟子。

赤いだるま

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風の魔法。

布団がふっとんだ!②

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ミルクは部屋で、魔法陣を書いていた。

「グリーングリーン」

そう唱えると、木の葉が舞い上がる。
かすかに風も吹く。

風の初級魔法だが、効果時間が長い。
よく使われる魔法陣だ。


ミルクは、さっきのロイの言った言葉を
思い出した。

(初めては、もっと別でやりたいからだ)

…気になって仕方がない。
ロイとミルクは、師匠と弟子の関係だ。
尊敬する気持ちと、恋愛的な気持ちは
どこか似ているらしい。


ガタガタ……
急に窓が揺れた。

ガタガタガタガタ……

次の瞬間、

ピカッ、
眩しいほどの光。
思わず目を伏せる。

ミルクは恐る恐るまぶたを開けた。
そこには…、黒いハットをかぶった人がいた。


光が眩しすぎて、顔がよく見えない。
 
光が反射して、短剣がキラリと光った。

黒いハットをかぶった人は
ミルクの首元に、短剣を突きつけてる。

「美しき風の魔法使い、命が惜しければ
俺様に体をささげろ。」

男の太くて低い声。
ミルクは恐怖で声が出せず、抵抗もできない。

「…それが出来ないならロイを殺す。」

男の短剣が、ミルクの喉もとをかすめる。

「さあ、はやく服を脱げ。」

ミルクは、言われるままに
上着をぬぎ、下着姿になった。

「ああ、美しい。
俺様の魔力がお前を欲している。」

そう言って男は
黒いハットをかぶったまま、
ミルクの首元にキスをする。

逆光で顔が見えない。

男がミルクの下着を無理やり
ぬがそうとした。
次の瞬間、

ドン!

ロイがドアをこじ開ける。

ビリビリビリビリ!

黒いハットの男に
電気の魔法が命中する音がした。
男は、あっけなく倒れた。


「ミルク、大丈夫か!?」
ロイはミルクに駆け寄った。

「……ロイ様…。」
ミルクは恐怖で体が震えている。
彼女の体に
涙がポタ…ポタ…、と流れ落ちた。

「……私、怖くて声が出せなくて…」
そう言ったミルクの背中は、
とても弱々しくて、
今にも消えてしまいそうだった。

ロイは震えるミルクの体を
優しく包むように抱きしめた。

二人はそのまま、夜の眠りに落ちた。
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