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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
高慢なレストラン
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さて。
俺とカレンは今、食事をするためにレストランを散策している。
ただ問題が…………。
「高い」
それは地上から塔を見上げるように。また、平民が王侯貴族を羨望と嫉妬の眼差しで見上げるように。
…………………高かった………………………。
「大丈夫……?」
「……………ハッ!?」
いかん。意識が飛んでた。カレンが心配そうに横から顔を覗く。
「やっぱり、私と食事行くの嫌だったのね…………。無理して食事に付いてきてくれたばかりに…………」
ションボリしている。この子、早とちりで勘違い多くないか?
「いや俺がボーッとしてたのは、その、ここの地区のレストラン。値段がな……」
そう、高いのだ。現在豪奢な作りのレストランの前に設置されてるメニューの看板を眺めているのだが、一番安い【ミネストローネ】が五千ウォルス…………。
俺の寒い懐には六千ウォルスしかない。明日から働くが、そう毎日良質な案件に恵まれることは滅多にないだろう。しばらくは節約しなくては。
「私の家も収入が裕福とは言えないからあまり行かないわよ。でもミネストローネぐらいなら奢れるし、一緒に食べない?」
「いやいや! 異義あり! 男の恥だ!」
レディに奢らせたらさすがにまずい。何がまずいかって? 俺のプライドだよ!!!
それにカレンも歩き疲れただろう。もうここらの通りは今いるとこ以外全部見たし。
ええい、ままよッッ!
「 ……入ろう」
店の中は人が通る道全てにレッドカーペット。天井にはいくつもの綺麗なシャンデリア。
そして目の前には黒服の店員が待機していた。
「いらっしゃいませ。お客さ…ま………」
店員が何故か俺を見た瞬間。固まる。
そしてすぐに品定めするような視線を浴びせてきて、
「お帰りくださいませ」
「は?」
何を言ったんだ?うまく聞き取れなかった。空耳かな?
「貴方のような身分の卑しい者を当店でお客様として扱う事は不可能にございます。お隣にいらっしゃるノスタルジア家のご令嬢が食事を終えるまで外にいては?」
空耳じゃなかった……。ベネット商会の宿の人は洗練した対応だったのに、こいつ何様だ?
貴族は自分達の身なりに沢山の資産を費やし、気をつかう。理解できないが、それが彼らの身分や特権を誇示し、影響力を周囲の政敵に見せつける手段のひとつらしい。
ここは、貴族の居住ブロック。店内を見渡すと俺以外の客は全て高級な服に身を包んでいる。
ある者は金糸をふんだんに使った貴族服を羽織っていて、またある貴婦人は自らを美化するような角度で座り、ふさふささせたフラミンゴの羽で作ったピンクの扇子を片手に仰いでいた。ちなみに顔は失礼ながらあまりよろしくない。隣のカレンもあいつらと比べると劣るがやはり格調高い服だ。
俺は庶民服にボロいローブを着けただけだからな。確かに普通ならこんな店に平民が入るとかおかしい。座っている客もこちらに視線を送っている。
でもまぁ、門前払いなら仕方ないな。彼女には悪いが俺は外に出よう。こんな客を不快にさせる店に金を払いたくないし。
来た道を元に戻って出る。
「ま、待って! あなたが出るなら私もそうする!」
「お客様、あのような下銭、放っておけばよいのです。平民風情に気遣いは無用です」
「うるさいッッッッ! もう二度と来ないわ!」
後ろでベルと木製の扉を蹴りとばすような音が聞こえた。
カレン……ドアを蹴っちゃいけないよ。
俺とカレンは今、食事をするためにレストランを散策している。
ただ問題が…………。
「高い」
それは地上から塔を見上げるように。また、平民が王侯貴族を羨望と嫉妬の眼差しで見上げるように。
…………………高かった………………………。
「大丈夫……?」
「……………ハッ!?」
いかん。意識が飛んでた。カレンが心配そうに横から顔を覗く。
「やっぱり、私と食事行くの嫌だったのね…………。無理して食事に付いてきてくれたばかりに…………」
ションボリしている。この子、早とちりで勘違い多くないか?
「いや俺がボーッとしてたのは、その、ここの地区のレストラン。値段がな……」
そう、高いのだ。現在豪奢な作りのレストランの前に設置されてるメニューの看板を眺めているのだが、一番安い【ミネストローネ】が五千ウォルス…………。
俺の寒い懐には六千ウォルスしかない。明日から働くが、そう毎日良質な案件に恵まれることは滅多にないだろう。しばらくは節約しなくては。
「私の家も収入が裕福とは言えないからあまり行かないわよ。でもミネストローネぐらいなら奢れるし、一緒に食べない?」
「いやいや! 異義あり! 男の恥だ!」
レディに奢らせたらさすがにまずい。何がまずいかって? 俺のプライドだよ!!!
それにカレンも歩き疲れただろう。もうここらの通りは今いるとこ以外全部見たし。
ええい、ままよッッ!
「 ……入ろう」
店の中は人が通る道全てにレッドカーペット。天井にはいくつもの綺麗なシャンデリア。
そして目の前には黒服の店員が待機していた。
「いらっしゃいませ。お客さ…ま………」
店員が何故か俺を見た瞬間。固まる。
そしてすぐに品定めするような視線を浴びせてきて、
「お帰りくださいませ」
「は?」
何を言ったんだ?うまく聞き取れなかった。空耳かな?
「貴方のような身分の卑しい者を当店でお客様として扱う事は不可能にございます。お隣にいらっしゃるノスタルジア家のご令嬢が食事を終えるまで外にいては?」
空耳じゃなかった……。ベネット商会の宿の人は洗練した対応だったのに、こいつ何様だ?
貴族は自分達の身なりに沢山の資産を費やし、気をつかう。理解できないが、それが彼らの身分や特権を誇示し、影響力を周囲の政敵に見せつける手段のひとつらしい。
ここは、貴族の居住ブロック。店内を見渡すと俺以外の客は全て高級な服に身を包んでいる。
ある者は金糸をふんだんに使った貴族服を羽織っていて、またある貴婦人は自らを美化するような角度で座り、ふさふささせたフラミンゴの羽で作ったピンクの扇子を片手に仰いでいた。ちなみに顔は失礼ながらあまりよろしくない。隣のカレンもあいつらと比べると劣るがやはり格調高い服だ。
俺は庶民服にボロいローブを着けただけだからな。確かに普通ならこんな店に平民が入るとかおかしい。座っている客もこちらに視線を送っている。
でもまぁ、門前払いなら仕方ないな。彼女には悪いが俺は外に出よう。こんな客を不快にさせる店に金を払いたくないし。
来た道を元に戻って出る。
「ま、待って! あなたが出るなら私もそうする!」
「お客様、あのような下銭、放っておけばよいのです。平民風情に気遣いは無用です」
「うるさいッッッッ! もう二度と来ないわ!」
後ろでベルと木製の扉を蹴りとばすような音が聞こえた。
カレン……ドアを蹴っちゃいけないよ。
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