断罪のアベル

都沢むくどり

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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

強行軍にて 二

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「そうじゃない………。なんで現実にお前が干渉できてるんだ」

「ここは現実じゃありませんよ」

 カレンを指差すノア。

「お気づきでしょう? この景色すべてが、あの時と似ていると」

 確かに似ている。


 何もかもが純白な世界。時も止まっているような静寂。

「今日はあなたに、知らせたいことがあって、こうして来たんです。何もそんなに慌てることはないでしょう」

 ノアが俺の手をそっと離し、1歩、2歩、3歩と下がり、カレンと背中合わせになるように、馬の上に腰掛ける。

「以前あなたは、私に聞きましたよね。何か条件があってあなたが連れてこられるか、と」

「あぁ…………」

 離された手は、ノアの手が接触しなくなったと同時に、また硬直する。自分の意思では動かそうにもどうやったって無理のようだ。

「それについては大体把握できました」

 ノアはカレンの風に靡かれたまま固まった髪に触れる。

 それだけで触れられた髪の毛だけが、白から金へと、元に戻った。

 そしてくるくると自身の指でいじり始める。

「この白夜の箱庭エリドでは管理人である私、ノアの指示か、あなたの無意識による渇望及び意識的な理由で発動することが分かりました。私の指示と言っても、そう頻繁には出せないようですが……………………。ちなみに今回は私の指示です」

 カレンのストレートヘアがスパゲティの如く、ノアの人差し指に巻きつく。

「何のために俺を呼んだんだ? これから盗賊退治に行くんだよ、こっちは黒パンを買う元手すらほとんどないんだ。ほんとはやりたくないが、生活の為なんでね。分かったらすぐに用件を話せ」

 俺としては現実にさっさと戻りたいんだ。

白夜の箱庭エリドは発動時間が短い。これも前に言いましたが、それに補足して説明しましょう。逆に言うと効能が切れるまで現実に戻れないんです。だから、気を長く保ってくださいね! 短気な男の子はモテませんよ!」

 つまり、時限式固有結界のようなものか…………。

「それに、私があなたを呼び出した理由は……………………」

 と、話ながらどこからか持ち出した白いハサミで、カレンの毛先を少しだけ切る。

 ちょっと待て! カレンになにやってんだよ!?

「あなたを救いたいから」

「は?」

 そんな真面目な声で言ってきた。
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