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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
1a 試練の始まり(ストーリー分岐)
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「ノア。俺は契約を結ぶよ」
俺の答えを聞いたノアは、安堵した表情を浮かべた。その瞳からは涙を流し、彼女は笑顔を浮かべる。
「ようやく……………ようやく決断してくれましたね……………………」
「あぁ、でもこれはノアの為でもカレンの為でもない。ただ俺自身の為に、カレンを助けたいだけだ」
「いいんです。私はあなたの幸せの為に存在しています。アベル、あなたが救われるのならば、それがどのような理由だろうが構いません…………」
ノアは俺に近づき、左手を優しく掴む。
溶けていく感覚、と言えばいいのだろうか。異様な感覚だが、悪くない。大理石の様に止まっていた左手は元の姿に戻る。
さらに手の甲に刻まれている禍々しい光を放っていた紋様もよりいっそう妖しく輝いた。
「これはあなたが生まれ、育ち、亡くなるその時まで背負いし呪いの力。時には向かい来る試練を乗り越えさせ、また、あなたを苦しめる災厄を与える…………でもあの時まで持ちこたえればあるいは…………いえ、仮定の話をしても仕方ないですね……………………………」
俺に対してではなく、独り言の様にボソッと呟く。
そして、
「これから契約の儀式を開始します。準備と覚悟はよろしいですね?」
ノアの表情は引き締まる。先ほど泣いていたのが微塵も感じられないくらいに。
「あぁ」
彼女はどこからともなく白い剣を出す。金属のように光沢があるわけでも無い、これまた大理石で作ったのではと言いたくなるだろうただただ白い剣。それを躊躇う暇なく俺の刻まれた紋様のちょうどど真ん中に突き刺した。
「……………………ィィィィィィッッッッッッッッッッ!?」
あまりの痛みから逃避するため、歯を思いきり食い縛りながら変な声を出してしまう。
剣を抜かれる。
「…………………………アァァァァァッッッッ!」
一度では足らず、二度目の痛みが走り、とうとう耐えられなくなった。
刺されるよりも刺さっていた物を抜かれる方が痛い。血が絶え間無く出続ける。
しかも、俺の固まっていたはずの全身が何故か動いている。
それだけじゃない。
刻印が放つ邪悪な光と同じ色を持つ瘴気が、俺の身体中から溢れ出す。
俺が悶え、苦しんでいる間に、彼女は俺の周囲に手の刻印と同じ紋様を、血のインク、白い剣で描いていた。
「これからはあなたの行動次第です」
ノアが描き終えると、その紋様は俺から出た瘴気を集め、天高くに柱を作る。
「発動条件たる詠唱を伝えます。一字一句、間違えてはなりませんよ…………」
彼女はのたうち回っている俺の耳元で、その呪文を囁いた。
「……………………」
ぼやける視界。遠退く意識。
やけに記憶力が良いせいで、無理に頭に叩き込まれる呪文の詠唱。
「この先、あなたを待ち受けるのは茨の道。でもあなたなら出来ます。例え全てが敵になっても、私は最後まであなたの味方ですよ」
瞬間、ノアの顔が不気味に歪んだ。
「!?」
「ようやく…………ようやくです……! アベル、アベルと私の……!! 始まりが……………! フフフフフ……!!」
彼女の青い瞳から光が消え、おかしいくらい口角が上がる。
恐怖が背筋を走った。
彼女は時折、様子がおかしい。
「また会いましょう…………そう遠くない内に!!!」
ノアは死んだ目をしながら、俺を見送った。
止まった世界が動き出す。
刹那、俺はクソ貴族に喉元を貫かれた。
俺の答えを聞いたノアは、安堵した表情を浮かべた。その瞳からは涙を流し、彼女は笑顔を浮かべる。
「ようやく……………ようやく決断してくれましたね……………………」
「あぁ、でもこれはノアの為でもカレンの為でもない。ただ俺自身の為に、カレンを助けたいだけだ」
「いいんです。私はあなたの幸せの為に存在しています。アベル、あなたが救われるのならば、それがどのような理由だろうが構いません…………」
ノアは俺に近づき、左手を優しく掴む。
溶けていく感覚、と言えばいいのだろうか。異様な感覚だが、悪くない。大理石の様に止まっていた左手は元の姿に戻る。
さらに手の甲に刻まれている禍々しい光を放っていた紋様もよりいっそう妖しく輝いた。
「これはあなたが生まれ、育ち、亡くなるその時まで背負いし呪いの力。時には向かい来る試練を乗り越えさせ、また、あなたを苦しめる災厄を与える…………でもあの時まで持ちこたえればあるいは…………いえ、仮定の話をしても仕方ないですね……………………………」
俺に対してではなく、独り言の様にボソッと呟く。
そして、
「これから契約の儀式を開始します。準備と覚悟はよろしいですね?」
ノアの表情は引き締まる。先ほど泣いていたのが微塵も感じられないくらいに。
「あぁ」
彼女はどこからともなく白い剣を出す。金属のように光沢があるわけでも無い、これまた大理石で作ったのではと言いたくなるだろうただただ白い剣。それを躊躇う暇なく俺の刻まれた紋様のちょうどど真ん中に突き刺した。
「……………………ィィィィィィッッッッッッッッッッ!?」
あまりの痛みから逃避するため、歯を思いきり食い縛りながら変な声を出してしまう。
剣を抜かれる。
「…………………………アァァァァァッッッッ!」
一度では足らず、二度目の痛みが走り、とうとう耐えられなくなった。
刺されるよりも刺さっていた物を抜かれる方が痛い。血が絶え間無く出続ける。
しかも、俺の固まっていたはずの全身が何故か動いている。
それだけじゃない。
刻印が放つ邪悪な光と同じ色を持つ瘴気が、俺の身体中から溢れ出す。
俺が悶え、苦しんでいる間に、彼女は俺の周囲に手の刻印と同じ紋様を、血のインク、白い剣で描いていた。
「これからはあなたの行動次第です」
ノアが描き終えると、その紋様は俺から出た瘴気を集め、天高くに柱を作る。
「発動条件たる詠唱を伝えます。一字一句、間違えてはなりませんよ…………」
彼女はのたうち回っている俺の耳元で、その呪文を囁いた。
「……………………」
ぼやける視界。遠退く意識。
やけに記憶力が良いせいで、無理に頭に叩き込まれる呪文の詠唱。
「この先、あなたを待ち受けるのは茨の道。でもあなたなら出来ます。例え全てが敵になっても、私は最後まであなたの味方ですよ」
瞬間、ノアの顔が不気味に歪んだ。
「!?」
「ようやく…………ようやくです……! アベル、アベルと私の……!! 始まりが……………! フフフフフ……!!」
彼女の青い瞳から光が消え、おかしいくらい口角が上がる。
恐怖が背筋を走った。
彼女は時折、様子がおかしい。
「また会いましょう…………そう遠くない内に!!!」
ノアは死んだ目をしながら、俺を見送った。
止まった世界が動き出す。
刹那、俺はクソ貴族に喉元を貫かれた。
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