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無職
しおりを挟む現実では無職な俺が、プレイしていたゲームの世界に入り込んでしまった。
夢中でプレイしているから現実に戻れないのではなく、出れないのだ。
お昼に眠気がさして、ゲームをしたまま、眠ってしまった。
目が覚めると、ゲームの世界にいたのだ。
最初は夢だと思ったけど、いつまで経っても覚めない。
無理やりでも現実に戻ろうと、顔をおもいっきり殴ってみたら、めちゃくちゃ痛かった。
顔が腫れてるのが分かる。
ということは、ここは夢ではない。
最近ゲームの世界に転移する話が多いが、まさか自分がそうなるなんて思わなかった。
知ってることを試してみるか……
「ステータス!」
【名前】 マサト
【年齢】 28歳
【職業】 なし
HP(F) MP(F) 体力(F)
筋力(F) 防御(F) 速度(F)
技術(F) 魔力(F) 魔防(F)
【武器】 なし
【防具】 服(効果なし)
【指輪】 なし
【スキル】 なし
ありえない!!!
俺がプレイしていたキャラクターだが、戦士のはずの職業が無しになっている。
そこまでレベルが高いわけでは、なかったけど、頑張って育てたのに。
職業が無いせいでステータスはもちろん最弱のF。
このゲームでは一番最初に決めた職業から、途中で変更できない。
もっと言うなら、最初に職業をもらわなければ、無職のままでプレイしなければいけない。
そんなに俺はこのゲーム得意じゃないし、やり込んでるわけじゃないから、無職で縛りプレイして勝てるほど強くない。
ある程度の事は分かるが、職業なしは辛い無理ゲーだ。
この時点で詰んだ! すべて終わりだ。
現実では無職、このゲームの世界でも無職。
俺はいったいどうしたら……
そうだ! アイテムボックスに何か入ってないだろうか。
一途な希望を込め開いてみるが……
何もない!!!
この瞬間にすべてが終わった。
希望などなかった、あるのは絶望だけだ……
「おい、お前こんな所で何してる」
「・・・」
人通りのない路地裏で、俺よりも年上な感じの男が話しかけてきた。
何してるって言われても、絶望しているとしか言えない……
「へっ! ダンマリかよ。 まぁいい。 とりあえず持ってる金全部だせっ!」
男はそう言うって、俺達以外に人がいないことを確認してから、拳を握りしめ殴りかかってきた。
殴られて吹っ飛び、壁に背中が激突する。
あまりの痛みと、恐ろしさに、足がすくみ倒れてしまう。
「ほらっ、とっとと出さねぇと、もう一発殴るぞ!」
いっ痛ええぇぇ
金なんてんてない、あるなら絶望してない。
なんで無いやつから取ろうとするんだ。
「無いんだ! 俺はお金なんて持ってない」
「嘘つくんじゃねぇよ! 出さねぇなら、殺して奪い取ってやる」
もう辞めてくれ、本当にもってないのにぃぃ!
どうして信じてくれない、こんな時誰かが助けてくれるんじゃないのかよ……どうして誰も助けてくれない、どうして、どうしてだよぉぉぉおおお!!!
あああ、困ってても、苦しくても、辛くても、誰も助けてなどくれない。
あああ、神に見捨てられたんだ。
ハハハ、分かったよ。 分かっちまった!
結局は自分の力で解決するしかない。
そういう事か……
だったら俺は死にたくない……生きたいぃぃ、どんな手を使ってもいい、絶対に生きる、生きるんだ!!!
「ぃやだ……」
「あっ? 何だって」
「死にたくないいいいいっ!!!」
「うるせぇぇぇぇ、お望み通り殺してやるよっ、オラッ!!!」
地面に落ちている拳ぐらいの石を掴む。
先ほどまでは脚が震えていたが、もう恐怖はない。
あるのはコイツを殺してでも生きたいと思う気持ち、生への渇望だけだ。
立ち上がり、殴りかかってきた男に、カウンターで石をぶつける。
俺の攻撃が先に当たり、額から血を流して倒れていく。
地面に血が広がり、男は動かない。
さっきまで、俺を脅して楽しんでいたのに、どうやら死んでしまったみたいだ。
「やったぞっ! 勝った。 俺は生きてるっ」
ハハハ、ざまあみろ!
返り討ちにしてやった。
相手も無職だったのかもしれないな、だから勝てたのか。
勝利の余韻にいつまでも浸るわけにはいかない。
意外かもしれないが、人を殺したのに、そこまで嫌悪感はない。
自分でも不思議だが、落ち着いている。
頭はいたって冷静だ。
見つかるとまずいと判断し、人が来ないうちに死んだ男を漁り、持ってる物を貰っていく。
物を取っている最中で死体と地面に広がる血が消えてしまった。
そうか死んだら身体と一緒に服も消えるのか、いい事を知った。
これで死体が見つかって、騒がれる心配もなくなった。
自分の身体に血が付着してないことを確認して、その場を離れた。
男を殺したあと宿を取ることにした。
宿泊代の100オーツを支払い部屋へと向かう。
このゲームでは、HP、MP、疲労を全快するのにベッドや布団で寝る必要がある。
RPGもので、よくあるやつだ。
他にも回復ポーションや、マジックポーションを飲んで回復する手があるが、町にいるなら宿に泊まったほうが手っ取り早い。
自室で死体を漁って手に入れた物をテーブルに並べる。
ゲーム内での通貨500オーツだが、先ほど宿代を払い残りが400オーツ。
それとナイフが一つ。
男が持っていたのは、これだけだった。
あの男ナイフがあったのに使わなかったのか……
弱そうだから使うまでも、ないと思ったのだろう。
もし武器を抜かれていたら死んでたのは俺の方だった。
今さらだが自分が危険な目にあったという自覚を持つ。
恐怖よりも人を殺した刺激が強く、何か得体の知れないもので満たされていく。
生きてきた人生で、ここまで満たされた経験がない。
「気持ちぃぃ」
俺みたいな小心者が人を殺して喜ぶなんて……
もう普通には戻れないな。
「ステータス!」
【名前】 マサト
【年齢】 28歳
【職業】 殺人者(LV1)
HP(F+) MP(F+) 体力(F+)
筋力(F) 防御(F) 速度(F+)
技術(E) 魔力(F+) 魔防(F)
【武器】 なし
【防具】 服(効果なし)
【指輪】 なし
【スキル】 なし
おぉぉぉ~まさか職業がっ!!!
何となくステータスを開いたら手に入れていた。
今の俺にうってつけの職業を……素晴らしいぃぃ!
なぜ殺人者のジョブになっているのか、理由が分からない。
俺がプレイしていた時とは、仕様が異なるのだろうか。
もしかしたら、このゲームの世界では職業に就く条件とかあるのかもしれない。
それにしても殺人者か、いい響だ!
これからは、殺して、奪い、犯してやるよ!
犯罪に手を染めた者の生き方を見せてやる!
どんなジョブなのか確認するため、ステータス画面の殺人者をタッチすると詳細が見れた。
【殺人者】……ステータスは技術と速度が高くなりやすく、対人戦に長けたジョブ。 人を殺すことに躊躇いを持たない。 モンスターを倒してもレベルは上がらず、人殺し、強姦、盗みで経験値が入りレベルアップする。
レベルアップの仕方が特殊だが、面白そうじゃないか。
ただどうしたものか……人を殺すのは嫌じゃないが、バレて捕まるリスクがある。
ダンジョンとかで殺れば、バレにくい気はするが、そうなると冒険者を相手することになる。
レベルが低い今の状況で、自分より格上と戦うよりは、町中で殺したほうが無難だろう。
別に殺さなくても、女を犯すか、物を盗めば経験値は入る。
極力殺しは最低限にして、捕まるリスクが少ない方をなるべく選ぶべきだ。
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