14 / 42
第2話 『真紅の女主人亭』その5
しおりを挟む
「それではまずはする事は」
「シオンの身体を綺麗にしましょう」
それからは問答無用だった。
問答無用はそれ以前からだったが。
『真紅の女主人』亭には離れがある。
宮殿風の本館とは少し似つかわしくない、丸太を組んで作った小屋だ。
屋根には立派な煙突。
その煙突は石造りの頑丈な窯に繋がっている。
密閉された室内で、窯の中では薪が赤々と燃え。
窯を取り囲むように階段状に作られた室内。
下には分厚い布が敷き詰められていた。
「いやぁ。生き返るな」
「やっぱ、お風呂はサイコーよね」
『真紅の女主人』亭自慢のサウナ小屋。
仕事を終えた従業員も経営者も、時には常連客も、裸で語らい冷えたレモネードを飲む。
たっぷり汗をかいてから香油とブラシで垢を擦り落として、仕上げは併設した水風呂で身を清める。
一度入れば癖になるとの評判だ。
「ボクの故郷の村にも共同のサウナ小屋があったんですが。古くてボロボロで。中々暖かくならなくて」
肌も露わな四人の美女。
それに囲まれて、シオンも汗を流していた。
殴られた頭の傷は、ミケラが一撫ですると夢のように消えていた。
肩の刀傷だけが、いつまでも痛み疼いていた。
「ここはいつでも使っていいからな、シオン」
レオナは最上段に陣取って、豊満な姿態を横たえて。
「清潔にするのは良い事ですわ」
「汗と共に日々の疲れも流せるのですわ」
ドナとミケラは石窯のすぐ前で、胡座をかいて汗を流し。
「今の時間は従業員も仕事中だから、空いてていいのよねー」
ラフィは扉の傍でひっきりなしにレモネードを飲んでいる。
全員が薄布を一枚羽織っただけの姿だった。
その薄布も、汗でびったりと肌に張り付いている。
健全な少年には目の毒過ぎた。
それ故シオンの顔には分厚い目隠しがかけられている。
シオン自身が望んだ事だ。
「シオン。目隠し暑くないか?」
「少し暑いですけど、流石に外す訳にもいきませんよ」
「外したら、ラフィ直々にぶっ殺しだからねー」
「アタシは別に構わんぞ」
「わたくし達も構いませんわ。ね、お姉さま」
「むしろ見ていただきたいくらい。ね、お姐さま」
「ラフィは構うの。あ、シオンおかわりお願い」
ラフィは空になった盃を掲げる。
シオンはそれを受け取って、目隠しをしたまま端の樽からレモネードを注いで戻す。
「頼んどいてなんだけど、よくコケないねシオン」
「まあ、足元の感覚と。後は気配と言いますか……」
言いながら、シオンはひょいひょいと段差を超えてラフィの元へと盃を届ける。
動きは多少はおぼつかないが、それでも大きな段差やラフィの居場所はちゃんと把握出来ているようだった。
「ま、ラフィなら目隠ししても見えてるのと同じくらいには動けるけどね」
「それは凄いですね」
「まーねー。ラフィってば天才だから」
「ドナとミケラに散々仕込まれたからな。アタシも出来るぞ」
「レオナは鼻が利きますものね」
「仕込むのも大変楽でしたわね」
「その割に、今も鼻隠し付けてるしー」
見てるだけで暑苦しいんだよね。とラフィは指を差す。
確かに。ほとんど裸なくらいに薄布をはだけさせたレオナだが、顔にはいつもの黒布がかかっている。
「アタシからすりゃ、鼻の穴おっぴろげてるお前らが信じられん」
「別におっぴろげてはないじゃーん」
「見えるようにしているだけで恥ずかしいと思わんのか。はしたない」
「レオナにはしたないとか言われたー」
きゃいきゃいと騒ぎながらラフィはぐびりとレモネードを飲み干す。
そしてシオンにおかわりを注文する。
「あんま飲むと太るぞ」
「ラフィは太らない体質だもーん」
「そういう奴からデブになるんだよ」
「その点、レオナは大変ですわよね」
「その点、レオナは努力してますわよね」
「そこの二人うるさいぞ」
笑う四人にシオンもつられて微笑んだ。
言いたいことを言い合って、それでもそれが心地よい。
そんな空気を感じたのは、村を出て以来の事だった。
「さてとシオン。いい汗かいた事だし、ちょっと垢擦り手伝ってくれ」
「自分でやりゃいーじゃーん」
「レオナは可愛い少年が好きですからね」
「レオナは甲斐甲斐しい少年が好きですからね」
「いやらしい言い方するんじゃない。まるでアタシが男囲ってるみたいじゃないか」
「ラフィには、今この瞬間が囲ってるように見えるんだけど」
「わたくしにも見えますわよ」
「わたくしにも見えますわね」
あははと笑ってシオンはブラシを手に取った。
それから、熱気に満ちた室内にぐるりと首を巡らせて。くん、と空気の匂いを嗅ぎ取った。
【術技:知覚強化(嗅覚)】。
冒険者の間ではかなりマイナーな【術技】だった。
冒険者の感覚では【術技】の習得で基礎能力の向上をさせる事は珍しい。
技術の習得は【術技】の習得によって行うのが一般的であるし、それに必要とされる身体能力は、【術技】によって一時的に付与される事がほとんどだからだ。
例えば、【術技:連撃】は連続で剣を振るうに必要な筋力を【術技】自体が与えてくれる。
【術技:不意打ち感知】があれば、知覚した音や気配が何かと意識するまでもなく、襲撃者の存在を【術技】自体が判断してくれる。
さらに、効果を限定した【術技】ならば習得は容易くなる。
何より、習得したその時から使いこなす事が出来る。
毎日のようにダンジョンに潜らなくてはならない冒険者にとっては重要な利点だ。
しかし、シオンは考えた。
考えなえればならなかった。
そうでなければ、ルークの横に続く事が出来なかったから。
いくつもの【術技】を習得する事は彼には出来ない。
金も才能も時間も足りない。
それら全てを、知覚の強化と、それを使いこなす事によって代用出来るなら。
それなら、なんとかルークに追いすがる事も出来るのではないか、と。
現に今、目隠しをされた状態でも四人の居場所は手に取るようにわかる。
ラフィの柔らかい匂いも。
ドナとミケラの香木のような匂いも。
レオナの少し獣じみた甘い……。
「ちょっと待て」
シオンの動きをレオナが制する。
彼女の匂いの塊が、片手らしきものを自分に向けている。それくらいまで、シオンは感じとる事が出来た。
「今、何やった?」
「【術技】で皆さんの位置を……」
「嗅いだよね」
「嗅ぎましたわね」
「嗅ぎましたものね」
ラフィとドナ、ミケラが白い視線をシオンに向ける。
そしてレオナはと言うと。
「お、おま……やめ……。そういうの、ダメ。ダメだぞ! やめろ! 近づくな! い……いやらしいっっっっ!」
顔を真っ赤にしたかと思うと、逃げるようにサウナ室から飛び出した。
「シオンの身体を綺麗にしましょう」
それからは問答無用だった。
問答無用はそれ以前からだったが。
『真紅の女主人』亭には離れがある。
宮殿風の本館とは少し似つかわしくない、丸太を組んで作った小屋だ。
屋根には立派な煙突。
その煙突は石造りの頑丈な窯に繋がっている。
密閉された室内で、窯の中では薪が赤々と燃え。
窯を取り囲むように階段状に作られた室内。
下には分厚い布が敷き詰められていた。
「いやぁ。生き返るな」
「やっぱ、お風呂はサイコーよね」
『真紅の女主人』亭自慢のサウナ小屋。
仕事を終えた従業員も経営者も、時には常連客も、裸で語らい冷えたレモネードを飲む。
たっぷり汗をかいてから香油とブラシで垢を擦り落として、仕上げは併設した水風呂で身を清める。
一度入れば癖になるとの評判だ。
「ボクの故郷の村にも共同のサウナ小屋があったんですが。古くてボロボロで。中々暖かくならなくて」
肌も露わな四人の美女。
それに囲まれて、シオンも汗を流していた。
殴られた頭の傷は、ミケラが一撫ですると夢のように消えていた。
肩の刀傷だけが、いつまでも痛み疼いていた。
「ここはいつでも使っていいからな、シオン」
レオナは最上段に陣取って、豊満な姿態を横たえて。
「清潔にするのは良い事ですわ」
「汗と共に日々の疲れも流せるのですわ」
ドナとミケラは石窯のすぐ前で、胡座をかいて汗を流し。
「今の時間は従業員も仕事中だから、空いてていいのよねー」
ラフィは扉の傍でひっきりなしにレモネードを飲んでいる。
全員が薄布を一枚羽織っただけの姿だった。
その薄布も、汗でびったりと肌に張り付いている。
健全な少年には目の毒過ぎた。
それ故シオンの顔には分厚い目隠しがかけられている。
シオン自身が望んだ事だ。
「シオン。目隠し暑くないか?」
「少し暑いですけど、流石に外す訳にもいきませんよ」
「外したら、ラフィ直々にぶっ殺しだからねー」
「アタシは別に構わんぞ」
「わたくし達も構いませんわ。ね、お姉さま」
「むしろ見ていただきたいくらい。ね、お姐さま」
「ラフィは構うの。あ、シオンおかわりお願い」
ラフィは空になった盃を掲げる。
シオンはそれを受け取って、目隠しをしたまま端の樽からレモネードを注いで戻す。
「頼んどいてなんだけど、よくコケないねシオン」
「まあ、足元の感覚と。後は気配と言いますか……」
言いながら、シオンはひょいひょいと段差を超えてラフィの元へと盃を届ける。
動きは多少はおぼつかないが、それでも大きな段差やラフィの居場所はちゃんと把握出来ているようだった。
「ま、ラフィなら目隠ししても見えてるのと同じくらいには動けるけどね」
「それは凄いですね」
「まーねー。ラフィってば天才だから」
「ドナとミケラに散々仕込まれたからな。アタシも出来るぞ」
「レオナは鼻が利きますものね」
「仕込むのも大変楽でしたわね」
「その割に、今も鼻隠し付けてるしー」
見てるだけで暑苦しいんだよね。とラフィは指を差す。
確かに。ほとんど裸なくらいに薄布をはだけさせたレオナだが、顔にはいつもの黒布がかかっている。
「アタシからすりゃ、鼻の穴おっぴろげてるお前らが信じられん」
「別におっぴろげてはないじゃーん」
「見えるようにしているだけで恥ずかしいと思わんのか。はしたない」
「レオナにはしたないとか言われたー」
きゃいきゃいと騒ぎながらラフィはぐびりとレモネードを飲み干す。
そしてシオンにおかわりを注文する。
「あんま飲むと太るぞ」
「ラフィは太らない体質だもーん」
「そういう奴からデブになるんだよ」
「その点、レオナは大変ですわよね」
「その点、レオナは努力してますわよね」
「そこの二人うるさいぞ」
笑う四人にシオンもつられて微笑んだ。
言いたいことを言い合って、それでもそれが心地よい。
そんな空気を感じたのは、村を出て以来の事だった。
「さてとシオン。いい汗かいた事だし、ちょっと垢擦り手伝ってくれ」
「自分でやりゃいーじゃーん」
「レオナは可愛い少年が好きですからね」
「レオナは甲斐甲斐しい少年が好きですからね」
「いやらしい言い方するんじゃない。まるでアタシが男囲ってるみたいじゃないか」
「ラフィには、今この瞬間が囲ってるように見えるんだけど」
「わたくしにも見えますわよ」
「わたくしにも見えますわね」
あははと笑ってシオンはブラシを手に取った。
それから、熱気に満ちた室内にぐるりと首を巡らせて。くん、と空気の匂いを嗅ぎ取った。
【術技:知覚強化(嗅覚)】。
冒険者の間ではかなりマイナーな【術技】だった。
冒険者の感覚では【術技】の習得で基礎能力の向上をさせる事は珍しい。
技術の習得は【術技】の習得によって行うのが一般的であるし、それに必要とされる身体能力は、【術技】によって一時的に付与される事がほとんどだからだ。
例えば、【術技:連撃】は連続で剣を振るうに必要な筋力を【術技】自体が与えてくれる。
【術技:不意打ち感知】があれば、知覚した音や気配が何かと意識するまでもなく、襲撃者の存在を【術技】自体が判断してくれる。
さらに、効果を限定した【術技】ならば習得は容易くなる。
何より、習得したその時から使いこなす事が出来る。
毎日のようにダンジョンに潜らなくてはならない冒険者にとっては重要な利点だ。
しかし、シオンは考えた。
考えなえればならなかった。
そうでなければ、ルークの横に続く事が出来なかったから。
いくつもの【術技】を習得する事は彼には出来ない。
金も才能も時間も足りない。
それら全てを、知覚の強化と、それを使いこなす事によって代用出来るなら。
それなら、なんとかルークに追いすがる事も出来るのではないか、と。
現に今、目隠しをされた状態でも四人の居場所は手に取るようにわかる。
ラフィの柔らかい匂いも。
ドナとミケラの香木のような匂いも。
レオナの少し獣じみた甘い……。
「ちょっと待て」
シオンの動きをレオナが制する。
彼女の匂いの塊が、片手らしきものを自分に向けている。それくらいまで、シオンは感じとる事が出来た。
「今、何やった?」
「【術技】で皆さんの位置を……」
「嗅いだよね」
「嗅ぎましたわね」
「嗅ぎましたものね」
ラフィとドナ、ミケラが白い視線をシオンに向ける。
そしてレオナはと言うと。
「お、おま……やめ……。そういうの、ダメ。ダメだぞ! やめろ! 近づくな! い……いやらしいっっっっ!」
顔を真っ赤にしたかと思うと、逃げるようにサウナ室から飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる