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1集 双子の姉妹
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しおりを挟む「お許し下さいっ…!お許し下さいっ…!」
「謝れば許されると思ってるのかしら!?おまえ私の髪飾り盗んだわよね!?しらばっくれんじゃないわよ!」
「い、いいえ!決してそのような事はしておりま…」
「おだまり!!!」
ガンッ!
「うっ……」
「何痛そうにしてんのよ。おまえなんかこの家に置いてやってるだけでも感謝して欲しいくらいなのよ!どうしておまえみたいな不気味なのが私の姉なのよ!?汚らわしい!」
寒い庭先で一人の少女がもう一人の少女を扇で殴っていた。
痛い。
血が出てるわ…。
私は本当に盗んでなどいないのに…。
たぶん屋敷のどこかで無くして見失っただけ…。いつもの癇癪だわ…。
「あの髪飾りはお父様が明日の成人の儀で着飾る為に買ってくれた物なのよ!!」
成人の儀…。
確かに明日だ…。
私はどうなるのだろう…。
「何をやっている」
私達の声を聞き付けた人影が向こうからやってきた。
「お父様!」
「……旦那様」
現れたのはこの屋敷の主人である父だ。
父は私達の現状を見ると、私を睨み付けた。
「おまえが瑞麗に何かしたのか」
「誤解ですっ…!私は何もしてなどおりません…」
「では何故瑞麗がこれ程怒っておるのだ」
「何もしてないわけないでしょ!お父様!この物の怪がお父様に買って頂いた髪飾りを盗んだのです!!」
その瞬間の父の顔は悪鬼のようであった。
「そうか。では罰を与えなければな。朝までそこで跪いていろ」
この雪の降る中で言われた言葉は余りにも残酷だった。
もう既に随分長い時間をここで妹に詰め寄られていた。真冬の夜の庭先で朝までなど死んでしまう…きっと…。
元々の体質なのか身体も強い方では無い。生まれた時から熱っぽく体調を崩すのは日常茶飯事だ。
体調が悪かろうが立ち上がれなかろうがこの家の召使いとして扱われている為、今の一度も気遣われた事など無かった。
生きているのが奇跡な場面は何度かあったが、もし成人を迎えるまでに女児が死ねば龍王国より調べが入るので最悪の事態だけは免れていた。
「お父様!この程度で許すのですか!?私の髪飾りはどうなるのです!」
「っ…私は本当に存じ上げません…」
「瑞麗よ。髪飾りはもっと良い物を用意する。おまえが憂う事など何もない。それに気立ての良いおまえの事だ。きっと龍の番となれる。そうなれば栄華はおまえの物だ。好きな物が与えられよう」
「っ!!そうですわよね!お父様。うれしい!」
「さぁ、おまえはもう室へ戻りなさい。ここは凍えるような寒さだ。おまえが風邪でも引いたら一大事だ」
「はぁーい。わかったわ。おやすみなさいませお父様」
喜色を浮かべる瑞麗に宰相である父は優しく瑞麗の頭を撫で、娘を室へ戻るよう促した。
去る前に瑞麗は未だ跪いたままの麗華を見、鼻で笑った。
その二人のやり取りを無言で俯きながら耐えた。
ザリッ。
俯いた視界に父の足元が見える。
何を言われるのだろう。
身構える。
「出来損ないが。瑞麗とよもや姉妹だとは思っていまいな?おまえを生かしているのは16の成人の儀の為だ。それさえ過ぎれば龍王国からも監視の目は無くなる。その時が来たら…わかるな」
「………っ…」
成人の儀。
またの名を龍の番の選定式。
その日が過ぎればきっと私はーー。
16
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