龍王の番

ちゃこ

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12.龍王の逆鱗

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 おかしいおかしいおかしいおかしい。
 何故こんな奴が番に選ばれるの!?
 ありえない。


「嘘を言って何になる。選定の儀で証明された私の番だ。誰に何を言われる筋合いもない」

 炎輝はきっぱりと言い、瑞麗の言葉を完全に否定した。
 そして旭宇に支えられている麗華の目の前までゆっくり進み出ると、麗華の腕を取った。

「帰ろう宮殿へ。私を1人にした罰は重いぞ?」

「っ……はい!」

 麗華は掴まれた炎輝の手をキュッと握り返し、炎輝の腕の中へ飛び込んだ。

「ごめんなさい…!」

 ふわりと炎輝が笑んで謝る麗華を受け止めた。




 そんな2人の様子を見ていた瑞麗は。




「ありえない……何で?」


 そう絶望したように呟いた。




◇◇◇



 あれから、麗華は炎輝と共に宮殿に戻って来た。
 何度も泣きながら謝り続ける私に苦笑し、ともかく無事で良かったと言われ麗華は余計泣いた。
 ちなみに炎輝の膝の上に問答無用で乗せられている。


 そのやり取りが少し落ち着いた頃、泰然さんが戻って来て下男を捕らえたと報告してきた。
 また、瑞麗以下冬梅などの使用人たちも麗華に対する不敬で拘束されたようだ。

「ご苦労。あの者らは地下の牢獄に入れておけ。また雅国の宰相府へ連絡を入れよ。此度の件で呼び出せ」

「御意」

 泰然さんはすぐに退出して行った。
 その一連の動きを麗華はぼんやりと見ていた。

「麗華?」

「あ、はい」

「如何した。何か気になる事があるのか」

 気になる事があると言えばある。
 麗華は未だ自分の家の事情を炎輝に話せていなかった。
 両親が呼び出されるなら、ややこしい事にもなりかねないので話をする事にする。

「あの…両親の事なのですが…」

「ああ。そなたの親は雅国の宰相殿であったな」

 炎輝の言葉に麗華は驚く。知っていたのか。


「知っていたのですか…?」

「選定が終わった後、すぐに調べさせたのだ。番の事なら何でも知り尽くしたいと強く願うのが龍なのでな。許せ」

 苦笑しながら、知られたくはなかったかと問い掛けられ、麗華はフルフルと首を横に振った。

「そなたの妹の事もわかっている。辛い思いをしたな」

「っ……!」



 この方は麗華の全てをわかってくれる。それがこの上なく嬉しかった。また涙腺が緩んで来たがグッと我慢した。


「しかし、もう少し慎重に動くかと思っていたのだが、予想が外れた」

 ああも大胆に動くと思っていなかったようだ。いくら番になった事は知らなかったとしても暴挙が過ぎる。


「あの、家族はどうなりますか」

 いくら恨んでいても、自分の家族だ。家族の一員として見てもらえていなくても自分に関わりのある人々がどうなってしまうのか気になってしまう。

「気になるか?」

「少し…」

「気にするなと本来なら言いたいところだが…あのような者共でも血縁ではあるしな。知る権利はあるだろう」

 そう言って炎輝は今回の始末を話し始めた。






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