LOVE WAY

Hai-ne(灰猫)

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LOVE WAY

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ウィルスの脅威が世界中に

知られるようになって以来

僕等はキスをしなくなった



先にシャワーを済ませた僕は

ベットに腰を掛け

彼女の様子を眺めていた



浴室を出た彼女は

僕の視線に気づくと

少しだけ微笑み

丁寧に体を拭いた

それから

顔に残った水滴を

完璧に拭うと

真っ白なマスクをつけた



バスタオルも巻かず

下着も身に着けず

裸の体に

マスクだけを纏った彼女


とても滑稽で 

とても猥褻だった


僕も全く同じ格好だったけれど


彼女が僕の前に立つと

僕は立ち上がり

キスをする代わりに

髪を撫でた


それから僕は

少しだけ

マスクをずらし

彼女の乳首を口に含むと

舌先でそれを転がした


指先は彼女の性器を弄び続け

彼女が立っていられなくなると

ベットに横たわらせた


僕は彼女の下半身の前に跪き

中指を膣の中に埋め

乳首と同じように

クリトリスを口に含んだ

文字を書くように

舌を動かす



その行為の中に

キスはなかった


僕の舌の感触は

彼女の性器だけが知る



彼女も同じように

マスクを少しずらすと

僕のペニスを下から

掬うように数回舐め 

それが硬くなり始めると

ゆっくり口に含んだ


彼女は僕の表情を覗き見ながら

フェラチオを楽しんでいた



だけど

その行為のなかに

キスはなかった


彼女の舌の感触は

僕のペニスだけが知る



やがて挿入のタイミングになると

彼女は俯せになり マスクを外す

そして

決まりごとのように

腰を上げ

ヒップと性器を僕に突き出す


僕も十分に勃起したペニスを

決まりごとのように

彼女の中に沈め

ゆっくりと腰を動かす



単調な一つの体位が続く

まるで動物の交尾のようだ



キスをしないことと同じに

ウィルスの飛沫感染の防止に

有効な体位として

国と都から推奨・・・

と言うよりも

強要されたSEXの形だ



それでも僕は射精をする


彼女の背中と振り乱された髪を

ぼんやりと眺めながら


彼女に想いを伝えようと

体を震わせながら

彼女の膣の中で射精をする





様々なものがコントロールされた時代

大きな閉塞感とともに僕等は生きる


この小さなコラムのような小説でさえ

そのウィルスを特定しうる3つの文字

・・・それを入力すれば発禁とされる



最近 僕はこんな風に感じている


僕の中に僅かに残っていた

ギラギラした「渇望」のようなもの


街の中に僅かに残っていた

ギラギラした「欲望」のようなもの


それらが度重なる制約の中で

消えてしまいそうになっている



僕等はこのまま

萎んでいくのだろうか?
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