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第三章 和二一族( 太康十年・西暦二八九年)
親書
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文高は思った。
かつて、奈国連合はヒダカ一族を北九州から追い出した。そのため奈国連合とヒダカ一族は敵対関係にあった。その奈国連合と耶馬一連合が戦い、奈国連合は滅びた。しかし、その後も日高三国と耶馬一連合は何の交流もなく反目しあっている。今ではヒダカ一族の国々も耶馬一連合に加わっているというのに。
蘇奈国の長老が言うように、西の日高三国と和解しても何も問題はないではないか。今回、狗南国が東の日高三国と手を組んで耶馬一連合に戦いを仕掛けるというならいい機会だ。
文高は蘇奈国の長老を館に呼び寄せた。名は伏せているが徐福である。
「長老、西の日高三国と手を結ぶよい方法はあるか」
「弓矢国を通じて、族長のトッカラムと連絡をとりましょう」
「そんな簡単に連絡が取れるのか?それならなぜ、今まで何もしてこなかったのだ」
「時期が熟していなかったのでございます。私にお任せいただけたら、すぐに手配いたします」
「もちろんだ。お前に任せる」
徐福はすぐに弓矢国王を通じて連絡をとった。もちろん、相手はクマノクスビである。
すぐに、返事があった。
「両国の話し合いは、文高とトッカラムが行うべきだが、その前にこれまでの経緯をすべて二人に話すべきかどうか、徐福殿の意見を聞きたい」
徐福は困った。返事にはワニ一族のことについても書かれていた。特に、ワニ一族は超能力を発揮する丸薬を持っているという点が気になった。戦えば、日高三国はおろか、耶馬一連合も滅ぼしかねない力があるという。
この三者を含め、蘇奈国王もすべてクマノクスビ、いや熊叡の子供や子孫たちである。元はといえば、自分が持ち帰った「不老不死の秘薬」が引き起こした現実である。
悩みぬいた末に徐福がだした結論は「すべての経過を話しましょう。その上でどうするかは、彼らに任せることにしましょう。どのような結論を出したとしても、それが一番です」
徐福は文高に、トッカラム宛に親書を書くように勧めた。そして、その親書を徐晋が届けるように進言した。これは耶馬一連合と西の日高三国との正式な話し合いとなる。
さっそく、徐晋は長門国に、族長へ親書を手渡したいと申し出た。長門国から近江国へ連絡が飛んだ。そして、すぐに返事があった。内海を通って近江国に入ってよいという。
徐晋を乗せた船は、穏やかな内海をゆっくりと進む。徐晋は、外海での航海の経験はあるが、内海は初めてである。左右に島や山が見え、大きな川を航行しているような気になる。
「徐福様は、安心して日高三国に行きなさいと言っておられたが、どうしてあんなに自信ありげだったのだろう。徐福様も日高三国へは行ったことがないはずなのに」
徐福の言う通り、一人の従者もつけずにこうして日高三国を目指しているが、徐晋はやはり不安は拭いきれないでいた。
かつて、奈国連合はヒダカ一族を北九州から追い出した。そのため奈国連合とヒダカ一族は敵対関係にあった。その奈国連合と耶馬一連合が戦い、奈国連合は滅びた。しかし、その後も日高三国と耶馬一連合は何の交流もなく反目しあっている。今ではヒダカ一族の国々も耶馬一連合に加わっているというのに。
蘇奈国の長老が言うように、西の日高三国と和解しても何も問題はないではないか。今回、狗南国が東の日高三国と手を組んで耶馬一連合に戦いを仕掛けるというならいい機会だ。
文高は蘇奈国の長老を館に呼び寄せた。名は伏せているが徐福である。
「長老、西の日高三国と手を結ぶよい方法はあるか」
「弓矢国を通じて、族長のトッカラムと連絡をとりましょう」
「そんな簡単に連絡が取れるのか?それならなぜ、今まで何もしてこなかったのだ」
「時期が熟していなかったのでございます。私にお任せいただけたら、すぐに手配いたします」
「もちろんだ。お前に任せる」
徐福はすぐに弓矢国王を通じて連絡をとった。もちろん、相手はクマノクスビである。
すぐに、返事があった。
「両国の話し合いは、文高とトッカラムが行うべきだが、その前にこれまでの経緯をすべて二人に話すべきかどうか、徐福殿の意見を聞きたい」
徐福は困った。返事にはワニ一族のことについても書かれていた。特に、ワニ一族は超能力を発揮する丸薬を持っているという点が気になった。戦えば、日高三国はおろか、耶馬一連合も滅ぼしかねない力があるという。
この三者を含め、蘇奈国王もすべてクマノクスビ、いや熊叡の子供や子孫たちである。元はといえば、自分が持ち帰った「不老不死の秘薬」が引き起こした現実である。
悩みぬいた末に徐福がだした結論は「すべての経過を話しましょう。その上でどうするかは、彼らに任せることにしましょう。どのような結論を出したとしても、それが一番です」
徐福は文高に、トッカラム宛に親書を書くように勧めた。そして、その親書を徐晋が届けるように進言した。これは耶馬一連合と西の日高三国との正式な話し合いとなる。
さっそく、徐晋は長門国に、族長へ親書を手渡したいと申し出た。長門国から近江国へ連絡が飛んだ。そして、すぐに返事があった。内海を通って近江国に入ってよいという。
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「徐福様は、安心して日高三国に行きなさいと言っておられたが、どうしてあんなに自信ありげだったのだろう。徐福様も日高三国へは行ったことがないはずなのに」
徐福の言う通り、一人の従者もつけずにこうして日高三国を目指しているが、徐晋はやはり不安は拭いきれないでいた。
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