異世界の無法者<アウトロー> 神との賭け・反英雄の救済

さめ

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4章 新たな依頼そして黒き獣

4.10 パーティーを結成した話

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「おめでとうございます。神獣を退けただけでなく仲間とした事で、その功績が称えられてプラチナランクに昇格しました。プラチナランクは全員レベルは1から始まります。そしてこれはレベルを表わすものではなく、功績の数になります。ですので今後プラチナランクに昇格する事と同等の功績を上げると、数が増えていきます」

「なるほどな」

「プラチナランクの方には、あらゆる特権が付きます。通行料の免除、公共施設の使用料の免除、宿泊施設の優先的な使用権など多くのものがあり、それぞれの地域で固有の特権があったりもします」

 金が多く稼げるようになると、金を使わなくて良くなるのは不思議な物だな。
 だがこれで、図らずとも本格的に街を出る準備が出来たという事か。

「それとルシファー様。魔獣、神獣をパーティーメンバーとする為には、いよいよパーティーを作成し、エンブレムを身につけさせる必要があるのですが・・・」

「なるほど。何が必要だ?」

「パーティーの名前と、エンブレムデザインです」

「そう簡単には思いつかないのだがな」

「ですが決めて頂かないと・・・」

 急に決めろと言われてもな・・・と、考えを巡らせていると、ふと思いついたフレーズを口にしてしまう。

「・・・ヴァリオスハンターズ」

「良い名前ですね、それでいいと思いますよ!」

 なんか中二病な感じがするけど、他に思いつかないしいいか。

「エンブレムだが、俺のマスクの正面についているものをそのまま使ってくれ」

 元いた世界の戦国時代で、兜と一緒に付けていた仮面状のもの。それと同じデザインを使えば、この世界で類似したものは無いだろうという考えだが。

「それでは狩猟者証に追加登録致します」

 再び狩猟者証を魔法陣に入れると、何も無かった裏面にパーティー名とエンブレムが浮かび上がる。魔法というのは便利なものだな。

「この機会に、奥様も狩猟者証を発行されますか?」

「お前もか・・・、もう反論するのも面倒だ。・・・この際だから登録するか」

 オリービアを呼び、中で登録の魔法陣に手を置く。狩猟者証が出現し、裏面にはすでにパーティー名とエンブレムが刻まれていたが。
 出現したのはゴールドランクのレベル13だった。

 受付嬢も含めて驚きを隠せない。

「お前が何で、ゴールドランクのレベル13なんだ!?」

「分かりません! 何かの間違いですよ! もしくはルシファー様の、妻だからじゃないでしょうか?」

「間違いはありえませんよ! それに奥様だからというのは関係ありません」

「話変わってるだろ」

 3人で呼吸を荒くしてしまう。

「この魔法陣は、今持っている能力を正当に評価します。それに間違いはありえません。奥様は何かしらの力を持っている筈です」

「はい! 私は妻として相応しいという事ですね!」

「だから話変わってるだろ」

「魔法が使えるとかではありませんか?」

「本で独学で学ぼうとした事がありますが、私には魔力が備わっていなかったのでそれはないかと」

「実は凄く力が強いとか?」

「ルシファー様に押し倒されても、抵抗すらできずに受け入れてしまいます」

 どういう回答の仕方なのだろうか。

「もしかして、獣操師でしょうか」

 獣操師? どこかで聞いた気がするが。
 そうだ、騎馬騎士隊の隊長に報酬を渡して、この世界の事について聞いた時だ。

 魔術師よりもさらに数が少ない存在だったか。あの隊長も、詳しい事は分からないと言っていた気がするが。

「その獣操師というのはどんな存在だ?」

「その名の通り獣を使役する事が出来、獣の力を強化したり肉体を強靭にしたりする事も出来、獣が持つ力を自らが振るう事も出来るそうです」

「獣操師の力が使えるようになるには?」

「ゴモラになら、獣操師の適性から訓練までをしてくれる所があります」

 またゴモラか。何かと縁がある街になってきたな。

「わかった、ありがとう。これでもう手続きは終了か?」

「まだございます。パーティーメンバーとなる魔獣と神獣は、この測定魔法陣では登録証が発行できませんので、こちらで発行する、エンブレムが付いた物を常に身に付けて頂く事になります」

「そうか、忘れていた。じゃあスカーフはあるか?」

「はい。すぐご用意しますね」

 テレビでペットに、スカーフを巻いている人がいたからな。思いつきで言ってみたが、まさかあるとは。

 奥に引っ込んだ受付嬢は、大きなスカーフを持って帰ってくる。
 それを別の魔法陣に、俺の狩猟者証とともに当てるとエンブレムが現れる。

「こちらを身につけさせて下さい」

 スカーフを受け取って受付嬢に礼を言い、オリービアと外に出ると、ガルムとルルは人に囲まれていた。
 一種の見世物になったガルムは、不機嫌を絵に描いたようになっており、ルルは女性に牧草を貰って餌付けされて楽しそうにしている。

 街の人に危害を加えるなという言いつけを、両者両様で守っている状態だった。

「ガルム、これを身につけろ」

「これは?」

「俺の仲間の証しだそうだ」

「主の仲間の証し!? 喜んで身につけさせて頂く」

 オリービアと2人掛かりで、スカーフをガルムの首に巻き、胸の前でエンブレムが描かれた、逆三角の部分が来るように調整する。

「誇らしいですな。主のマスクと同じ模様が描かれている物を、身に付けるのは」

「すまないが、人目につく所では常に身に付ける必要があるそうだ」

「安心召されよ。元より主からの頂き物を、外す気は無い」

 とりあえずガルムが気に入った事に一安心し、今度はルルにスカーフを巻く。

「ご飯を食べるのに、邪魔にならなければ問題ないよ」

 牧草を食いながら、早速スカーフを汚していくルル。
 赤ちゃんの前掛けみたいになってるぞ。

 もう夕日になっている。とりあえず宿屋に戻るか。
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