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6章 脅威と勧誘そして次の街へ
6.4 発明士と発明をした話
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「オリービア、ルルへの指示を任せる」
「はい、ルシファー様」
蛇腹の覆いを開けて荷馬車の中に入る。
「どうしたんです? おにいちゃん」
「頼みたい事がある」
「なんでも言うです!」
サラーは頼みに対し、本当に楽しそうにしている。
「冷蔵庫を作りたいんだが」
「冷蔵庫ですか?」
俺は歴史の教科書で見た、大昔の原始的な冷蔵庫の作りと理論を説明する。
サラーは即座にそれを理解し、より効率的な構造、断熱を考え出していく。
完成した設計を見るが、これなら大量に買い込んだ食料が無駄にならなそうだ。後は俺が部品を創造し、サラーと一緒に組上げる。
完成した冷蔵庫は上部に氷を入れて冷気を作りだし、冷えた空気が下部の保存場所まで伸びた管を通過する。
理科の授業で学んだ熱交換が行われ、保存場所の空気が冷やされると、管の空気が暖められて上部に戻る繰り返しだ。
「でも氷がないです」
「それなら問題ない」
ハイドロキネシスを身に付けた時、突然理解した力の本流<水態力>。
水の状態は気体・液体・固体だ。
つまりはハイドロキネシスは水を生み出す能力だけではなく、水の状態を変える事も出来る能力だという事だ。
上部の蓋を開けて、ハイドロキネシスを発動して水で満たす。その後再度ハイドロキネシスを発動し、水を氷に変える事に成功した。
「出来たか」
「水が氷になったです! おにいちゃんは凄いです!」
「この荷馬車を快適にする為に、いろいろ作りたいんだが」
「お任せです!」
電車の網棚のような荷物置きを作り、それぞれの収納ボックスも作り、旅を快適にするための物が出来上がっていく。
さて、最後にはこいつだ。
「サラーの武器を作ってみるか」
「あたしの武器です?」
「積極的に戦闘に参加させるつもりはないが、せめて護身位はな」
とはいえ、護身と援護が出来るようなのが理想だが。
「オートボウガンを発展させた奴が良さそうです」
設計を始めるサラー。書き上げた設計を確認すると、胴体の部分が伸び縮みにするようになっている。
縮んだ状態ではサブマシンガンのように連射を行えるが、胴体を伸ばす事によって単発になる分、威力と射程距離が伸びて、スナイパーライフルのようになるわけか。
こいつは想定以上だな。
「凄いじゃないか」
「でもこれには欠陥があるです」
「なんだ?」
「重量です。とてもじゃないけど、あたしには持てないです」
なるほど、では鉄以外にすればいい話だ。
とりあえず神鉄の刀の刀身を観察する。視覚情報から得た物をイメージに反映し、創造を試みが結果は失敗に終わる。
では次の実験、リトグリフの創造だ。サラーの武器ならば、柔軟性と硬度が鉄の10倍ありながら、10分の1の重量のリトグラフでも事足りるだろう。
オリービアの剣を見た時を思い出し、目を閉じてイメージを強めながら創造をしてみる。
金属の落ちる音が聞こえ、目を開けるとリトグラフで出来た灰色の部品が現れていた。
複雑な構造物は知っていないと創造できないし、単純な物質でも神鉄は創造できないが、知らない物質でも一度見れば創造できる。
かなり中途半端な力だな。
「凄いです! これ、リトグラフです!」
「これでも大丈夫だろ?」
「はいです!」
1度作っている物だからか、1人で直ぐオートボウガンを組上げるサラー。
完成品を軽々と持ち上げ、空打ちしたりスライドさせたりと、動作を確かめている。
矢もリトグラフで創造し、ドラム式マガジンも何個か作り、空気を充填して打てる状態にした。
今日の野営で試射してみようと提案すると、サラーは大喜びではしゃいでいた。
サラーに武器は作らせないというレオハルドの言葉、それを裏切る形になったかもしれないが、量産して大量に人を殺す目的ではないし、サラー自体の護身用だからな。
許してくれよ・・・。
リトグリフが創造できた事で、俺自身の武装強化を思いついてしまう。
「俺の武装も強化したいのだが」
「どんとこいです!」
乗りに乗っているからか、サラーは既に羊皮紙を広げて羽ペンを握り締めている。
実に楽しそうにしているが、レオハルドに報いるためにも、サラーに武器を造らせるのはこれで最後にしよう。
俺は死後の世界があるのを、身をもって知っているからな。
「手持ちの剣として機能を保ちながら、突きさすと貫通して向こうに飛んでいくようにして欲しいんだ」
「何故そのような剣をです?」
「試したい事があるんだ」
「分かったです!」
今回は要求がシンプルなためか、悩む様子も無く直ぐに描き上げてくれる。
「はい、ルシファー様」
蛇腹の覆いを開けて荷馬車の中に入る。
「どうしたんです? おにいちゃん」
「頼みたい事がある」
「なんでも言うです!」
サラーは頼みに対し、本当に楽しそうにしている。
「冷蔵庫を作りたいんだが」
「冷蔵庫ですか?」
俺は歴史の教科書で見た、大昔の原始的な冷蔵庫の作りと理論を説明する。
サラーは即座にそれを理解し、より効率的な構造、断熱を考え出していく。
完成した設計を見るが、これなら大量に買い込んだ食料が無駄にならなそうだ。後は俺が部品を創造し、サラーと一緒に組上げる。
完成した冷蔵庫は上部に氷を入れて冷気を作りだし、冷えた空気が下部の保存場所まで伸びた管を通過する。
理科の授業で学んだ熱交換が行われ、保存場所の空気が冷やされると、管の空気が暖められて上部に戻る繰り返しだ。
「でも氷がないです」
「それなら問題ない」
ハイドロキネシスを身に付けた時、突然理解した力の本流<水態力>。
水の状態は気体・液体・固体だ。
つまりはハイドロキネシスは水を生み出す能力だけではなく、水の状態を変える事も出来る能力だという事だ。
上部の蓋を開けて、ハイドロキネシスを発動して水で満たす。その後再度ハイドロキネシスを発動し、水を氷に変える事に成功した。
「出来たか」
「水が氷になったです! おにいちゃんは凄いです!」
「この荷馬車を快適にする為に、いろいろ作りたいんだが」
「お任せです!」
電車の網棚のような荷物置きを作り、それぞれの収納ボックスも作り、旅を快適にするための物が出来上がっていく。
さて、最後にはこいつだ。
「サラーの武器を作ってみるか」
「あたしの武器です?」
「積極的に戦闘に参加させるつもりはないが、せめて護身位はな」
とはいえ、護身と援護が出来るようなのが理想だが。
「オートボウガンを発展させた奴が良さそうです」
設計を始めるサラー。書き上げた設計を確認すると、胴体の部分が伸び縮みにするようになっている。
縮んだ状態ではサブマシンガンのように連射を行えるが、胴体を伸ばす事によって単発になる分、威力と射程距離が伸びて、スナイパーライフルのようになるわけか。
こいつは想定以上だな。
「凄いじゃないか」
「でもこれには欠陥があるです」
「なんだ?」
「重量です。とてもじゃないけど、あたしには持てないです」
なるほど、では鉄以外にすればいい話だ。
とりあえず神鉄の刀の刀身を観察する。視覚情報から得た物をイメージに反映し、創造を試みが結果は失敗に終わる。
では次の実験、リトグリフの創造だ。サラーの武器ならば、柔軟性と硬度が鉄の10倍ありながら、10分の1の重量のリトグラフでも事足りるだろう。
オリービアの剣を見た時を思い出し、目を閉じてイメージを強めながら創造をしてみる。
金属の落ちる音が聞こえ、目を開けるとリトグラフで出来た灰色の部品が現れていた。
複雑な構造物は知っていないと創造できないし、単純な物質でも神鉄は創造できないが、知らない物質でも一度見れば創造できる。
かなり中途半端な力だな。
「凄いです! これ、リトグラフです!」
「これでも大丈夫だろ?」
「はいです!」
1度作っている物だからか、1人で直ぐオートボウガンを組上げるサラー。
完成品を軽々と持ち上げ、空打ちしたりスライドさせたりと、動作を確かめている。
矢もリトグラフで創造し、ドラム式マガジンも何個か作り、空気を充填して打てる状態にした。
今日の野営で試射してみようと提案すると、サラーは大喜びではしゃいでいた。
サラーに武器は作らせないというレオハルドの言葉、それを裏切る形になったかもしれないが、量産して大量に人を殺す目的ではないし、サラー自体の護身用だからな。
許してくれよ・・・。
リトグリフが創造できた事で、俺自身の武装強化を思いついてしまう。
「俺の武装も強化したいのだが」
「どんとこいです!」
乗りに乗っているからか、サラーは既に羊皮紙を広げて羽ペンを握り締めている。
実に楽しそうにしているが、レオハルドに報いるためにも、サラーに武器を造らせるのはこれで最後にしよう。
俺は死後の世界があるのを、身をもって知っているからな。
「手持ちの剣として機能を保ちながら、突きさすと貫通して向こうに飛んでいくようにして欲しいんだ」
「何故そのような剣をです?」
「試したい事があるんだ」
「分かったです!」
今回は要求がシンプルなためか、悩む様子も無く直ぐに描き上げてくれる。
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