85 / 107
10章 竜闘祭と決着そして別の戦い
10.4 隠された力が覚醒した話
しおりを挟む
「今のうちに降参すれば、惨めな姿をさらさずに済むというものを!」
「まるでもう、自分が勝ったみたいな言い方だね!」
頭を押し付け合い、互いに押して場外負けを狙っているようだが、完全に力が拮抗しているのか、石膏像のように固まってしまっている。
先にこの均衡を破った方が負ける、そんなことを感じ取ったのか、頭を密着させながら角を絡ませて、突破口を探しているようだ。
一見すると地味な光景が繰り広げられているが、発散されている力を感じ取っている神竜族達は、固唾を飲んでこの均衡が破られるのを待っている。
「そこをどん! そしたらがん! ですよ!」
「レグナさん頑張るです!」
「焦るな、レグナ殿!」
「静かだから寝やすくて助かるよ」
オリービア達は応援? しているのか、静かに事の成り行きを見守っている神竜族に対し、この会場に響き渡るほど大騒ぎしている。
「もどかしいものよ」
ついにレビヤが動き、頭を引いて僅かに後ろに下がる。
レグナはこれを好機と見たのか、下がって頭を上げて後ろ足で立ち上がるレビヤに追い打ちをかけようと、そのまま突撃をする。
だがそれに合わせるように、レビヤはバック宙を行う。それに驚くレグナの視界にレビヤの尻尾が現れ、顎の下から鞭のように叩きあげられる。
体全体をしならせた挙句、バック宙の回転も合わさった尻尾の鞭は、レグナを頭から空中に放り出すのに充分な力を持っていた。
レグナの顎に直撃した尻尾の破裂音は、そこまで音に敏感でない筈の、人間であるオリービアとサラーにすら、耳に痛みを与える程で、ガルムにいたっては顔をしかめて、耳鳴りに耐えている状態であった。
「痛いよ!」
この状況下でも眠ろうとしていたルルも、大きな耳を抑えて痛みに耐えている。
「ぐ! がは!?」
レグナは意識が朦朧とし、ある意味心地の良い浮遊感を味わっている状態だったが、現在自分が吹き飛ばされていることは分かっていて、何とかして着地しようと体を翻して、闘技場の際に着地する。
(まずい・・・旦那さんに頭を叩かれた時よりも酷い)
思考はそれなりにはっきりしていても、体の自由がきかない。そして、この好機をレビヤが逃す訳もなかった。
闘技場の際で足元のおぼつかないレグナに、充分な加速を付けて突進を始める。
「ふんぬあ!」
レグナは意識の刹那にある、僅かに体の自由が効くようになった瞬間、振り返る力を利用して、突進してきていたレビヤの顎に頭突きをかます。
自らの突進の力とレグナの遠心力を利用した力により、今度はレビヤが横に吹き飛ばされてしまい、千鳥足のようにふらついている。
「な・・・なぜ・・・そんなことが」
レビヤはレグナより酷いめまいに襲われながらも、地力で言葉を発している。
「へへ・・・」
「何を笑っている? レグナ」
「頭を思いっきりぶつけたら、ふらつくのが治ったのが可笑しくてさ」
「狂っているのか!? ぬしは!」
レグナはレビヤがやったように容赦することなく、自らが持つ力をフル活用して突進を行う。そしてレビヤをそのまま突き飛ばし、闘技場から落とそうとするが。
「この程度」
レビヤは尻尾を地面に突き刺し、吹き飛ぶ体を減速させて難を逃れる。
「あんなの卑怯です! いいんです? 問題ないんです?」
「戦いが止められないところを見ると、どうやら問題ないようですね」
「それにしても、竜の尻尾というのは何とも強靭なのだな」
ガルムの言う通り、レビヤの尻尾は地面に突き刺さり、加えて竜の巨体を支え吹き飛ぶ威力を押しとどめた。その光景を見れば、竜の体がどれ程強靭に出来ているかが伝わってくる。
「正直おいらは、これで勝ったと思ったんだけどな」
未だおぼつかない足に力を込めて、体を真っすぐに支えるレグナから、打つ手がないのか弱気ともとれる言葉が飛び出す。
「正直、妾も負けるかと思うたが」
レグナに比べてレビヤは回復が早いようで、元の感覚に戻っているようだった。
尻尾を地面から抜きながら、レビヤは未だ背中越しでレグナに言葉をかける。
話しながらなおも背中を向けているレビヤに、焦りながらもレグナは動こうとしない。
分かっているからだ。未だレビヤが・・・本気を出していないということを。
だからこそ、今不用意に飛び込むわけにはいかないと。
強者の余裕があればこその背中だと。
「多少の怪我で退けることが出来れば、それでよしとも思うたが。中途半端に力を付けてくれたおかげで、妾も本気を出すしかなくなってしまったようだ」
レビヤはレグナに向き直りながら、先程とはかけ離れた鋭い眼光で睨みつける。
その目を向けられたレグナは、蛇に睨まれた蛙のように動くことが出来なくなり、全身を寒気が駆け巡るのを感じた。
レビヤはいつも自分をいじめから守ってくれた。いじめを行う竜を蹴散らすレビヤの姿に、憧れすら抱いた。
振るわれる力は頼もしかった。
だが、今その力は初めて自分に向けられている。その強さを知っているからこそ、現実味を持って感じる恐怖。
この目は、食事を終えて巣に戻った時、お父さんを殺しその屍を見下ろしていた時と同じ目。
それと同じ目が自分に向けられている。
「おいら・・まで、その目で」
レグナが震えて動けなくなるのに、誰も文句は言えないだろう。自らのトラウマとも言うべき事象の再現が、自らに向けて行われているのだから。
「行くぞ!」
レビヤは今までとは比べ物にならない速度で間合いを詰め、レグナの翼の根元を加えて持ち上げる。
レグナは動くことが出来ず、そのまま地面に背中から叩きつけられた。
その衝撃音が鳴りやまない内に、まるで跳ね回るかのように何度も地面に叩きつけられる。
幾度も幾度もその轟音は繰り返され、観客として集った竜はもちろん、オリービア達も言葉を失ってしまう。
最後にレビヤが大きく振りかぶって動きが止まった瞬間、レグナは前足でレビヤの顔を思いっきり蹴り、顎が緩んだのを見計らって転がって逃れる。
「やはりというか、流石というべきか。この程度では傷つきはせぬか」
レビヤの言葉通り、砂埃で汚れてはいるが、レグナはこれといった負傷を負っていないようだ。
だが内部には確実に痛みが蓄積されており、苦しそうな表情をしている。
「これだけは使いたくなかったが・・・ぬしの父の命を奪った技だからな」
その言葉にレグナは目を見開き、レビヤは唸り声にも似た声を出しながら体に力を込める。
「神竜の炎牙」
レビヤの牙が白熱化を始め、口の周囲に陽炎を作り出す。
「誇るが良い、妾に神域の力を使わせたのだからな!」
そのレビヤの姿に、観客の竜達は歓喜の声を上げる。
「あれが神域の力!」
「初めて見た!」
「レビヤと先代族長しか使えないってのは本当だったのか!」
竜達の言葉を一つ一つ聞き、オリービア達も状況が分かってくる。
「どうやら、神力を使えるのは今はあのレビヤのみのようだ」
「ガルムさんも使っていますよね? ガルムさんは神力と呼んでいるのですか?」
「そうだ。神竜族は神域の力と呼んでいるようだが」
「レビヤさん、レグナさんの父を殺した技と言ったです」
「ということは、あの神竜の炎牙という技であれば、我らでは傷1つ与えられなかったレグナをも、殺すことが出来るという事か」
「レグナさん、どうか死なないで」
オリービア達は最悪の未来にならないよう、それぞれが祈っている。
因みににルルは既に寝てしまっているので、ガルムは密かに制裁してやろうと考えている。
レビヤは口を大きく開き、短距離走選手が走り出す前のように姿勢を整える。
「殺しはしない・・・決まりであるからな。されど生涯残る傷を覚悟しろ! それが嫌なら自ら退け!」
レグナは震えてはいるものの、その場から動こうとしない。まだその目は、死んではいなかった。
「お・・・おいらは! 絶対に逃げない! 旦那さんと奥さんに恥をかかせるわけにはいかないんだ!」
足に力を入れ、地面を握り威嚇の姿勢をする。覚悟を決め立ち向かう事を決めた、戦士の姿がそこにはあった。
レグナの父を知るものは、その姿に先代の族長の姿を重ねるほどに。
それはレビヤも例外ではなく、退かない覚悟を悟り地面を蹴り上げる。
だが覚悟を決めても強くなるわけではなく、反応も出来ずに距離を詰められ、レグナは首元を噛まれてしまう。
白熱化した牙は鱗を貫通し、体内を流れる血を蒸発させて煙を上げ始める。
「ぐぎゃあああああ!」
「降参するが良い! さすれば止めてやる!」
その目的は不明だが、レビヤは場外負けを狙わず、レグナを痛めつけ敗北を認めさせる事が目的に変わっているようだ。
「あぎゃあああああ! い・・・いやぎゃあああああ! おいらは! 勝って・・・」
レグナはあまりの激痛に、意識が遠のいていくのを感じる。何でこんな痛い目に会わないといけないのか、なんでこんな怖い思いをしないといけないのか。
何で勝たないといけないんだっけ? こんなに痛いのなら、負けてもいいような。
(・・・違う)
(勝つんだ)
(お父さんを殺した理由を聞くんだ!)
レグナは叫ぶのを止め、目を見開き自らに沸き起こった力を体現させる。
「神竜の炎鱗!」
その瞬間レビヤは何かを感じ、自ら首を離して距離を取った。
そしてその目は、初めてともいうべき怯えの様相をしている。
苦痛から逃れたレグナはゆっくりと頭を持ち上げ、咆哮を上げながら全身を白熱化させていく。
やがて全身が夕焼けのように輝きながら紅に染まり、瞳も紅く輝き始めて周囲に熱風を巻き起こした。
「レビヤ! 決着をつけるぞ!」
「まるでもう、自分が勝ったみたいな言い方だね!」
頭を押し付け合い、互いに押して場外負けを狙っているようだが、完全に力が拮抗しているのか、石膏像のように固まってしまっている。
先にこの均衡を破った方が負ける、そんなことを感じ取ったのか、頭を密着させながら角を絡ませて、突破口を探しているようだ。
一見すると地味な光景が繰り広げられているが、発散されている力を感じ取っている神竜族達は、固唾を飲んでこの均衡が破られるのを待っている。
「そこをどん! そしたらがん! ですよ!」
「レグナさん頑張るです!」
「焦るな、レグナ殿!」
「静かだから寝やすくて助かるよ」
オリービア達は応援? しているのか、静かに事の成り行きを見守っている神竜族に対し、この会場に響き渡るほど大騒ぎしている。
「もどかしいものよ」
ついにレビヤが動き、頭を引いて僅かに後ろに下がる。
レグナはこれを好機と見たのか、下がって頭を上げて後ろ足で立ち上がるレビヤに追い打ちをかけようと、そのまま突撃をする。
だがそれに合わせるように、レビヤはバック宙を行う。それに驚くレグナの視界にレビヤの尻尾が現れ、顎の下から鞭のように叩きあげられる。
体全体をしならせた挙句、バック宙の回転も合わさった尻尾の鞭は、レグナを頭から空中に放り出すのに充分な力を持っていた。
レグナの顎に直撃した尻尾の破裂音は、そこまで音に敏感でない筈の、人間であるオリービアとサラーにすら、耳に痛みを与える程で、ガルムにいたっては顔をしかめて、耳鳴りに耐えている状態であった。
「痛いよ!」
この状況下でも眠ろうとしていたルルも、大きな耳を抑えて痛みに耐えている。
「ぐ! がは!?」
レグナは意識が朦朧とし、ある意味心地の良い浮遊感を味わっている状態だったが、現在自分が吹き飛ばされていることは分かっていて、何とかして着地しようと体を翻して、闘技場の際に着地する。
(まずい・・・旦那さんに頭を叩かれた時よりも酷い)
思考はそれなりにはっきりしていても、体の自由がきかない。そして、この好機をレビヤが逃す訳もなかった。
闘技場の際で足元のおぼつかないレグナに、充分な加速を付けて突進を始める。
「ふんぬあ!」
レグナは意識の刹那にある、僅かに体の自由が効くようになった瞬間、振り返る力を利用して、突進してきていたレビヤの顎に頭突きをかます。
自らの突進の力とレグナの遠心力を利用した力により、今度はレビヤが横に吹き飛ばされてしまい、千鳥足のようにふらついている。
「な・・・なぜ・・・そんなことが」
レビヤはレグナより酷いめまいに襲われながらも、地力で言葉を発している。
「へへ・・・」
「何を笑っている? レグナ」
「頭を思いっきりぶつけたら、ふらつくのが治ったのが可笑しくてさ」
「狂っているのか!? ぬしは!」
レグナはレビヤがやったように容赦することなく、自らが持つ力をフル活用して突進を行う。そしてレビヤをそのまま突き飛ばし、闘技場から落とそうとするが。
「この程度」
レビヤは尻尾を地面に突き刺し、吹き飛ぶ体を減速させて難を逃れる。
「あんなの卑怯です! いいんです? 問題ないんです?」
「戦いが止められないところを見ると、どうやら問題ないようですね」
「それにしても、竜の尻尾というのは何とも強靭なのだな」
ガルムの言う通り、レビヤの尻尾は地面に突き刺さり、加えて竜の巨体を支え吹き飛ぶ威力を押しとどめた。その光景を見れば、竜の体がどれ程強靭に出来ているかが伝わってくる。
「正直おいらは、これで勝ったと思ったんだけどな」
未だおぼつかない足に力を込めて、体を真っすぐに支えるレグナから、打つ手がないのか弱気ともとれる言葉が飛び出す。
「正直、妾も負けるかと思うたが」
レグナに比べてレビヤは回復が早いようで、元の感覚に戻っているようだった。
尻尾を地面から抜きながら、レビヤは未だ背中越しでレグナに言葉をかける。
話しながらなおも背中を向けているレビヤに、焦りながらもレグナは動こうとしない。
分かっているからだ。未だレビヤが・・・本気を出していないということを。
だからこそ、今不用意に飛び込むわけにはいかないと。
強者の余裕があればこその背中だと。
「多少の怪我で退けることが出来れば、それでよしとも思うたが。中途半端に力を付けてくれたおかげで、妾も本気を出すしかなくなってしまったようだ」
レビヤはレグナに向き直りながら、先程とはかけ離れた鋭い眼光で睨みつける。
その目を向けられたレグナは、蛇に睨まれた蛙のように動くことが出来なくなり、全身を寒気が駆け巡るのを感じた。
レビヤはいつも自分をいじめから守ってくれた。いじめを行う竜を蹴散らすレビヤの姿に、憧れすら抱いた。
振るわれる力は頼もしかった。
だが、今その力は初めて自分に向けられている。その強さを知っているからこそ、現実味を持って感じる恐怖。
この目は、食事を終えて巣に戻った時、お父さんを殺しその屍を見下ろしていた時と同じ目。
それと同じ目が自分に向けられている。
「おいら・・まで、その目で」
レグナが震えて動けなくなるのに、誰も文句は言えないだろう。自らのトラウマとも言うべき事象の再現が、自らに向けて行われているのだから。
「行くぞ!」
レビヤは今までとは比べ物にならない速度で間合いを詰め、レグナの翼の根元を加えて持ち上げる。
レグナは動くことが出来ず、そのまま地面に背中から叩きつけられた。
その衝撃音が鳴りやまない内に、まるで跳ね回るかのように何度も地面に叩きつけられる。
幾度も幾度もその轟音は繰り返され、観客として集った竜はもちろん、オリービア達も言葉を失ってしまう。
最後にレビヤが大きく振りかぶって動きが止まった瞬間、レグナは前足でレビヤの顔を思いっきり蹴り、顎が緩んだのを見計らって転がって逃れる。
「やはりというか、流石というべきか。この程度では傷つきはせぬか」
レビヤの言葉通り、砂埃で汚れてはいるが、レグナはこれといった負傷を負っていないようだ。
だが内部には確実に痛みが蓄積されており、苦しそうな表情をしている。
「これだけは使いたくなかったが・・・ぬしの父の命を奪った技だからな」
その言葉にレグナは目を見開き、レビヤは唸り声にも似た声を出しながら体に力を込める。
「神竜の炎牙」
レビヤの牙が白熱化を始め、口の周囲に陽炎を作り出す。
「誇るが良い、妾に神域の力を使わせたのだからな!」
そのレビヤの姿に、観客の竜達は歓喜の声を上げる。
「あれが神域の力!」
「初めて見た!」
「レビヤと先代族長しか使えないってのは本当だったのか!」
竜達の言葉を一つ一つ聞き、オリービア達も状況が分かってくる。
「どうやら、神力を使えるのは今はあのレビヤのみのようだ」
「ガルムさんも使っていますよね? ガルムさんは神力と呼んでいるのですか?」
「そうだ。神竜族は神域の力と呼んでいるようだが」
「レビヤさん、レグナさんの父を殺した技と言ったです」
「ということは、あの神竜の炎牙という技であれば、我らでは傷1つ与えられなかったレグナをも、殺すことが出来るという事か」
「レグナさん、どうか死なないで」
オリービア達は最悪の未来にならないよう、それぞれが祈っている。
因みににルルは既に寝てしまっているので、ガルムは密かに制裁してやろうと考えている。
レビヤは口を大きく開き、短距離走選手が走り出す前のように姿勢を整える。
「殺しはしない・・・決まりであるからな。されど生涯残る傷を覚悟しろ! それが嫌なら自ら退け!」
レグナは震えてはいるものの、その場から動こうとしない。まだその目は、死んではいなかった。
「お・・・おいらは! 絶対に逃げない! 旦那さんと奥さんに恥をかかせるわけにはいかないんだ!」
足に力を入れ、地面を握り威嚇の姿勢をする。覚悟を決め立ち向かう事を決めた、戦士の姿がそこにはあった。
レグナの父を知るものは、その姿に先代の族長の姿を重ねるほどに。
それはレビヤも例外ではなく、退かない覚悟を悟り地面を蹴り上げる。
だが覚悟を決めても強くなるわけではなく、反応も出来ずに距離を詰められ、レグナは首元を噛まれてしまう。
白熱化した牙は鱗を貫通し、体内を流れる血を蒸発させて煙を上げ始める。
「ぐぎゃあああああ!」
「降参するが良い! さすれば止めてやる!」
その目的は不明だが、レビヤは場外負けを狙わず、レグナを痛めつけ敗北を認めさせる事が目的に変わっているようだ。
「あぎゃあああああ! い・・・いやぎゃあああああ! おいらは! 勝って・・・」
レグナはあまりの激痛に、意識が遠のいていくのを感じる。何でこんな痛い目に会わないといけないのか、なんでこんな怖い思いをしないといけないのか。
何で勝たないといけないんだっけ? こんなに痛いのなら、負けてもいいような。
(・・・違う)
(勝つんだ)
(お父さんを殺した理由を聞くんだ!)
レグナは叫ぶのを止め、目を見開き自らに沸き起こった力を体現させる。
「神竜の炎鱗!」
その瞬間レビヤは何かを感じ、自ら首を離して距離を取った。
そしてその目は、初めてともいうべき怯えの様相をしている。
苦痛から逃れたレグナはゆっくりと頭を持ち上げ、咆哮を上げながら全身を白熱化させていく。
やがて全身が夕焼けのように輝きながら紅に染まり、瞳も紅く輝き始めて周囲に熱風を巻き起こした。
「レビヤ! 決着をつけるぞ!」
0
あなたにおすすめの小説
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜
秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。
そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。
クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。
こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。
そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。
そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。
レベルは低いままだったが、あげればいい。
そう思っていたのに……。
一向に上がらない!?
それどころか、見た目はどう見ても女の子?
果たして、この世界で生きていけるのだろうか?
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる