【完結】役立たずの私はいなくなります。どうぞお幸せに

Na20

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 十五歳の誕生日は特別な意味を持つ。

 なぜなら成人となり大人の仲間入りを果たし、これからは大人として生きていくことになるから。

 だから十五歳の誕生日は人生の大きな節目なのだ。



 ◇◇◇


 今日は息子の十五回目の誕生日だ。


 誕生日の祝いの場となった自宅の庭は荒れ果てていた。食べ物があちらこちらに飛び散り、酒でもこぼしたのか所々に水溜まりができている。それに酔って騒いだのだろう。皿は割れ、椅子も壊されていた。家の中も悲惨な状態で、カーテンは破れ、テーブルには足跡が付き、床は誰かの吐瀉物で汚されている。

 まもなく日付が変わる時間になるが、自宅にいるのは私一人だけ。
 主役である息子は友人たちと街へ繰り出し、夫は浮気相手の家に向かい、義母は明日の朝もいつもの時間に朝食を届けるようにとだけ言い残し隣の自宅へと戻っていった。



 ――カチッ


 時計の針がてっぺんで重なり合う。
 それを確認した私は、三通の手紙を足跡の残るテーブルの上に置いた。果たしてこの手紙たちがいつ読まれるかはわからないが、読まれないのならそれでもいいと思っている。

 事前に用意しておいた鞄を手に玄関へと向かう。そして玄関の扉を開き、冷めた目で家の中を一瞥した。


「どうぞお幸せに」


 口の中で一言だけ呟く。

 息子が成人を迎えた翌日、私は家を出ていった。

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