だって、『恥ずかしい』のでしょう?

わたくしには、婚約者がいる。

どこぞの物語のように、平民から貴族に引き取られたお嬢さんに夢中になって……複数名の子息共々彼女に侍っている非常に残念な婚約者だ。

「……っ!?」

ちょっと通りすがっただけで、大袈裟にビクッと肩を震わせて顔を俯ける彼女。そんな姿を見て、

「貴様! 彼女になにかすることは許さんぞ!」

なんて抜かして、震える彼女の肩を抱く婚約者。

「彼とは単なる政略の婚約者ですので。羽目を外さなければ、如何様にして頂いても結構です。但し、過度な身体接触は困りますわ。変な病気でも移されては堪りませんもの」
「な、な、なにを言っているんだっ!?」
「口付けでも、病気は移りますもの。無論、それ以上の行為なら尚更。常識でしょう?」
「彼女を侮辱するなっ!?」

ヒステリックに叫んだのは、わたくしの義弟。

「こんな女が、義理とは言え姉だなんて僕は恥ずかしいですよっ! いい加減にしてくださいっ!!」
「全くだ。こんな女が婚約者だなんて、わたしも恥ずかしい。できるものなら、今すぐに婚約破棄してやりたい程に忌々しい」

吐き捨てるような言葉。

まあ、この婚約を破棄したいという点に於いては、同意しますけど。

「そうですか、わかりました。では、皆様ごきげんよう」

さて、本当に『恥ずかしい』のはどちらでしょうか?

設定はふわっと。
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