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第10話 面倒くさいからアネッサさんも頂くか
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「随分と仲が良さそうですね?」
ギルドに入る頃にはアネッサさんの状態も回復し、俺たちの事については触れないようになっていた。
代わりにカノンが俺の腕に抱きついているのを見て、リンネさんがジトッとした目を向けてきた。
いや、リンネさんだけじゃなくてギルドにいる他の冒険者達も俺たちの事を奇異な目で見ている。
カノンってランクBの冒険者だから、そこそこ有名人なんだよな。
くっつかないように言っておくべきだったか。
「まあその、色々ありまして」
「へえ? いろいろね?」
「そうだぜ、ダイスケはいろいろすごいんだぜ」
何故かカノンが誇らしげにしている。
「……まあいいでしょう。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「難しい依頼をバンバン頼むぜ。出来ればAに上がれそうな奴で」
魅了状態になっても、カノンのAランク志向は変わらない。
カノンにとってランクがAになると言うことは、それだけ大事なことなのだろうか。
「そんなAランクにすぐに上がれるような依頼がバンバンあったら国が滅亡しますよ。と言いたい所なのですが」
そう言ってリンネさんが出してきた依頼は森の調査依頼だった。
「最近、森の魔物の数が増えています。森の奥へと入って原因を調査してきてください」
「おお、任せとけ。ついでに原因を取り除いてきてやるよ」
「いいですか? くれぐれも危ないことはしないでくださいよ?」
リンネさんは注意しているけど、カノンは全く聞いていなさそうだった。
森の調査へとやって来た俺たちは沢山の魔物達と戦う事になった。
奥へと進む度に次から次へと魔物が湧いてきて、原因とやらに近づいている感じだ。
「さすがに魔物の数が多いな」
カノンとアネッサさんも湧き出してくる魔物に押され気味になってきている。
「ダイスケ、昨日の奴を頼む」
昨日の奴っていうのは、エアーエッジの事だろうか?
「森の中で使って大丈夫なのか?」
「こんな森の奥に冒険者はいないと思いますから大丈夫だと思います」
確かにランクBで手こずるくらい魔物がいるんだから、そんなとこに他の冒険者がいるわけないか。
「わかりました。エアーエッジ」
巨大な風の刃が大量の魔物をなぎ払っていく。
ピカピカとステータス画面が光っているが、とりあえず後回しだ。
「おっしゃ行くぞ」
エアーエッジが作った道を進んで行くと、その先には何やら黒いオーラを出す水晶のようなものがあった。
その水晶の周りから、突如魔物が召喚された。
「よっしゃ、こいつが元凶だな。アネッサいけるか?」
「やってみます。周りの魔物をお願いします」
どうやら、アネッサさんがどうにかするようで、俺とカノンはアネッサさんに魔物が近づかないように魔物と戦う。
「聖なる浄化の炎よ、悪しき邪悪を打ち払え。ホーリーピュリフィケイション」
アネッサさんの手から光が出て水晶に注がれた。
だけど、水晶はなんともなかった。
「……駄目です。私の力では浄化できません。一度町へ戻りましょう」
「おいおい、ここまで来て帰るのかよ。ダイスケ、なんとかなんないのかよ?」
何とかか……。
ホーリーピュリフィケイションは俺も確か覚える事が出来るんだよな。
俺が使うとなんか威力があがるみたいだから、それで何とかならないかな?
「ちょっと時間をくれ」
急いでスキル欄からホーリーピュリフィケイションを探して取得する。
よし、これでどうだ。
「ホーリーピュリフィケイション」
俺の手から神々しい光が大量に出て、辺り一面に広がっていく。
水晶は粉々に砕け散り、光を浴びた魔物は動きを止めた。
「……ゴッドピュリフィケイション?」
「やったぜ、さすがダイスケ」
アネッサさんが何やらつぶやき、カノンが俺に抱きついてきた。
ふう、何とか無事に任務達成だな。
ギルドに帰って依頼達成の報告をすると、やはりリンネさんはジトッとした目を俺に向けた。
確かに俺が何かをしたんだけど、魔物の発生原因を抑えたんだから許して欲しい。
報告の後は、依頼達成祝いということでまた飲み会になった。
「ダイスケさんは浄化魔法が使えたんですね?」
「ええ、ちょっと知り合いにツテがありまして」
「さすが、ダイスケだな」
「でも、ダイスケさんは魔法使いですよね?」
「はい、そうですよ」
「魔法使いは浄化の魔法を覚えられないと思うんですけど?」
あっ。
そう言えば、浄化の魔法が覚えられるようになったのは賢者になってからだった。
「はは、何ででしょうね?」
笑ってごまかすしかない。
「あの、間違ってたら申し訳ないんですけど、ダイスケさんって賢者なんじゃないですか?」
「……どうしてそう思うんですか?」
「ダイスケさんはホーリーピュリフィケイションを使いましたよね?」
「ええ、そうですね」
「あの光はゴッドピュリフィケイションと同一のものでした。賢者の特性として、一段階上位の魔法が発動するというものがあります」
「いや、あの時使ったのはゴッドピュリフィケイションだったかも」
「それと、賢者のもう一つの特性として、無詠唱で魔法を発動出来るというものがあります。あの時、ダイスケさんは無詠唱で魔法を使ってました」
「いやいや、それだけじゃ私が賢者だと言うことにはならないんじゃないですか?」
「……そうですね。忘れてください」
どうやら、アネッサさんは俺が賢者だと確信しているようだ。
もう少し話を続けてみるか。
「賢者っていうのはどうやったらなれるんですか?」
「聞いた話になりますが、賢者になるには40歳になるまで一度も魔法を使った事がないのが一つ。更にその上で賢者になれるだけの魔法の素質があることが条件と言われています。この国ではローゼニアン様が唯一の賢者ですね」
なるほど、童貞だから賢者になった訳じゃなかったのか。
「ちなみに賢者っていうのは他にどんな特性があるんですか?」
「えっと、他には全ての種類の魔法が使えるとかでしょうか」
なるほど、賢者だと他人にばれるのはあまりいい感じはしないな。
「もし俺が賢者だって言ったらどうしますか?」
「え? やっぱり賢者なん……で……ZZZ」
睡眠魔法が効いて、アネッサさんは机に突っ伏して眠った。
「あれ? アネッサ寝ちゃった……の? ……ZZZ」
ついでにカノンも眠らせておく。
カノンとアネッサさんを担いで飲み屋を後にして、宿へと向かった。
さて、アネッサさんも頂きますか。
ギルドに入る頃にはアネッサさんの状態も回復し、俺たちの事については触れないようになっていた。
代わりにカノンが俺の腕に抱きついているのを見て、リンネさんがジトッとした目を向けてきた。
いや、リンネさんだけじゃなくてギルドにいる他の冒険者達も俺たちの事を奇異な目で見ている。
カノンってランクBの冒険者だから、そこそこ有名人なんだよな。
くっつかないように言っておくべきだったか。
「まあその、色々ありまして」
「へえ? いろいろね?」
「そうだぜ、ダイスケはいろいろすごいんだぜ」
何故かカノンが誇らしげにしている。
「……まあいいでしょう。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「難しい依頼をバンバン頼むぜ。出来ればAに上がれそうな奴で」
魅了状態になっても、カノンのAランク志向は変わらない。
カノンにとってランクがAになると言うことは、それだけ大事なことなのだろうか。
「そんなAランクにすぐに上がれるような依頼がバンバンあったら国が滅亡しますよ。と言いたい所なのですが」
そう言ってリンネさんが出してきた依頼は森の調査依頼だった。
「最近、森の魔物の数が増えています。森の奥へと入って原因を調査してきてください」
「おお、任せとけ。ついでに原因を取り除いてきてやるよ」
「いいですか? くれぐれも危ないことはしないでくださいよ?」
リンネさんは注意しているけど、カノンは全く聞いていなさそうだった。
森の調査へとやって来た俺たちは沢山の魔物達と戦う事になった。
奥へと進む度に次から次へと魔物が湧いてきて、原因とやらに近づいている感じだ。
「さすがに魔物の数が多いな」
カノンとアネッサさんも湧き出してくる魔物に押され気味になってきている。
「ダイスケ、昨日の奴を頼む」
昨日の奴っていうのは、エアーエッジの事だろうか?
「森の中で使って大丈夫なのか?」
「こんな森の奥に冒険者はいないと思いますから大丈夫だと思います」
確かにランクBで手こずるくらい魔物がいるんだから、そんなとこに他の冒険者がいるわけないか。
「わかりました。エアーエッジ」
巨大な風の刃が大量の魔物をなぎ払っていく。
ピカピカとステータス画面が光っているが、とりあえず後回しだ。
「おっしゃ行くぞ」
エアーエッジが作った道を進んで行くと、その先には何やら黒いオーラを出す水晶のようなものがあった。
その水晶の周りから、突如魔物が召喚された。
「よっしゃ、こいつが元凶だな。アネッサいけるか?」
「やってみます。周りの魔物をお願いします」
どうやら、アネッサさんがどうにかするようで、俺とカノンはアネッサさんに魔物が近づかないように魔物と戦う。
「聖なる浄化の炎よ、悪しき邪悪を打ち払え。ホーリーピュリフィケイション」
アネッサさんの手から光が出て水晶に注がれた。
だけど、水晶はなんともなかった。
「……駄目です。私の力では浄化できません。一度町へ戻りましょう」
「おいおい、ここまで来て帰るのかよ。ダイスケ、なんとかなんないのかよ?」
何とかか……。
ホーリーピュリフィケイションは俺も確か覚える事が出来るんだよな。
俺が使うとなんか威力があがるみたいだから、それで何とかならないかな?
「ちょっと時間をくれ」
急いでスキル欄からホーリーピュリフィケイションを探して取得する。
よし、これでどうだ。
「ホーリーピュリフィケイション」
俺の手から神々しい光が大量に出て、辺り一面に広がっていく。
水晶は粉々に砕け散り、光を浴びた魔物は動きを止めた。
「……ゴッドピュリフィケイション?」
「やったぜ、さすがダイスケ」
アネッサさんが何やらつぶやき、カノンが俺に抱きついてきた。
ふう、何とか無事に任務達成だな。
ギルドに帰って依頼達成の報告をすると、やはりリンネさんはジトッとした目を俺に向けた。
確かに俺が何かをしたんだけど、魔物の発生原因を抑えたんだから許して欲しい。
報告の後は、依頼達成祝いということでまた飲み会になった。
「ダイスケさんは浄化魔法が使えたんですね?」
「ええ、ちょっと知り合いにツテがありまして」
「さすが、ダイスケだな」
「でも、ダイスケさんは魔法使いですよね?」
「はい、そうですよ」
「魔法使いは浄化の魔法を覚えられないと思うんですけど?」
あっ。
そう言えば、浄化の魔法が覚えられるようになったのは賢者になってからだった。
「はは、何ででしょうね?」
笑ってごまかすしかない。
「あの、間違ってたら申し訳ないんですけど、ダイスケさんって賢者なんじゃないですか?」
「……どうしてそう思うんですか?」
「ダイスケさんはホーリーピュリフィケイションを使いましたよね?」
「ええ、そうですね」
「あの光はゴッドピュリフィケイションと同一のものでした。賢者の特性として、一段階上位の魔法が発動するというものがあります」
「いや、あの時使ったのはゴッドピュリフィケイションだったかも」
「それと、賢者のもう一つの特性として、無詠唱で魔法を発動出来るというものがあります。あの時、ダイスケさんは無詠唱で魔法を使ってました」
「いやいや、それだけじゃ私が賢者だと言うことにはならないんじゃないですか?」
「……そうですね。忘れてください」
どうやら、アネッサさんは俺が賢者だと確信しているようだ。
もう少し話を続けてみるか。
「賢者っていうのはどうやったらなれるんですか?」
「聞いた話になりますが、賢者になるには40歳になるまで一度も魔法を使った事がないのが一つ。更にその上で賢者になれるだけの魔法の素質があることが条件と言われています。この国ではローゼニアン様が唯一の賢者ですね」
なるほど、童貞だから賢者になった訳じゃなかったのか。
「ちなみに賢者っていうのは他にどんな特性があるんですか?」
「えっと、他には全ての種類の魔法が使えるとかでしょうか」
なるほど、賢者だと他人にばれるのはあまりいい感じはしないな。
「もし俺が賢者だって言ったらどうしますか?」
「え? やっぱり賢者なん……で……ZZZ」
睡眠魔法が効いて、アネッサさんは机に突っ伏して眠った。
「あれ? アネッサ寝ちゃった……の? ……ZZZ」
ついでにカノンも眠らせておく。
カノンとアネッサさんを担いで飲み屋を後にして、宿へと向かった。
さて、アネッサさんも頂きますか。
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