主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ

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第六章 まあ人それぞれってことで!

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「へーえ、オウジョサマ……」

「誓って何もない」

「まだ何も言ってないよ!」

 この国ではシリウスが貴族令嬢に・・・・・不評なだけで、城下町で暮らしていた時の人気っぷりを考えればモテる男に属している。
 というか実家が金持ちで、本人も金持ちで、腕っ節が強くて、なんでも食べてくれて、ちょっと……いやかなり? 重たい一途さがあって若干粘着質だけど。

 総評で考えたら優良物件ヒエラルキーのトップ軍団にいて当然の人種なんだよね!

 いろいろなんか間違って義妹への鬱屈した恋情を抱かなかった代わりに、こんなどこの馬の骨ともしれない女に恋しちゃってまあ……と我ながら思っちゃうわけだけども。

(元々惚れていたことを考えればマイナス部分を差し引いてもまあ、私的には許容範囲内だしなあ)

 でもじゃあ王女様は彼のどんなところに惚れたんだろうか?
 ちらりとシリウスを見る。

「?」

 心配そうな目でこちらを見つめる美丈夫。
 うーん、我が婚約者(推定)ながらイケてんな。

 ぶっ飛んではいるけど。

「……やっぱり見た目? それとも身分? いやいや、両方か……」

「案外冷静だな、お前の婚約者」

「はい、そういうところが好ましいです」

 王子とシリウスがなんか言っているが、スルーである。
 しかし王女様ねえ。

「……普通に考えたら友好国の王族と一般人では張り合えないんですけどそこんとこどうするつもりなの?」

「突っぱねる。……と言いたいが、確かに面倒になりかねないのでセレンを養女にしてくれるよう、信頼できる家臣に頼めないか義父上に頼んである」

「そこまでして私を逃がしたくないと」

「逃げるつもりがあったのか?」

「イイエーナイデスー」

 ぎらりと光る灰青の目がこわーい。
 私の即答に彼は満足そうに笑った。

「そうか。よかった。監禁はしたくないからな」

「えっ、あの家の状態は監禁では……」

「しーっ、レオナール。しーっよ」

 アナベルがレオナール公子の口をそっと塞いでにっこり笑う姿に私は乾いた笑いを浮かべるしかない。
 いやあ、うん……まあアレは監禁じゃなくて軟禁じゃないかな! なんてね!(ヤケ)

 最終的に鍵を開けるのをパズルだと思って私の暇つぶし扱いにする程度には、私があそこを去らない……もしくは去っても連れ戻す自信があるんだろうからさ。
 困ったワンちゃんだよ、ほんと。

「で、その王女様ってのはどんな人なんですか」

 私の問いかけに、全員が顔を見合わせてからすっと王子が手を挙げた。
 まあそうか、直接会ったのは王子とシリウスだもんね。
 
「王太女として特別な功績を持っているわけではなかったな。王女としての教育はしっかりしていると噂には聞いている」

「ほうほう」

「……好みは自分を守ってくれるような、逞しい騎士だそうだ」

「あー」

 生粋のお姫様らしい? 可愛らしい好みじゃないですかー。ははは!
 いやでもそれだと確かにシリウスはドンピシャぁ!

「その、あちらの国でもだな。貴族家の男児は細身で文化的であることが望ましいという風潮があり……」

「つまり王女様の趣味に叶うような筋肉質、かつ騎士で高位の存在がいなかった」

「君は本当に歯に衣着せない物言いをするな!?」

「それがセレンの良いところです」

「さらっと惚気るんじゃない、シリウス!」

「……王子ってあれですよね」

「なんだ!」

「気苦労耐えないタイプですよね」

「君が言うな!!」

 私の同情たっぷりの言葉に、王子は絶叫した。
 解せぬ。
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