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★ノモンハン事件★
【結城薫 vs 女スパイ②】
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縛られた男について考える間もなく、ミンメイが執拗に仕掛けてくる。
とりあえず、かんざしを何とかしなければ。
かんざしに気を取られていて、左のハイキックを食らってしまう。
一応ヒットする直前で気がつき、肩を上げたことがガードになり直撃は避けられたが、それでもベッドで縛られているパンツ姿のアミーゴのところまで飛ばされてしまった。
気付くのがほんの一瞬遅ければ、アミーゴの隣で失神して寝ているところ。
ちょっとパンツの横では、寝たくないかも。
ベッドに横になる暇もなく、すぐ覆いかぶさるように上から尖ったかんざしが振り下ろされる。
横になった身を回転させて避けるが、かんざしは私を追いかけて何度も振り下ろされ、ベッドに突き刺さりシーツを引き裂く。
最後は彼女自身の体勢が悪くなったのか、狙いがずれてイタリア人のパンツを引き裂き大事な部分が露わになった。
“ワオッ!”
一瞬そこに目が行き、次にその持ち主の顔へと移るが、彼は私ほど余裕が無く大きく見開かれた目が私に助けを求めていた。
“自業自得よ!”
彼女が体勢を崩した隙に、私はベッドから逃げ出すことに成功した。
ミンメイもすぐに体勢を整え、私たちは一瞬正対して目が合った。
彼女は怖い顔をして私を睨んだが、私の脚はその隙にかんざしを握っている彼女の左手を捉えた。
かんざしが彼女の手を離れ、天井に突き刺さった。
さて、これで五分五分。
今度は私が攻撃する番よ!
薫さんの事が気になって話どころではないというのに、戦いに勝ってご機嫌な植田大将はなかなか私を離してはくれない。
話を聞いている間にも、薫さんの事が気になって仕方がない。
薫さんはいま敵のスパイと対峙しているかもしれないのだから、いくら相手が関東軍司令官で外務省満州国大使館全権大使の植田大将だといっても、薫さんの命には代えられない。
「うっ!」
「どうした?」
「す、すみません。あまり呑み慣れていないもので」
「じゃあ、ここで吐けばいい。すぐに給仕が来て片付けてくれる」
「いえ、閣下の前を汚すことは出来ませんので、少し失礼させていただきます」
「弱いやつじゃのう……」
植田大将の許しを得てすぐに席を立ち外へ向かい、調査団のために建てられた来賓用宿舎の方に走って向かった。
宿舎の入り口には歩哨が2人立っていた。
「大本営の柏原少佐だ、イタリアのロッシ1等書記官に用がある、通せ!」
私の言葉に2人は困った顔をして言ってきた。
「あのぅ……いま、お取込み中のようなのですが」
「す、直ぐ戻ってくると言われていましたので、もう少し待ってあげてもらえませんか?」
“取り込み中? 直ぐヌイテ来る??”
普段なら、その意味するところに直ぐに気がついたのかもしれないが、このときは薫さんの身の危険ばかり案じていて分からなくて「かまわん。通る‼」と言ってスタスタと宿舎の中に入っていった。
ミンメイはさすがにスパイだけあって、こういった格闘戦の訓練も受けているらしく手強くて幾つかのパンチやキックを受けてしまったが、この時代にあって私の身長は彼女より圧倒的に高くパンチやキックの射程距離も長かった。
さっき戦った部屋の奥に入る狭い通路とは違い、広いこの部屋ではフットワークを活かして十分に間をとることも出来て有利に働いた。
特に私の特異な回し蹴り系の蹴り技はもちろん、サイドキックだって広い空間があってこそ相手を惑わして繰り出すことが出来る。
ミンメイの前蹴りによる2段攻撃により間合いを詰められた私は、相手の次なる攻撃を防ぐため正面から半身の体勢になりジャブを繰り出して牽制した。
彼女は次に私が繰り出すワン・ツーを警戒して少し間合いを開け、パンチに備えてガードも上げた。
だがコレは私の思うつぼ。
ワン・ツーを出すと見せかけて、私はサイドキックを繰り出した。
間合いはドンピシャで、彼女が上げたガードの下を潜り抜けた私の踵が見事に彼女の胸にヒットした。
胸自体は急所ではないが、胸を蹴られた事で彼女の軽い体は部屋の隅にある机にぶつかった後その奥の壁に打ち付けられた。
体のダメージはさほどないはずだが、こうも簡単に飛ばされれば精神的なダメージは相当大きかったはず。
彼女は私の蹴りで飛ばされたとき、何かに掴まろうとして机の引き出しを落とした。
私の誤算は、その引き出しの中に入っていたものに気付かなかった事。
いち早くミンメイがその中身に気付き、それを奪い取る。
引き出しの中にあったものは拳銃だった。
“しまった‼”
彼ら調査団の一行の身分は外交官。
拳銃だって自由に所持でき、規制は出来ない。
あのパンツのデカち〇イタリア人が、持っていても不思議ではない。
いやむしろ、こんな係争地帯にくるのだから持っていて当然なのだ。
とりあえず、かんざしを何とかしなければ。
かんざしに気を取られていて、左のハイキックを食らってしまう。
一応ヒットする直前で気がつき、肩を上げたことがガードになり直撃は避けられたが、それでもベッドで縛られているパンツ姿のアミーゴのところまで飛ばされてしまった。
気付くのがほんの一瞬遅ければ、アミーゴの隣で失神して寝ているところ。
ちょっとパンツの横では、寝たくないかも。
ベッドに横になる暇もなく、すぐ覆いかぶさるように上から尖ったかんざしが振り下ろされる。
横になった身を回転させて避けるが、かんざしは私を追いかけて何度も振り下ろされ、ベッドに突き刺さりシーツを引き裂く。
最後は彼女自身の体勢が悪くなったのか、狙いがずれてイタリア人のパンツを引き裂き大事な部分が露わになった。
“ワオッ!”
一瞬そこに目が行き、次にその持ち主の顔へと移るが、彼は私ほど余裕が無く大きく見開かれた目が私に助けを求めていた。
“自業自得よ!”
彼女が体勢を崩した隙に、私はベッドから逃げ出すことに成功した。
ミンメイもすぐに体勢を整え、私たちは一瞬正対して目が合った。
彼女は怖い顔をして私を睨んだが、私の脚はその隙にかんざしを握っている彼女の左手を捉えた。
かんざしが彼女の手を離れ、天井に突き刺さった。
さて、これで五分五分。
今度は私が攻撃する番よ!
薫さんの事が気になって話どころではないというのに、戦いに勝ってご機嫌な植田大将はなかなか私を離してはくれない。
話を聞いている間にも、薫さんの事が気になって仕方がない。
薫さんはいま敵のスパイと対峙しているかもしれないのだから、いくら相手が関東軍司令官で外務省満州国大使館全権大使の植田大将だといっても、薫さんの命には代えられない。
「うっ!」
「どうした?」
「す、すみません。あまり呑み慣れていないもので」
「じゃあ、ここで吐けばいい。すぐに給仕が来て片付けてくれる」
「いえ、閣下の前を汚すことは出来ませんので、少し失礼させていただきます」
「弱いやつじゃのう……」
植田大将の許しを得てすぐに席を立ち外へ向かい、調査団のために建てられた来賓用宿舎の方に走って向かった。
宿舎の入り口には歩哨が2人立っていた。
「大本営の柏原少佐だ、イタリアのロッシ1等書記官に用がある、通せ!」
私の言葉に2人は困った顔をして言ってきた。
「あのぅ……いま、お取込み中のようなのですが」
「す、直ぐ戻ってくると言われていましたので、もう少し待ってあげてもらえませんか?」
“取り込み中? 直ぐヌイテ来る??”
普段なら、その意味するところに直ぐに気がついたのかもしれないが、このときは薫さんの身の危険ばかり案じていて分からなくて「かまわん。通る‼」と言ってスタスタと宿舎の中に入っていった。
ミンメイはさすがにスパイだけあって、こういった格闘戦の訓練も受けているらしく手強くて幾つかのパンチやキックを受けてしまったが、この時代にあって私の身長は彼女より圧倒的に高くパンチやキックの射程距離も長かった。
さっき戦った部屋の奥に入る狭い通路とは違い、広いこの部屋ではフットワークを活かして十分に間をとることも出来て有利に働いた。
特に私の特異な回し蹴り系の蹴り技はもちろん、サイドキックだって広い空間があってこそ相手を惑わして繰り出すことが出来る。
ミンメイの前蹴りによる2段攻撃により間合いを詰められた私は、相手の次なる攻撃を防ぐため正面から半身の体勢になりジャブを繰り出して牽制した。
彼女は次に私が繰り出すワン・ツーを警戒して少し間合いを開け、パンチに備えてガードも上げた。
だがコレは私の思うつぼ。
ワン・ツーを出すと見せかけて、私はサイドキックを繰り出した。
間合いはドンピシャで、彼女が上げたガードの下を潜り抜けた私の踵が見事に彼女の胸にヒットした。
胸自体は急所ではないが、胸を蹴られた事で彼女の軽い体は部屋の隅にある机にぶつかった後その奥の壁に打ち付けられた。
体のダメージはさほどないはずだが、こうも簡単に飛ばされれば精神的なダメージは相当大きかったはず。
彼女は私の蹴りで飛ばされたとき、何かに掴まろうとして机の引き出しを落とした。
私の誤算は、その引き出しの中に入っていたものに気付かなかった事。
いち早くミンメイがその中身に気付き、それを奪い取る。
引き出しの中にあったものは拳銃だった。
“しまった‼”
彼ら調査団の一行の身分は外交官。
拳銃だって自由に所持でき、規制は出来ない。
あのパンツのデカち〇イタリア人が、持っていても不思議ではない。
いやむしろ、こんな係争地帯にくるのだから持っていて当然なのだ。
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