明太子

ぽよ

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10話

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 寝酒でもなかったのに今朝起きるのは早かった。二日酔いなのか風邪なのか分からない不快感を頭に抱えながら布団から起き上がる。土曜日の朝はやけに静かで車のエンジン音がたまに聞こえてくる以外はほとんど無音だった。時間は早いが二度寝する気にもなれず、ひとまず歯を磨く。休日に化粧もおしゃれも頑張れるほど今の莉子には体力が残っていなかった。
 昨日結局出来なかった掃除を朝からやるか悩みつつも、結局今ここで変われるのならこれを気に頻度を減らしてみるのもいいかもしれない。直さずに敷いたままの布団に寝転がりながらスマートフォンを操作する。特に誰から連絡があるわけでもなく、用事を伝えられることもなく何もない休日が過ぎ去っていく。
 何もやる気になれず寝転んだまま時間が過ぎていく。スマートフォンを操作するとバイブレーションが鳴る。

「おはようございます!」
「おはよう。今日は土曜日のはずだけど」
「あれ、そうでしたっけ」
「昨日金曜日で定時だったでしょ」
「あ、そうでした」
「今日は仕事ないわよ」
「じゃあ、もうちょっと寝ます」
「ええ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」

 平日は朝に電話がかかってきて時々一緒に出社することがある。どうやら今日も平日だと勘違いしたらしい。今日も平日だとすればこの頭痛を抱えたまま出社することになっていただろう。それを避けられたのは幸運だったかもしれない。
 特に起きる気にならないまま時間だけが過ぎ、時計の針が9時を回った頃、ようやく朝食を取る気分になった。立ち上がり、数少ない備蓄食糧の菓子パンに手をかける。種類が豊富なわけじゃないし、特別美味しいものを用意しているわけじゃない。しかし、いつでも食べられる安定した味の種類を取り揃えていた。その中からメロンパンを取り出したところで、今日2回目のバイブレーションが鳴った。

「はい」
「あ、先輩」
「どうしたのよ」
「合コン行きませんか」
「合コン」
「えぇ、合コンです」
「ちょっと考えさせてもらおうかしら」
「分かりました!」

 いつも以上に唐突な提案。しかし、莉子は合コンはおろかデートすらもほとんどしたことがない。後輩が何を考えているのか分からないが、少なくとも後輩は彼氏が欲しいから合コンに行くのだろう。その波に攫われてみるべきか、否か。
 10分ほど考えてから、何事も人生経験だという境地に至り、参加する旨を後輩に伝える。

「合コン、行くわ」
「本当ですか!やったー!」
「ええ、ところでいつなの?」
「来週の金曜日の仕事終わりです!」
「分かったわ」

 後輩に電話をしてそれを伝えると、とても上機嫌になっていた。そのまま外出の誘いが来るかと思ったが、そんなことはなく電話が切れる。初めてのイベントの参加に不安な気持ちと楽しみな気持ちを抱えていた。
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