17 / 50
あなた
6話
しおりを挟む
仕事が定時で終わって、更衣室で着替えて会社を出る。いつもと同じ動きで敷地を出ると、後輩が待ち伏せしていた。
「あら、お疲れ様」
「お疲れ様です!」
「どうしたの?」
「一緒に帰りましょう!」
「ええ、いいけど」
連絡も何もなかったが、莉子が残業だったら待ちぼうけになることも覚悟していたのだろうか。いまいち読めない後輩と2人で駅まで歩く。最近誰かと一緒にいることが増えたような気がする。
「そういえば、望月さんは先輩のこと気になってるみたいですよ」
「私はあの人好きじゃないわ」
「いろいろ聞かれるんですけど、プライベートなので答えてません」
「あら頼もしい」
「どこかで会えないかって聞かれるんですけど、私は先輩の予定とか押さえてないんでって言ってます」
「それが正しいわ」
面倒な処理をしてくれる後輩に感謝しながら、帰り道を歩く。後輩がいつまでも帰りに誘ってきた理由を話してこない。それが何故か気になった。
「そういえば、たまたま今日は定時だったけど、残業だったら待ちぼうけになったと思うんだけど」
「えぇ、まぁそうでしょうね」
「なんか喫緊の予定とかあったかしら?」
「いえ、別に15分くらい待って出てこなかったら1人で帰ろうかとは思ってました。別に先輩と帰ることに理由なんかいらないんです。楽しかったらそれでいいんですよ」
随分とさっぱりしている。後輩にとっても人付き合いがどういったものかというのも表れている気がした。いつも通りの道のはずなのに街がいつもより眩しくて、自分は疲れているかもしれないとも思った。
いつも通りの道順で、いつも通り電車に乗る。後輩と一緒にアパートまで歩く。
「先輩、なんか疲れてます?」
「イベントが多いからなのか分からないけど街が眩しい気がしたり、なんか疲れてるような気もするわ」
「今週もなんかあるんですか?」
「先輩の部屋に呼ばれるわ」
「イベントいっぱいありますね!」
呑気なのか能天気なのかわからない後輩と歩くこと10分。いつもの家の前に到着する。
2人で家の鍵を開けて中に入る。ここはいつどんな時も変わらない。
「お疲れ様でした!週末頑張ってくださいね!」
「ええ、ほどほどに頑張るわ」
仕事終わりも元気いっぱいな後輩が部屋に入っていくのを見てから莉子も部屋に入る。いつもと変わらない部屋だからこそ、いつかは変わらないといけないという強迫観念に囚われている。そのことに自覚はあっても、いつまでも動き出せないでいた。先輩に話を聞けば変わるだろうか。可能性の低い希望にかけてみる価値はあるか。そこに自分の意志は介在するのか。少しだけ散らかり始めた部屋に寝転びながら、ぼんやりと考えていた。
「あら、お疲れ様」
「お疲れ様です!」
「どうしたの?」
「一緒に帰りましょう!」
「ええ、いいけど」
連絡も何もなかったが、莉子が残業だったら待ちぼうけになることも覚悟していたのだろうか。いまいち読めない後輩と2人で駅まで歩く。最近誰かと一緒にいることが増えたような気がする。
「そういえば、望月さんは先輩のこと気になってるみたいですよ」
「私はあの人好きじゃないわ」
「いろいろ聞かれるんですけど、プライベートなので答えてません」
「あら頼もしい」
「どこかで会えないかって聞かれるんですけど、私は先輩の予定とか押さえてないんでって言ってます」
「それが正しいわ」
面倒な処理をしてくれる後輩に感謝しながら、帰り道を歩く。後輩がいつまでも帰りに誘ってきた理由を話してこない。それが何故か気になった。
「そういえば、たまたま今日は定時だったけど、残業だったら待ちぼうけになったと思うんだけど」
「えぇ、まぁそうでしょうね」
「なんか喫緊の予定とかあったかしら?」
「いえ、別に15分くらい待って出てこなかったら1人で帰ろうかとは思ってました。別に先輩と帰ることに理由なんかいらないんです。楽しかったらそれでいいんですよ」
随分とさっぱりしている。後輩にとっても人付き合いがどういったものかというのも表れている気がした。いつも通りの道のはずなのに街がいつもより眩しくて、自分は疲れているかもしれないとも思った。
いつも通りの道順で、いつも通り電車に乗る。後輩と一緒にアパートまで歩く。
「先輩、なんか疲れてます?」
「イベントが多いからなのか分からないけど街が眩しい気がしたり、なんか疲れてるような気もするわ」
「今週もなんかあるんですか?」
「先輩の部屋に呼ばれるわ」
「イベントいっぱいありますね!」
呑気なのか能天気なのかわからない後輩と歩くこと10分。いつもの家の前に到着する。
2人で家の鍵を開けて中に入る。ここはいつどんな時も変わらない。
「お疲れ様でした!週末頑張ってくださいね!」
「ええ、ほどほどに頑張るわ」
仕事終わりも元気いっぱいな後輩が部屋に入っていくのを見てから莉子も部屋に入る。いつもと変わらない部屋だからこそ、いつかは変わらないといけないという強迫観念に囚われている。そのことに自覚はあっても、いつまでも動き出せないでいた。先輩に話を聞けば変わるだろうか。可能性の低い希望にかけてみる価値はあるか。そこに自分の意志は介在するのか。少しだけ散らかり始めた部屋に寝転びながら、ぼんやりと考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる