短編集

ぽよ

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花言葉

枯れない愛

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「また、いつかどこかで会いましょう」

 電話口で私はそう告げた。大好きな彼へ向けて。この恋はいずれ崩れる。その前に、私が手を引けばいい。彼のことは今でも好きだ。しかし、彼がそうではないということに気付いた。1ヶ月前だった。彼が私以外の女性と一緒にいるところを目撃した。思わず問い詰めた。その時に、彼は何事もなく認めてしまったのだ。私の視点では見知らぬ女性が浮気相手だが、本来は私が浮気相手なのかもしれない。彼に言い分はないようで押し黙っていた。それだけ私に気持ちが傾いていないということの証拠だろうか。

「じゃあ、切るから」

 最後に言い残して、電話を切る。本当は辛くて仕方がない。切った瞬間から涙が溢れてくる。それでもいい。むしろ、それでいい。それでいいんだ。彼には幸せな人生を歩んでもらう。そのためなら私は苦しんでもいい。この愛は、永遠に枯れない。そのために、私は死ぬ。いつも料理に使っていた包丁を首元に持ってくる。今日、ここで私は死ぬことで、この想いを抱えたまま、枯れない愛を抱えたまま、私は死ぬ。私が死ねば、私の思いは変わらないからこの想いが枯れることはない。彼を大好きな私のまま、死ぬ。首元に持ってきた包丁がなかなか動いてくれない。怖かった。死ぬことが。自分を失ってしまうことが。しかし、今ここで決意しなければ、一生後悔して生きていくことになる。そう思った時、手が動いてくれた。痛みとともに滴る赤い液体。もう、後には引けない。さようなら、私。さようなら、大好きな人。さようなら、世界。落ち着いて全てを受け入れた時、痛みが引いていき、そして、意識も遠のいていった。私はこの世から消える。彼への枯れない愛を遺して。
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